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変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
変態たちの休日!
35/66

他人に迷惑かけるべからず

「なあ志多野~」

「どーした?」

「何でしょうか?」

「何?」

 俺、悠奈、夕真の順に答える。

「……みんな、志多野じゃねえか!」

 ボルテージを上げて境が叫んでいた。

「そりゃ兄弟だからな。で、なんだよ。どうせ俺に用だろ」

「まあな。暇だしさ~、なんかやろうぜ」

 夕真たちを隅に追いやりながら境もベンチに座っていた。お前……大人げねえな。

「なんかって? 本屋で何ができるんだよ」

「本屋じゃなくても、ほらすぐそこにエスカレーターあんじゃん?」

「エスカレーターゲームか? あれは他の人に迷惑かけるでダメじゃね」

 すると境は目を閉じて考え出した。

夕真と悠奈は『戦争』と呼ばれる(正式には軍艦じゃんけんと言うらしい)、握手をしたままリズム良くジャンケンをして、勝った方が負けた方の握手している手の甲を思いっきり叩き、降参したら負けというドMな遊びをしていた。手の赤さからして夕真が負けている。

「そうだ! この本屋で面白い題名の本を探して、どっちがより面白いかを競う。制限時間は阿部たちが戻って来るまで。おけ?」

 いきなり立ち上がった境は、何とも面白そうな勝負を提案した。

「おう! じゃあ俺ちょっと行ってくる……って、この二人には聞こえてないか」

 まぶたに涙を溜めながらも痛さに耐えている夕真の姿が、実に男らしかった。

さすが俺の弟! そしてさすがあの父親の血を受け継ぐ者! 耐久力だけは凄まじいからな。逆に悠奈の手はほとんど赤みがかっていなかった。どんだけジャンケンつえぇんだよお前。

「よし、試合開始だ」

 厳密には二人で行動し、その棚でそれぞれ見つけた本を見せ合うという至極単純なルールだ。

「あんたたち、今度は何を企んでいるのよ」

 後ろを向いたら……奴がいた。みたいな状況で、後ろ振り向きたくないぜ!

 俺たちは無言で目の前の本と睨み合っていた。冷や汗を流しながら……。

てか悪巧みとかじゃないし別に黙る必要ないんじゃないか? そうだよ何ビビッているんだ俺は!

「今勝負の真っ最中だぜ!」

 後ろを向いたら……前澤がいる。やけに視線が怖い。

「どんな?」

 な、なぜそんな怒りが込められたような口調なんだ……。

「どっちがより面白い題名の本を見つけられるか、っていう勝負だ」

 はあ、と前澤の口から息が漏れる。

「それ、その本の作者に失礼じゃない?」

「………………やっぱ前澤は天才だな!」

 そうじゃん! 作者が心を込めて付けた題名を面白いからって笑うなんて、失礼にも程がある! 俺たちはそんなことにも気付かなかったのか! 素直にエスカレーターゲームやっとけば良かった!

読んでくださってありがとうございます。

境は志多野を名前で呼ばないので兄弟みんな反応してしまいます!

紛らわしいなぁ。


感想などもらえると幸いです。

次回、ついにあのゲームが! お楽しみに

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