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±0  作者: 日向陽夏
第4章 黒へと至る少女【後】 絶対零度編
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第17話 マゼンタの悪魔㉟【赤染アンリ視点】


 《快刀乱麻》解除。

 体内に忍ばせた銀のレイピアを消滅させる。いばら姫にこちらの反射を読まれ、やつの《曼殊沙華》カウンターが通じない以上、この罠に意味はない。

 思考の速さ、判断の速さ、対応の速さが全てだ。

 同時ゲームに持ち込まれた以上、お互いに”一手”で決着がつく。

 やつの《自在転移》を”反射”するか、しないか。ただの二択だが、間違えば即死する。

 頬を大量の汗が伝い、くすぐったい。

 マグマの温度で身体が悲鳴を上げている。

 《無限再生》を発動し、熱中症で死ぬことはないけど、暑いものは暑い。

 緊張……しているのか、私は。


「…………っ」


「…………」


 いばら姫にも相当なプレッシャーがあるはずなのに、躊躇なく《八咫之鏡》を第三の腕が手のひらでタッチする。

 何の躊躇もなく、”攻め”で来るか……。

 防御、盤石、堅牢な戦闘スタイルを主としている、いばら姫にしては珍しい選択。

 いばら姫の性格は好戦的、冷笑主義的な性格に見えるが、内実は保守的で慎重。

 最後の最後で攻めで来るのは、私の思考を上回る為か……。


 《自在転移》――ジザイテンイ――


 《即死愛撫》――ソクシアイブ――


 ――――間に合え!


 加速能力を発動。

 完全に出遅れた。いばら姫を一瞬だけ見誤った。

 死を覚悟しつつ、マグマの雨の隙間で私は能力を発動する。


 《快刀乱麻》――カイトウランマ――


 具現化する座標は、手元ではなく、《八咫之鏡》に重なるように。

 反射キャンセルをするには、これしかない。


「…………っ!?」


 《自在転移》は確かに発動した。

 だというのに、私も、いばら姫も、転移していない。

 いばら姫の、滑らかなシルクのような素足が視界に入り、違和感を抱く。

 いつの間にか。いばら姫の履いていた靴が……消えていた。

 ……ということは、つまり。

 ……テスト、したということ。この状況で、自分自身でも、私でもなく、転移対象を自分の靴にすることで、《自在転移》の結果を検証したのだ。

 こちらは命を懸けたというのに、この女。

 僅かな敗北感に、苦笑すら零れる。


 ――――どうする。


 初手がフェイクだった以上、”次”がくる。

 剣と盾の重ねを解くか、否か。


 ――――どうする。


 《自在転移》――ジザイテンイ――


 僅かな逡巡すらあざ笑うかのように、再度いばら姫は能力を発動した。



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