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第52話 フィナルメンシウタットそばの洞窟

 衛兵施設をあとにし、南門に向かった。


 南門の衛兵にも軽くあいさつをして、外に出ることに。


「ダン隊長に頼まれましたので、少し様子見てきます」

「分かりましたワン! お気を付けくださいワン」



 南門を出ると、左側、つまり東側に湖が広がっていた。


 おそらくこのまま南に行けば洞窟に着くだろう。最近、キメラが出てきたということだから、このあたりにも普通のキメラがまだいてもおかしくない。


 俺たちは警戒しつつ進んだ。



 西側や南側の遠くにも山が見える。どうやらフィナルメンシウタットは山に囲まれたところにあるようだ。フューラスタードのそばに海が見えたことも考えると、この湖の向こうには海があるのだろう。



(ピカッ!)

(ヒュッ!)

(……ドサッ)


 キメラが何度か出たが、大体モカの光とプリンの居合抜きの合わせ技だけで片がついた。1度だけクマシカが出て、クルルの水と俺の放電を使って支援したくらいだ。


 俺たちにとっては大したことはなくても、普通の衛兵ではとても洞窟まではたどり着けないだろう。



◇


 1日近く歩いたところで、洞窟が見えてきた。


 やはり湖にほど近いところにある。いつものように、洞窟の近くでキャンプして、明日以降の探索に備えることにした。



「いよいよ第5施設がある洞窟だな。どんなキメラが出るんだろうな」

「たぶん、これまでで1番強いはずよ」


「どうやって倒すプイ?」


「相手を見てみないと分からないわ。でも、風でよけつつ、水をかけて、光も使ってうまいこと放電を成功させるのが1番簡単よね。相手次第ではプリンの居合抜きが必須だわ。でも、最後はやっぱり巨大岩とヤマ魔法の合わせ技かしら」


「これまでの感じだと、岩と俺のコネクトのあとにダメ押しが必要じゃないかな。岩と氷の塊を落としたり、居合抜きでトドメを刺したり」


「そうね。水の刃や氷の刃もあるから攻撃は豊富ね。まあ、プリンは氷の刃より居合抜きのほうが強いから使わないことが多いけど」


「となると、1番気を付けないといけないのは防御だな」

「そう思うわ」


「第4施設のキメラからは岩の弾丸を食らったからな。結構痛かったよ」



「……そうよね。奥にいるキメラはこれまで岩と氷だったけど、実は土も怖いなって思ってるの」


 それ、絶対フラグだよな、と思いつつ、話を聞く。


「どうして?」


「だって、強い土のコネクトなら生き埋めにされるわよ」


「怖いプイ……」

「どうやって抜け出すノ?」


「私たちはヤマ魔法があるから何とかなるかもしれないけどね…… 普通は回避する以外にないわ」



「でも、土だけを消すのは大変だよ」


「たしかにそうよね。そうなると回避しないとダメなのかしら。そうか、岩の部屋みたいなのを作ればいいかもね。まあ、土を使うキメラじゃなきゃ平気よ」


(だから、それフラグだってば……)


「逆にヤマの土で埋めちゃえばいいプイ」

「なるほどね、それもあるわね」


「いやあ、生き埋めはちょっと…… やっぱり短時間で倒したほうがお互い良いんじゃない?」


「そういうところがヤマらしくていいノ」

「そうね」

「分かったプイ」



 なぜかキメラ談義になったが、それもここが最後の施設だからだろう。


 ただ、本当の強敵はここ以外にいることは間違いない、それだけは分かってはいるのだが……



「まあ、どんなキメラでも、俺たちなら何とかなるさ。ここのキメラはメノヴィーアを滅ぼしたキメラとは違うはずだし」


「そうよね。安全優先で焦らず行きましょう」



◇


 次の日、いよいよ洞窟に入った。


 ここの洞窟も広いようだ。探索には時間がかかりそうだ。


 また、ここも明るいパターンの洞窟だった。どうやら第2洞窟のところだけが暗いパターンだったようだ。



 まずは入り口近辺を歩いてみたが、すぐにキメラに遭遇した。


 きっとこいつがフィナルメンシウタットから目撃されたキメラだろう。



「あれは、クマ……ガメかしら?」

「そうだよな。甲羅の鎧を着たクマだな。つまり硬いってことだよな」


「ん? 意外と攻撃してこないわね」


「油断しないほうがいいプイ」

「そうナノ」


「そうだよな。まあ、いつ攻撃されてもいいように気を付けよう。どうやって倒そうか」


「うーん、プリンに首を斬ってもらうしかないわよ。問題は落とし穴が効くかどうかかしら」


「効かないんじゃない? ほら、だって後ろ足だけで立ってるじゃん」

「そうね。って、攻撃してくるわよ!」


 のんきに議論してたら向こうは攻撃体勢に入っていた。慌ててこちらも体勢を整える。クマガメは水鉄砲をモカに放ってきた。


(ズザーッ!)

(ヒューッ!)


 モカは簡単によけた。水か、と思っているとモカが言う。


「ヤマ、放電はやめたほうがいいわ。こっちまで感電するかもしれないわよ!」

「そうだった…… 危なく使うところだったよ」



 今回もモカに助けられたようだ。


 ということは――


「クルルと俺で、岩を使ってあいつを固定するのはどう?」

「いいわね。そうしたらプリンが居合抜きしやすいわ。ついでに光を使うわ」


「よし、それでいこう。クルル、よろしく!」

「まかせてプイ」


(ドン!)

(ドォーン!)

(ブガッ!)


 やっぱり甲羅は相当硬いようだ。岩と壁に挟まれても生きている。


 しかも、そのままの状態で水をクルルに放ってくるようだ。


(ズザーッ!)

(サッ)


 クルルは風は使えなくても動体視力と反射神経が優れているから普通によけた。


 追い打ちをかけようとするクマガメにモカとプリン組の攻撃がさく裂する。だが、壁際だから居合抜きは難しそうだ。俺も攻撃に加わることにした。


(ピカッ!)

(ブガッ!)

(ヒュッ!)

(ズバッ!)

(ボトッ……)


 クマガメの首を落とし、倒すことに成功した。


 身体が岩に挟まったままはちょっと気の毒なので、岩を消しておこう。


(スッ)

(……ドサッ)



「……この強さのキメラがフィナルメンシウタットに突入したらかなり危ないわね」

「衛兵たち総出で、何とか食い止めるしかないんじゃないかな?」


「プリン、この甲羅は斬れないわよね?」

「試してないから分からないノ。この刀なら傷は付けられるとは思うノ」


「いや、斬れたとしても刀が悪くなったら困るからやめておこうよ。本当にやらないといけないときだけにしよう」

「そうね。そうしましょう」



 キメラはどんどん強くなってくるのに、衛兵たちの強さはあんまり変わらないからフィナルメンシウタットは大変だな。


 そう思っているとモカがその答えを教えてくれた。



「そうか。ダン隊長がプリンの師匠に何度も会っているのはここのキメラが強いからよ。エーンスタットに比べてもずっと強いじゃない。だから、キメラが強くなる前に確実に来ないと衛兵が全滅しちゃうわ。他の都市よりもたくさん来てたんじゃないかしら?」


「なるほどな。たしかに全部均等に行く必要もないわけか。でも、それだとフィナルメンシウタットに住んでるほうが効率的じゃない?」


「たしかにそうね……」


「強い衛兵ほどこっちに配属されるかもしれないノ。ボコ隊長よりリコ隊長のほうが強かった気がするノ」


「なるほどな。ダン隊長はもっと強そうだもんな」


「そうね。メノヴィーアから来るときも、クマシカと戦えてたわけだしね」


「そうだよ。あれがガトアルデあたりに出たら危険過ぎるよ」


「なんとなく、フィナルメンシウタットに戻ったら手合わせして、って言われそうね」


「いいと思うノ」

「仲良くなれると思うから、いいと思うプイ」


「だな。じゃあ、進むか。ここ広そうだな。また、クルルとプリン人形置いていこう」



◇


 しばらく進むと少し広いドームのようなところに出た。


「なんか奥のところっぽいけど、キラキラしてないな」

「そうね。でも、キメラはいるわよ」


「あれは、たぶんクマザル、ナノ!」

「第3施設のところにいたキメラか。嫌なキメラだな」


 なぜかモカが小声で言う。


「サルは頭がいいから作戦をあまり話さないほうがいいわ。とにかく、ヤマの放電をさく裂させてプリンが斬るか、クルルの岩とヤマ魔法かの2択よ。できれば放電で」


「ああ、分かった。気付かない振りして絶対気付いているから先制攻撃するよ。クルル、あいつの上から水をぶちまけて濡らして」



 向こうは気付いていない素振りを続けている。


 おそらく最初の攻撃は強いものじゃない限り受け止めたりするだろう。そこが狙い目だ。まさか普通に水をかけられるとは思わないだろう。



(バシャッ!)

(キキーッ!)

(ビリビリ!)

(ビクビクッ!)

(ヒュッ! ヒュッ!)

(……ドサッ)


 勝負は一瞬だった。


 水をかけられ怒ったクマザルに思い切り放電し、ほぼ気絶状態にした。そこまでいけば勝負ありだ。


 さすがにびしょぬれ状態で放電を回避しつつ、感電した芝居は難しいからだ。


 居合抜き2連発がさく裂して、あっという間に勝負が着いた。


「第3施設前では苦労したのに、一瞬だったわね」

「ふいを打ったのもあるけど、攻撃手段が増えてるからかな」


「水と放電の組み合わせは、ぬれちゃったらなかなか回避は難しいから有効よ」


「俺たちがぬれてなければ、な」

「そうね」



 クマザルをあっさり退けた俺たちは先に進んだ。


 ドームの出口はなんと3つもあった!


 どれに行くべきか。とりあえず、入り口側にクルル人形を置いておこう。



「さすがに湖側に進むのが正解とは限らないよな」


「そうね。まだまだ距離がありそうよね。左から順番に行く?」


「そうだな。どれかは正解だろうから」



◇


 左側を進むとまたドーム状の部屋についた。


 今度はキメラはいないようだ。このドームの部屋は出口は1つしかないため、そのまま進むことに。


 さらに進むとまたドーム状の部屋についた。今度は出口が正面と右奥にあった。




 どうやらここは迷路のようだ。




 こういうときはモカが頼りだが、その前にキメラを倒す必要がありそうだ。急いで入り口にプリン人形を置いた。



 久しぶりに見た、イノトラだ。前は第1施設の洞窟によくいた気がする。


 例によって突進してきたため、モカが光でひるませることに。


(ダダダダッ)

(ピカッ!)

(くるっ! ダダダダッ!)


「おっ、いきなり曲がった!」


(ヒューッ)


 突進されたプリンは横に回避した。


「どうやら勘のいいキメラみたいプイ」


「第1施設の洞窟にいたやつより強いな。油断せずにいこう」

「分かったノ」


「クルル、まずは相手の動きを制限してくれる? あとはヤマ魔法かしら?」

「やってみるプイ」


(ズバババン!)

(くるっ! くるっ!)


 そうくるなら土壁かな。


(ドン! ドン!)

(くるっ! ピョン!)


 土壁に器用に乗ろうとした。


 引っかかったようだ。プリンに目配せした。


(スッ)

(プギャー!)

(ヒュッ!)

(……ドサッ)


 乗ろうとした土壁が急に消え焦ったイノトラにプリンの居合抜きがさく裂して勝負ありだった。



「同じキメラでも、ここのほうが強いんだな。特にイノトラは風だから動きが速くなってたな」


「なかなか大変な迷路ね。この先どっちが正解かしらね」


「とりあえず目印の人形を置いていくから、順番に行くしかないよ」



「ある程度調べたら1度出てキャンプしましょう。1日で攻略するのは厳しそうだわ」


「そうだな。とりあえず左側に来たから、右側のは後回しして、前に行くか」


「そうしましょう」



 ここは道に迷うことが1番危険な洞窟のようだ。


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