第60話 モカのメモ
畑で1日まったり過ごしたあと、宿屋に戻った。
野菜に囲まれて過ごしたクルル、プリンは満足したようだ。モカはというと、何やら紙に向かっている。
「モカ、どうした? モカプルンの作り方を書いているの?」
「そうじゃないわ。これまでいろいろ分かったことがあるから、少し整理しておこうと思ったのよ。これまでにいろんな人に出会ったしね」
「なるほどな」
「ひょっとして、私たちのことも書いてあるプイ?」
「見たいノ」
「ん? そ、そうね…… クルルたちじゃ読めない文字も使っているけどね」
「見せてもらってもいいかな?」
「まあ、いいかな。もう内緒の情報は1つもないわ」
モカのメモを見ながらいろいろ思い起こした。何気に俺のことも書いてある。
◆◆◆
(ヤマ情報)
特殊チップが寄生していることが判明。そのおかげでヤマ魔法が使える。インベントリは超便利。記録地点を増やすことができれば、並行世界間の行き来ができるようになるかもしれない(超重要)。土、水、放電が使える。ヤマ魔法で消しゴムとGをこっちの世界に送り込んだせいで、研究所の人に侵略者と勘違いされている笑。ネコ人の神様。
(クルル情報)
水、岩を使える。岩とヤマ魔法の相性が最高で、最強の攻撃手段。将来のヤマの第2夫人候補。
(プリン情報)
風、氷を使える。光と居合抜きの相性が最高。ボコ隊長が忠誠を誓っている。将来のヤマの第3夫人候補。
(研究所にいた人間の男)
名前不明。冒険者みたいな見た目。動きは機敏なため、風を使えるのかもしれない。なぜか私の話は聞いてなかった模様で、私の名前は知られていない。この男がいた研究所の名前や目的は不明。私たちをこっちの世界に連れてきた張本人の1人。
(研究所にいた人間の女)
名前不明。眼鏡をかけている。華奢。たぶん私たちではなく、Gを殺しちゃおうと言っていた。Gは生理的に受け付けないらしい。私たちをこっちの世界に連れてきた張本人の1人。
(研究所からの追っ手)
名前や人数は不明。フューラスタード宿屋受付の情報によると、おそらく研究者ではなく護衛。ケガをして、フューラスタードの宿屋で休んでいたが、その後に北に向かった(重要)。
(ダブル爺)
本名不明。3、40年前にこっちの世界に来た人間。どうやって来たのかは不明。ブイ婆ちゃんのことが大好き。モルジクに行くときに亡くなったノエさんを見つけ弔った。護りの腕輪とネックレスを保管し、託してくれた恩人。晩年はブイ婆ちゃんやクルルたちとともにモルジクで過ごした。レイシュトにも行ったことがあり、宿屋の受付のイヌ人が覚えていた。
(ブイ婆ちゃん)
髪にVの模様のあるモル人。ダブル爺を救った人。結果的に私たちの恩人の1人でもある。ダブル爺が別の世界から来たことに気付いていたが、ダブル爺が話してくれるまで待っていた心優しい人。
(ゲンタ)
ネコ人。ガトアルデの村長。狩りの達人。氷を使う。ヤマにお守りをくれた人。私たちと仲良し。
(ガトアルデのネコ人)
ヤマが作った箱が特に大好き。ヤマを神様扱いしている。
(マポリン)
プリンの親友の人間の女性。モル人好きの弟がいるらしい。普段はドスシウダに住んでいる。演劇もやっている。今度観に行きたい。
(ドル先生)
イヌ人。マポリンがやる予定の演劇の演出家。プルンを題材の演劇を制作中。いつかキメラと仲良くなる演劇を作ってもらうことが必要(たぶん重要)
(ボコ隊長)
イヌ人。ドスシウダの衛兵隊長。土を使う。プリンに忠誠を誓っている。私たちと仲良し。金色の肉球マークの特別衛兵隊員証をくれた。
(リコ隊長)
イヌ人。フューラスタードの衛兵隊長。ボコ隊長の妹。私たちと仲良し。銀色の肉球マークの特別証をくれた。
(ダン隊長)
イヌ人。フィナルメンシウタットの衛兵隊長。ボコ隊長とリコ隊長の叔父で2人の師匠。黒色の肉球マークの特別証をくれた。
(ノエさん)
プリンの師匠。真っ白な髪のウサ人。元護り人。風以外に光も使えた。ユイさんたちの親友。おそらくスミロ人に殺され、ガトアルデ北のお墓に眠る。クルルが身に着けている護りのネックレスの元持ち主。
(ユキさん)
レイシュト在住。まだ会ったことがない。人間で、護りの腕輪を持っていると予想。ヤマに特殊チップを寄生させた人と思われる。ヤマを見つけた方法は不明(重要)。リアさんに渡す予定だった護りのネックレスをラパンそばの洞窟に隠したはず。隠さないといけない理由ははっきりしない(重要)。研究者。本来は次の護り人になるはずだった人。まだ、施設には行けていないと予想。ユリの直系の子孫のはず。
(テルさん)
レイシュト在住。まだ会ったことがない。人間で、護りの腕輪を持っていると予想。ユキさんの夫。研究者。本来は次の護り人になるはずだった人。まだ、施設には行けていないと予想。
(リアさん)
レイシュト在住。ユキさんの親友のネコ人。いろいろ教えてくれた優しい人。護りのネックレスのことは知らない模様。本来は次の護り人になるはずだった人。リアさんが受け取るはずだった護りのネックレスはプリンが身に着けている。
(ユイさん)
先代の護り人で、ユキさんの母親。ノエさんの親友。第1施設の洞窟でスミロ人に殺されたと予想。私かヤマが身に着けている護りの腕輪の元持ち主。
(ユイさんの夫)
名前不明。先代の護り人で、おそらくユキさんの父親。ノエさんの親友。第1施設の洞窟でスミロ人に殺されたと予想。私かヤマが身に着けている護りの腕輪の元持ち主。
(ユミさん)
ユキさんの祖母で、先々代の護り人。先代のネコ人の神様。
(ドグ博士)
元研究者で、イヌ人が大好きな人間。レイシュトからドスシウダに向かっていた。
(テン キドナ)
1万年前の『奇跡の超天才』。生体AIチップ、スミロ人、キメラ、亜人、特殊チップを生み出した人。生まれはアメリカ大陸と予想。その後、スミロ人に追い詰められ、ここまで逃げてきた。滅ぼされた故郷を遺跡としてメノヴィーア内に再現した。私たちの生まれた世界では、おそらく幼い頃に死んでいるはず。
(マリ)
テンの妻。特殊チップの危険性を見抜いた。優秀な研究者。テンとは仲が良い(たぶん重要)。特殊チップを隠し、ユリに託す。隠した真の理由と託した理由は不明(重要)。
(ユリ)
マリの妹。特殊チップをマリから託された人。おそらく施設の扉などに描かれるユリの模様が意味する人。
(ユリの子孫)
代々特殊チップを護る他、護り人の役割を果たしてきた。施設の機械に文字を教えた。今代はユキさん。直系の人には漢字が伝わっている。
(第1施設)
エーンスタットそばの洞窟の奥にある施設。ユリの模様がある扉で護られている。作った人は不明(全施設共通)。施設のこと、生体AIチップの構成概要、エネルギー変換細胞を吸収できること、亜人には生体AIチップが寄生していること、護りのアクセサリーや護りのコートのことなどを教えてくれた。
(第2施設)
ドスシウダそばの洞窟の奥にある施設。結合力のことや、亜人が生み出された存在であることなどを教えてくれた。
(第3施設)
トライオラシそばの洞窟の奥にある施設。エネルギー変換細胞やコネクトの仕組みについて、詳しく教えてくれた。
(第4施設)
フューラスタードそばの洞窟の奥にある施設。AI細胞と特殊チップについて教えてくれた。特殊チップをユリの子孫が護っていることも教えてくれた。
(第5施設)
フィナルメンシウタットそばの洞窟の奥にある施設。歴史を教えてくれた。全ての生き物の幸せを護ることが役目だと教えてくれたが、まだ大事な何かがありそう(たぶん重要)。テン、マリ、ユリは第5施設訪れたことがある。そのため、施設の制作には3人の誰かが関わっていそう。第5施設の機械が言うには、第6施設はないとのこと。
(キメラ)
テンが生み出した。スミロ人への恐怖に打ち勝ち対抗するためにAI細胞に何か工夫がされている。敵対心などが学習されている可能性があるが詳細は不明。キメラと共存する方法は不明(重要)。最初にスミロ人に対抗するためのキメラが生み出されたが、後に人間に有益なキメラも生み出された。なぜか施設のある洞窟に引き寄せられるが、理由は不明(重要かもしれない)。
(スミロ人)
テンが生み出した凶悪な亜人と、近縁の少し穏やかな亜人がいる。現在生き残りがどのくらいいるのか不明。メノヴィーアを滅ぼした可能性が高い。ノエさんたちを殺した可能性が高い。
(モル人)
人類の遺伝子を残すためにテンが生み出した亜人。単純にそれだけが理由かは不明。かわいい。小柄。水を使える。野菜が好きで、畑が憩いの場となっている。モルジクにたくさん住んでいる。
(ウサ人)
人類の遺伝子を残すためにテンが生み出した亜人。単純にそれだけが理由かは不明。かわいい。風を使える。野菜が好きで、畑が憩いの場となっている。ラパンにたくさん住んでいる。
(ネコ人)
スミロ人に対抗すべく、人類に協力してくれそうな亜人としてテンが生み出した。氷を使える。ガトアルデにたくさん住んでいる。
(イヌ人)
スミロ人に対抗すべく、人類に協力してくれそうな亜人としてテンが生み出した。土を使える。衛兵として各都市で活躍している。
(研究所)
レイシュトに大きな研究所がある。何を研究しているかは不明。トライオラシにキメラ研究所がある。モルジクの東のほうに、謎の研究所がある。謎の研究所が何を研究しているかは不明。存在自体がほとんど知られていなさそう。謎の研究所が、私たちをこっちの世界に連れてきた。
(キラキラ鉱石)
成分などは一切不明。蛍光の特性がある。エネルギー変換細胞を吸収する触媒として働く。施設がある洞窟に多くあり、光が当たるよう工夫されている。これらは全て湖のそばにある。テンの生まれ故郷でも何かしら活用されていた可能性あり。
(護りのアクセサリー)
腕輪とネックレスがある。腕輪はスロットが2個、ネックレスはスロットが1個。エネルギー変換細胞を吸収するための触媒機能などがある。存在する数は不明。合計6個しかないかもしれない。
(護りのコート)
細胞でできており、身体を護ってくれる優れもの。寒さからも護ってくれている。形状を自由に操れる。お風呂にも着たまま入れて便利。施設ごとに細胞数が違う模様。第1から第4施設にはそのうち返しに行く必要あり。
(施設にあった武器)
理由は分からないが、握ると薄っすら色が見える。施設によって色が違う。第1から第4施設にはそのうち返しに行く必要あり。
(お菓子)
プルンはうまく作れた。クリームはまだまだ。レイシュトのお菓子屋さんが研究してくれている。良いクリームができたら、いろいろ作りたい。
(コネクトの便利な使い方)
風は高速移動や、飛んだりするのに便利。できれば全員習得したかった。
光は暗い場所を照らしたり、目くらましに便利。使ってくるキメラに遭遇したことなし。
水晶は光の力を上げるのに便利。火おこしにも使える。きれい。使ってくるキメラに遭遇したことなし。
水は生活にも攻撃にも便利で、放電との組み合わせは非常に強い。風と組み合わせた超高圧の水の刃の斬れ味はすさまじい。
土は壁として有能。生き埋めにされないように注意。ヤマが使うと人形まで作れるのはズルい。
岩は攻撃として強力。柱形状にもできるため、使い方の幅は広い。ヤマ魔法との組み合わせが最強。
氷は生活にも攻撃にも便利。これがなければ冷蔵庫は成立しない。攻撃は弾丸として便利。風と組み合わせた氷の刃もできるが、プリンの居合抜きの影に隠れている。
放電は水と組み合わせると気絶させられるため、非常に便利。ただし自分たちが感電しないように注意。使ってくるキメラに遭遇したことなし。
火はスミロ人が使うはず。未知。火に対抗するためには全員が風と水を使えるのが理想だが、それは難しそう。
ヤマ魔法は間違いなく最強。私たちのヤマだけが使えることがなによりの安心材料。理由は分からないが、岩などのとてつもなく重いものも勢い良く飛ばすことができる。土を消す落とし穴も非常に有用。インベントリにも使える万能コネクト。
◆◆◆
「このメモはすごいな。いくつか気になる表現もあるけど、大事なことが良く分かるよ」
「ありがとう」
特に、第2夫人候補とか第3夫人候補とかな…… モカが第1夫人だという主張なのだろうが、俺たちの日本では重婚はできないはずなんだけどな……
「今大事な点は、研究所の追っ手がフューラスタードの北に向かったこと、だな」
「そうよ」
「あと、研究所に行くだけでは無理かもだけど、俺のインベントリの記録地点を増やすこともできれば、並行世界間の行き来ができるようになるかもしれない、っていうのは大きな希望だな」
「そうなの」
「キメラについては、共存する方法は分からないけど、仮に方法が分かったとしても、みんなに受け入れてもらうためにはキメラと仲良くなる演劇を作ってもらうことが必要かもしれないな」
「そう思うの」
「あと残っている大きな謎としては、ユキさんが俺を見つけた方法、リアさんに渡す予定だった護りのネックレスをラパンそばの洞窟に隠した理由、マリが特殊チップを隠した真の理由、特殊チップをユリに託した理由、そんなところかな?」
「大体そんなところだわ」
このメモはこれからの旅の道しるべになりそうだ。そう思いながら、ゆっくりと眠ることにした。
いつもお読みいただきありがとうございます!
第3章はここまでで、次のお話から第4章に入ります。
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