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青い半魚人  作者: 松下真名
第二章
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158/206

手紙㉕――アミから侑子へ

ユーコちゃん



ずっと返事が書けないままだった。申し訳ない。

ユウキからも聞いていると思うけど、親族に不幸があってね。しばらく帰れない日が続いたんだ。


たくさんの資料をありがとう。

そちらの世界の『昭和』という時代には、大きな戦争があったんだね。

以前送ってくれた世界史年表とも照らし合わせてみた。興味深かったよ。


人類の歴史が戦争の歴史でもあることは、こちらもそちらも変わらないらしい。覇権がどの国、どの地域に渡るかによって、他の国々が受ける影響が微妙に変わってくるだけだ。


魔法の存在しない世界の戦争とは、どんなものなのだろう。

核爆弾というものも気になった。聞き慣れない言葉だった。

ニホンが唯一の被爆国だということも。


ユウキからは、あまり怖い話を書くなと念を押されている。


だけどユーコちゃんは、何も知らされない方が嫌だろう。

俺は、そういう子だと思ってる。


だから、最近この国で騒がれていることを書くよ。


魔力を持たない子供が、生まれるようになった。

どういうことか分かる?

生まれた時から、魔力を全く持っていない赤ん坊が確認されるようになったんだ。


ヒノクニでは、母親の中で命として芽生えた時から、子供には魔力が生じ始める。

それが、なかったということ。

一時的なものでもない。

生まれてから時間が経っても、魔力が生じない。

魔力を見ることができる者が確認しても、何も見えない。

保有する魔力が、完全にゼロなんだ。


一人だけではないよ。

地震が頻繁に起こるようになった頃から、そういう子供の誕生が報告され始めた。


モモカちゃんもだ。

彼女にも、魔力がない。

これから成長していく中で魔力が生じるのか、それはまだ分からない。


もう一点ある。

こちらは、ヒノクニに暮らすほぼ全ての人間に起きている。


消耗した魔力の回復が、以前より明らかに遅くなった。

全く回復しなくなった人もいる。

程度には個人差があるけれど、以前と同じように魔力を回復できる人間は、ほとんどいない。


魔力を持たない子供が生まれるようになったことより、今はこちらの方が大きく騒がれている。

当然だろうね。

ほとんどの人間が、当事者なのだから。


俺もそう。

ユウキも。


だから今は皆、なるべく魔法を使わずに生活している。


ただ、一人だけ例外がいる。

ツムグくんだ。

彼だけは、以前と変わらない速さで魔力を回復させることができている。


今のところ、俺たちに分かっている違いは一つ。

ツムグくんの魔力が、無属性だということだけだ。

これが何を意味するのかは、まだ分からない。

進展があれば、また知らせるよ。



アミ

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