うざくても勘弁してください
外は相変わらず日が差さず夜のように暗かったが、夜とは全く雰囲気が違うように思えた。
周りはクラスのやつらが駄弁っていた。たしかクラスは二十人だっけ。見渡すとさっきの金色の女もいた。
あいつ同じクラスだったのか。
「おい、たしかお前志多野、だったよな!? 俺、宇西誠ってんだ」
なんちゅう可哀想な苗字なんだよ宇西誠。
「ようどうした宇西」
なんか親近感が持てたのであたかも親友のように話す。
「うぇーいうぇぇぇい! 志多野! 霊学科の実習の秘密知ってるかぁ?」
うざっ! やばいうざいぞ。どうしたらいいんだ! うざいぞ! しかもいちいち俺の乳首を的確に突いてきやがる。
くそ! さっきの親近感返せ! でもまだ初対面だしな……しょうがないここは堪えるか。
「秘密? 知らんぜ」
「その秘密ってのはな――――」
乳首を突いてくる宇西の腕を掴んで捻じ伏せる。
「まだ教えねえーよー!」
うざっ! やばいうざいぞ。厄介なやつに絡まれた!
「はーい黙れー。みんな集まったかー。前振りとかめんどいんでぇ、早速クジ引きでペア作ってもらいますー。同じ番号書かれた二人がペアになるからなー。十組できるはずだぞー。ペアできたら順番通りに並べー」
この教師どんだけ語尾伸ばすんだよ。
「なっ? 実習には秘密があるって言っただろ?」
するとさっきのうざいやつがきた。
「秘密ってこれのことか。で、これの何が秘密なんだ?」
「はあ!? おめえな、このクジでかわいい女の子とペアになっていいところを見せつけてだな」
そんな目を光り輝かせて言わんでもいいだろ。
「ああそういうことか。宇西、俺はな」
そこで俺の言葉が遮られた。
「ああ分かった分かった! 皆まで言わんくていい! あれだろ。同姓愛ってやつだろ? 大丈夫、誰にも言わないしそれに、俺は気にしないさ」
うっっっっっっざ!! やばいうぜえわ!
「そこの二人ー、志多野と宇西。早く引けー」
一発宇西に蹴りを入れてクジを引いた。
よっしゃ一番! やっぱり『一』ってかっこいいな!
「志多野俺は十三番だった」
「ああそう」
宇西の言葉を軽く受け流す。
一番てことは一番前だよな。
結構男女ペア多いな。宇西も女とのペアだった。その女からめちゃくちゃうざがられてる気がするけど。
「あっ」
俺のペアは金色の女のようだ。今度こそ誰だったか思い出す!
「あ、志多野くん一番?」
重そうな腕輪を着けた手には一番という紙が握られていた。
「おう。そういえばお前名前は?」
彼女はシルバーのような艶やかさのある手で、その辺りに落ちている枝を拾い、地面に何か書き始めた。
「川上?」
「そっ、川上さーり」
川上さり……か。
「やっぱり誰か分からんな」
彼女の髪が揺れる度に、金色と銀色の光が舞っているように見えた。
「やあ志多野君……お前のペア――――羨ましぃーーーー!」
また出やがった宇西め。いい加減うざいぞ。
「そうか?」
「川上さり、入学式に姿を現さなかった謎の少女。何よりあの美貌! くぅ~! ぜひペアになりたかったね!」
なぜ宇西は俺の乳首を突いてくるのだろう。ちょっとくすぐったいだろうが。
うざかったのでおもいっきり足を踏んでやった。
ていうか今宇西の野郎『入学式に姿を現さなかった』って言ったか? たしかに謎だな。
「ペアできたっぽいな。じゃあ今から行くんで、私語せずにしっかり着いて来いよー。迷子になったら――――がんばれ」
が、がんばれ!? それは教師としていいのか!? 適当すぎるこの教師。
「というのは冗談だー。一組に一つずつトランシーバー渡す。迷子になったら使えよー。使い方は同梱の取説読んでくれー」
トランシーバーが渡され、俺は裏に回す。
こんな教師でもちゃんとしていて、少しほっとする。
「あぁあと、気分悪くなったらすぐ私に言え。そういうやつは実習場所に連れて行けない。危ないからなー」
早く行きたくてうずうずしていた。
闇に向かっているようだった。一歩進むたびにバキッと枝を折る音や葉っぱを押しのけるざわめきが鳴り響いている。
廃棟を出てから三十分は経っただろう。ここまでで六ペアが脱落している。
開けた場所へ出たと同時に、ぽつりと雨が降り、次第に強く土を打ち続けた。
周りの木が結界を作って守っているように思えた、それを。
それは、ただの廃れた建物だ。これが今回の実習場所――
「さあ、霊学科の諸君、廃校へようこそ」
そう先生が俺たちに振り向く。
一閃。
雷が近くの木を焼き倒した。
なぜ宇西誠というキャラが出てきたのか自分でも謎です。
ていうか今回境たちいない……。
大丈夫です。次話で嫌でも出ることになります。
お楽しみに~。




