手紙③――侑子からユウキへ
ユウキちゃんへ
びっくりした!
まさか本当に、あの手紙がそっちの世界に届くなんて。
それだけじゃない。返事が来るなんて! とても驚いています。
届いたらいいなって思ってはいました。だけど確証なんてなかったし、がっかりして終わりだろうと思ってた。
手紙は私の部屋からつながる屋根裏に置いたの。その場所が、ジロウさんの家の魔石ソケットがあった場所になんとなく似ていて、あの場所まで繋がっていそうだなんて思ったことがきっかけで。
ユウキちゃんは? あの手紙はどうやって出したの?
この手紙を書き終わったら、また同じように屋根裏に置いてみようと思ってます。そしてまたユウキちゃんのところへ届いたら……私達はまた、こうやってお話できるってことだよね?
私は今日から新学期でした。一年間学校に通っていなかったから、もう一度同じ学年をやり直しになりました。今までとは別の学校に編入することになったけど、いとこたちと同じ学校なので心強いです。
そして、学校でまた音楽を続けられそうだよ!
軽音同好会というところに入りました。(授業とは別で、学校内で生徒たちが興味関心のある分野の活動をすることを部活って呼んでいるんだけど、その中でも小規模の団体のことを同好会っていいます。)
軽音同好会では何をするのかっていうと、バンド演奏ができるの。ギターもそこで続けられそうです。(私がギターを弾けるようになっていたので、皆に驚かれました。)
毎日歌ってるよ。ユウキちゃんと一緒に歌った歌を沢山。
歌っていると、私がそっちの世界にいたのは夢ではなくて現実の出来事だったんだなって、実感できるから。
私も会いたい。ユウキちゃんに。皆に。
こっちの世界に戻ってきて、家族やいとこたちと会えたことは、確かに嬉しい。だけど、あんな風に突然お別れなんて……
この手紙、どうかまた届きますように。
侑子




