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±0  作者: 日向陽夏
第4章 黒へと至る少女【後】 絶対零度編
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幕間㉗ サマエルの目標【百鬼結視点】


「いやーん、負けちゃう~」


 サマエルは嘘泣きをしながら、私たちを煽る。

 5分、全ての力を出したが、サマエルにダメージを与えることはできなかった。

 最後はデルタすら出したが、結果は変わらず。


「……まさか、これほどとは」


 ジェネシスの節約だとか、そういうことは一切考えなかった。

 一撃で殺すつもりで、やったのに……。

 だが、サマエルも私たちを警戒しているのか、不用意に接近戦はしかけてこなかった。自分が殺される可能性がある、ぐらいの脅威判定はしているらしい。


「まぁ、これが”相性”ってやつなのかもしれませんね。恐らくあなた達は人間の”自我”に直接干渉することに特化した、対人間精神兵器のような存在。セリカ嬢や透っち相手ならかなりいい勝負をすると思いますが、ウチには今ひとつの効果なようでした」


「……つまり、お前が透明から別の色に”変色”した時、お前を殺せるってことか」


「おやおや、あなたは私に自我など無いって言っていませんでしたっけ?」


「…………」


「ヘヘ、二律背反っすなぁ。アンタらはウチに魂は無いと言うが、ウチが魂を獲得しないと殺せない。透明な状態のウチを殺せるのは、セリカ嬢だけなんすかね? やっぱし」


「セリカに拘るのはなぜだ?」


「さぁ、よくわかりません。ただ、ウチが神を目指すために学習すべき素材であることは確かっすね。論理というよりかは、シックスセンス的なあれですが」


「今のお前にとって、神とは何だ?」


「あらやだ。時間稼ぎでちゅか~? おばさん、こう見えて忙しいのよね。若い子と違って」


「……」


「ま、いいでしょう。特別出血大大大ボーナスで教えてあげましょう。神とは、”知る者”だと今のあたしゃあ思いますぜ」


「知る者?」


「人類の半分ぶっ殺して救済するマッチポンプも手段の一つとしてストックはしてありますが、それは多分、”神以外でもできる”んじゃね? って思っちゃったんよネ。戦争に強い国で独裁者が生まれれば、それに近いことはぶっちゃけ可能。でも独裁者って暗殺におびえたり、後継者でもめたりするじゃん。雑魚いよね。独裁じゃあ人間と変わんない。恐怖による支配よりも、”信仰させる”ことが重要。大事なのは、神にしかできないこと。それができるようになれば、自然と人類は私に従うようになる。万物全て、経済も科学も宗教も文化も未来も、あらゆる全てを理解している存在がいれば、人間は従わざるを得ない。《全知全能》の、まずは半分を目指すってとこっすかね」


「具体的には?」


「フッ、さすがにそこまで教えてあげる義理はないカナ。さて、お遊びはこの辺で、そろそろ私はお暇しますわ。そろそろ放置し過ぎたママンが心配で」


「……逃がすとでも?」


「こっちは、善意で言ってあげてるんですけどね。アンタらがジェネシス切れになるまでやりたいって言うなら、しゃあないデス。デスさせますデス」


「……」


「セリカ嬢のこと、お願いしますね。絶対に、死なせないように……。私がその脳をいただくまではネ。それでは、よしなに」


 サマエルはそう不適な笑みを浮かべると、私に背を向けて行ってしまう。

 ギリ、と握りこぶしの爪が皮膚に食い込む。

 敗北感を胸に、私はサマエルの背中を見送ることしかできなかった。


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