第26話 ララとの初夜と嵐の前の静けさと
会議が終わって午後4時過ぎ、夕食にはまだ早い時間と言う事で、
シュンは牧場へ足を運んでいた。
そこには豚と牛、鶏と羊に馬と自由に放牧され、
子供達が面倒を見つつ遊び笑顔が溢れる場となっていた。
「楽しそうだな~」
「ふふふ、子供達の無邪気な笑顔、いいですよね」
「フローリア、なんでここへ?」
「ふふっ、羊の様子を見に、あとは子供達と遊びに来たんですよ」
「子供と?フローリアが?」
「ええ、そうですが、なにか納得行かない顔をなさっていますね?こう見えて私、子供が大好きなんですよ」
「意外だったな~、俺はむしろ嫌いなんじゃないかって思ってたよ」
「外見で判断するなんて、御主人様、人として余り良くないですよ?」
「あ、うん、ごめん」
「うふふ、冗談ですよ、謝らなくていいです、でも、子供達は本当に好きなんですよ、幸いにも私には両親ともに健在ですが、この子達を見てると……、もっと何か出来ないかと考えてしまうんですよ」
豚や羊達と戯れている子供達を眺めながら、
フローリアはやや俯いて自分の非力さを非難した。
そんなフローリアにシュンは肩に手を回し自分の方に引き付け、
もう片方の手で優しく頭を撫でながら声を掛けた。
「人には出来る事なんて限られてるからね…、サランちゃんの弟にしてもそうだけど、俺やフローリアが1人で助けようとしても出来ないんだよ」
「確かにそうですが……」
「でもさ、病気や天災は仕方ないけど、盗賊とかに親を殺されて孤児院に入っちゃう子達なんかはいくらでも減らせると思うよ、俺もフローリアも、もう1人じゃないんだから、みんなで力を合わせればこう言った子供達は必ず減らせるよ」
「そうですね」
「うん、それにこの子達は確かに不幸だったかも知れないけど、今こうして笑顔で暮らしているんだし、フローリアがそうやって何かをして上げたいって思って接してるのは、子供達にだって伝わってるよ、絶対にね」
「御主人様…、少しキザですね」
「あ、そ、そうかな?ははは、気持ち悪かった?」
「いえいえ、嬉しいですよ、本当に…、私のして来た事が間違いじゃないって思えましたし、御主人様に変態じゃない部分も知って貰いましたから」
「ははは、変態か、それを言うなら俺もだからな~」
「ふふふ、そうですね、でも、やはり御主人様は優しいです、私達だけでなく、子供達を見る目も凄く優しい…、御主人様が、ふふ、シュン様が私の御主人様で本当に良かったです」
キザったらしく講釈を述べるシュンにフローリアは目を細めて見つめ指摘し、
シュンはそのキザっぽい物言いを少し恥じた。
しかしフローリアはその物言いに対して嫌悪感を抱くどころか、
話ながらも子供達に向ける優しい目元を褒め、
自分が慕って来た事を心から良かったと伝え笑顔を向けた。
「ありがとう、俺ももっと頑張らないとね、漠然としか考えないで行動してるし、今回の戦争だって俺がもっと上手く立ち振る舞えば起きなかったんだし」
「それは、そうだと思います、しかし、未来の事なんか分からないのが当たり前ですし、自ら吹っ掛けた戦でもないのですから、仕方ない事ですよ」
「それは、うん、こうなった以上はベストを尽くすしかないか、フローリア、力を貸してね」
「はい、それは勿論ですよ、この戦で被害が出ないように手を尽くします」
夕日沈み掛け辺りの風景の色が変わり始めて来て、
遊んでいた子供達も放牧されている動物達と共に帰って行き、
シュンとフローリアに手を振っている。
それを2人も手を振って応え自分達も自宅へと戻って行った。
その帰り道どちらからともなく手を繋ぎ、
シュンは珍しく照れているフローリアの顔を見ながら微笑み、
初々しい雰囲気の中自宅へと入って行った。
フローリアと自宅へ帰って来たシュンは早速風呂に勧められ、
先に1人で入っていた。
自宅の改装も全て終わっていて、恋人達1人1人の部屋は勿論、
風呂場も増築され100人は入れるほど広くなっていた。
その上風呂の真上にも同じ広さの部屋が作られて特大のベッドが置かれ、
メイド衆も含めた恋人達全員がシュンと一緒に寝れるようにされている。
その広くなった風呂場の脱衣場では恋人達が一斉に裸となり、
シュンと風呂を楽しもうとしていた。
「うふふふ、どうしたんですか?赤狐さん?」
「あ、い、いや、なんと言うかね、その、みんなで風呂に入るのは当たり前の事なのかい?」
「………うん、シュンはエッチーいから、みんなで入るのが好き」
「そ、そうなんだ、当たり前なら、うん、仕方ないか、あたしも一緒に入るよ」
「ふふふ、赤狐ちゃん、一家団欒と行きましょう」
「じゃあぁ、行きましょうかぁぁ」
恥ずかしがって裸になれないララを説得して裸にさせ、
恋人達は一気に風呂場へと突貫して行った。
そして恒例となった風呂場での愛し合いにララは驚きを隠せなかったが、
この家ではこれが当たり前だと嘘を教えられ信じさせられてしまった。
ユウに始まりサリィが続き、最後にカノンと交わりになる頃には、
ララもじっくりと見学し初夜の為にと後学する始末だった。
そんな入浴も終わり夕飯を楽しく食べて、
いよいよララとの初夜へと場面が移って行った。
「ララさん、凄く綺麗だよ」
「な、そ、そんな、褒めてくれてるのかい?あたしを」
「うん、赤い髪も綺麗だし、身体も、す、凄く素敵だよ」
「あ、ありがとう…、あたしをそんな風に見てくれるなんて、恥ずかしいけど、凄く嬉しいよ、じゃあ、その、始めようか、あたしの身も心も全部君に、上げる……ちゅっ」
シュンの部屋のベッドの中でシュンとララは裸になって見詰め合っていた。
そしてシュンはララの肢体を褒め、髪と同じく真っ赤に顔を染めたララは、
口上を述べてすぐに自らファーストキスを捧げた。
そんなララは恥ずかしさを誤魔化す為に勢いを付けて行き、
シュンの身体に跨るや処女も自ら捧げ、愛の交わりを激しくして行った……。
「ふふふ、気持ちいいね、最高だよ、君に抱かれてると女で良かったと心から思えるよ」
「そんなに喜んで貰えてるんだ」
「ああ、この喜びは他では味わえないね、もっと、いいかい?」
「うん、ララさんが平気なら」
「全然行けるよ、あたしもタフな方だからね、後5回は出来るよ?」
「ははは、なら俺も頑張ってみようかな」
「あははは、無理はしなくていいからね、眠くなったらいつでも寝ていいよ、君にだったら甘えられるのも悪くないし」
「うん、でも、もっと楽しませて上げるよ」
ララの主動の下2回ほど愛を中に注いだシュンは、
喜びに満ち溢れているララの笑顔で更に元気になって行き、
受身から一転して今度はシュンからララの身体を求めて行った。
その数4回とララの言っていた回数より少ない数であったが、
5回は行けると言っていたララの方が先に限界になって寝てしまい、
シュンはやり過ぎたと後悔しつつその寝顔を見ながら自分も寝入って行った。
「あはははは、いや~、シュンは化け物だね、風呂場で3回も出して尚、あたしの中に6回も出してまだ元気だったみたいだから」
「うふふ、私達も本気になったシュンちゃんには根を上げてしまいますからねー」
「うんうん、騎士団で鍛えた身体と根性を持ってしても耐え切れないからな」
「婚約者が増える度に勢いが増して行くんですよね、シュン様は」
シュンとの初夜が明けて皆で朝食を取る為食卓へと来たララは、
すでに集まっている恋人達と昨夜の話で盛り上がっていた。
その間シュンは起こしに来たサリィによって悪戯されており、
寝起きの一発をサリィに注がされてから食卓へ来た。
「元気ですね~、シュンさんは~」
「うん?」
「聞きましたよぉ、赤狐お姉様から」
「な、何を?」
「………一晩で6回、計9回も出したって話」
「ぶっ、なんちゅ~話をしてるんだか」
「ふふふ、そんなに出して朝から出来るんですから、凄いですよね」
「お母さん?襲ったの?」
「うふふふ、襲われたのは私ですよ?うふふふふ」
「は、はぁ、凄過ぎだよ、シュンくん」
「そうですね、いくらハーレム王だからってお師匠様は化け物ですよ、実際」
シュンの異常さに呆れつつも好ましく思っている恋人達は、
朝食を食べながらもその話に終始して楽しく食事を行い、
それぞれの仕事に向かって行った。
そんな中でシュンは集めた魔法石を貿易によって売り出す為、
チュヒの下へ行き取引相手はどこがいいか相談をしに言った。
「ふむ、エルフ達ならいい取引になると思いますぞぇ」
「エルフ?」
「うむ、あやつらは魔法石を好んで食べるからのぉ」
「え?食べるの?てか食べれるの?」
「うむ、わらわも食した事はあるが…、まあ、石は石じゃ、旨い物ではないぞぇ、だがのぉ、エルフ達は魔力を維持する為に食しておるらしいのじゃ、平和的に取り引きする事を考えたら1番だと思いますぞぇ」
「そっか~、食料としては考えた事もなかったな~、お母さんならエルフの居る場所に行った事あるっぽいし、ちょっと行って来るよ」
「うむ、ならば旦那様、少々お待ち下され、わらわが書状をしたためましょう」
「うふふ、旦那様、夫が書状を書いている時間、お暇でしょうから、うふっ、時間潰しにわたくしの身体を弄んでいて下さいな」
「え、ちょっ」
「ほっほっほ、妃はずるいのぉ、まあ、旦那様、暇潰しに妃の身体を弄繰り回してて下され」
チュヒとクインの3人でお茶を飲みながら相談していたシュンは、
エルフとの取り引きが1番良いと勧められ、
エルフの住む国へ商談をしに行く事を決めた。
そこでチュヒはエルフの国へ行くシュンの為に書状を書いてくれ、
クインはシュンの座る膝の上に向かい合う形で跨り、
アイリーンやチュヒとはまた違った高貴な色気でシュンを魅了し、
乳繰り合いながら書状が書き終わるまで相手をしていてくれた。
「お待たせしました、旦那様、これを渡せば話も進みましょうぞ」
「ん……、はぁ、あ、ありがとう」
「ふふふ、妃よ、あやつらに渡す手土産を用意してくれないかぇ?」
「あら、そうでしたわね、旦那様、少しお待ち下さいませ、ただいま手土産を用意して来ますわ」
書状を書き終えたチュヒはシュンとキスをし合っていたクインに、
エルフの国へ持って行く手土産を用意するように言い、
言われたクインは微笑みながらシュンの下から離れ、
部屋から出て行った。
「え?あ、土産なら俺が、んっ、……はぁはぁ、チュヒ」
「ふふふ、旦那様、妃が帰って来るまで、今度はわらわがお相手致しますぞぇ、それとも純粋な女子じゃないわらわじゃ嫌かぇ?」
「嫌だったらその指輪を渡してないよ?それに純粋な男ならあれだけど、チュヒはもう女で固定されたんだし、そんな事、気にする必要もないって」
「うむ、流石は旦那様じゃのぉ、嬉しい事を言って下さるのぉ、そんな風に言って貰ってお礼をせぬのは申し訳ないからの、わらわのこの口でも楽しんで貰いますか」
「え?ちょ、チュヒ、お、お~い」
「ほっほっほ、わらわからのお礼じゃ、楽しんで下され………」
クインと交代する形でチュヒがシュンに口付けをしたが、
少し寂しそうな表情で口を開き嫌か聞いて来た。
純粋な女ではない事を気にしている言葉に対してシュンは、
膝の上に跨っているチュヒに優しく返答を返し、
その言葉に喜ぶチュヒは膝の上からゆっくりと降りた。
そしてお礼だと言ってシュンの座っている椅子と手前のテーブルの間に跪き、
返礼の奉仕を施して行った……。
「あ、あらあら、丁度いいタイミングでしたわね」
「ふふっ、何を申すか、そこで覗いておった癖に」
「うふふ、そんな事していないですわ、はい、旦那様、これが手土産ですわ」
「あ、う、うん、ありがとう」
「ふふふ、次にお越し頂いた際には、是非ともわたくしにさせて下さいましね?」
「う、うん」
「ほっほっほ、では旦那様、エルフの居る国、サライネフ国に向かって下され、やつらは昼間しか行動をしないゆえ、遅くなったら商談が出来なくなってしまうからのぉ」
「分かった、じゃあ、その、ありがとうね、色々と…」
「うふふ、いえいえ」
「ふふっ、この程度で良ければいつでも」
「あ、うん、じゃあまた、来るね」
チュヒの奉仕が終わってすぐクインが室内へと入って来て、
エルフ用の手土産をシュンに手渡した。
しばし呆然としていたシュンだったが、
エルフは昼間しか行動をしていないとチュヒが教えてくれ、
色々ありがとうと礼を述べてシュンは島に戻りサリィにエルフの国、
サライネフ国へと飛んで行った。
「質素と言うか、飾らない国なんだね~、ここは」
「そうですね、自然を好む種族ですから」
「俺らからしたら暮らし辛く感じるけど、エルフに取ったら当たり前の生活なんだね」
「はい、あっ、シュンちゃん、ここが王の住む家ですよ」
「王様も他のエルフと変わらない家か、好感が持てるね」
「ふふふ、人柄も好感が持てますよ」
サライネフ国へ降り立ったシュンとサリィは、
木々の生い茂る村を歩き回り一軒の木で出来た家の前に立ち止まった。
その家は歩きながら見て来た家と同格でとても王が住む家とは思えなかったが、
中へ入ると外から見たよりも遥かに広く感じられ、
中央に位置した王座に鎮座している王が出迎えた。
「久しいの、勇者様、その若者は?」
「お久しぶりですね、サライネフ王、このお方は私の婚約者で覇王様のシュン クルス様ですよ」
「なぬ?覇王様?つい先日現れた男とは違うように見受けられるが」
「ああ、あいつは魔人だったんだよ」
「な、なんと…、魔人だったとな……、う、うむ、確かに本物の覇王様だ、よく考えたら証明書など必要ない物だったな、不覚を取ったわ」
「ま、まあ、もう倒したし、その事で話に来たんじゃないんだ」
「はて?ではどう言った用件で?」
サリィに挨拶をしシュンは何者かと尋ねて来たサライネフ王に、
サリィも挨拶を返した後シュンは自分の婚約者で、覇王であると伝えた。
その言葉に驚くサライネフ王にシュンがステータスを見せ、
本当であると証明した。
それによって偽者に騙されたと反省するサライネフ王だったが、
シュンはもう偽者は倒したからいいと制し、商談を始めて行った。
「魔法石を取り引きしたと?それはそれはいい話だが、どのくらいの量をお考えで?」
「ん~、逆にどのくらい必要?」
「そうよなぁ、最低でも週に50個は欲しい、ギムダイン国からライネック国になって輸入がなくなってしまったからな」
「そっか、最低でも50か、勿論大きい方だよね?」
「うむ、小さい方も子供用に買いまするぞ、子供は小さい方が食べ易いのでな」
「そっか、1日30個ずつなら決まって売れるから、毎日届ける?」
「な、なんと、毎日30と……、それはありがたいが、毎日来て貰うのは悪いし、纏まった金が用意出来ん、3日に1度こちらからも森で取れた果物や野菜を持って行くからその時に取引してくれませぬか?」
「うん、それがいいね、その方が金銭の受け渡しも楽だし、果物とか野菜も欲しいしね」
「話が分かる方で良かった、では明日にも取引を始めたいが、こちらからはどのくらい持って行けば良いですかな?シュモン国へ持って行く物も全てそちらと取引する形で?」
「あ~、まだ貿易を始めたばっかりだし、チュヒとは魔法石しか扱わない約束だから、あ、そうそう、チュヒから書状を預かってたんだ、はい」
商談を始めてサライネフ王もかなり興味を持ったのか、
お互いに大規模な貿易の話に持って行こうとするが、
シュンは魔法石を取り扱う事だけをチュヒと取り決めていた為、
サライネフ国との大規模なやり取りには賛成しかねず、
チュヒから預かっていた書状を思い出しサライネフ王へそれを手渡した。
「シュモン王から書状か、………ふむ、確かに今の所は魔法石の取り扱いのみの貿易に限られているようですな」
「うん、だから果物とかは余った奴を買うよ」
「それで良いならそうさせて頂きますが、ふふっ、あやつめ、覇王様?エルフにも興味はおありですかな?」
「うん?」
「金がなかったら若いエルフの女を差し出しても取引出来る、と書いてありますが」
「ちょっ、いやいや、俺はそんな事言った覚えがないよ、チュヒが勝手に、全くも~」
「ふふふ、やはりあやつが勝手にですか、しかし魔法石はかなりの値段がします故にですな、支払いが出来ない時も…」
「リーン、アイリーンから買ってた時はいくらで取引してたの?」
「ふふふ、旧ギムダイン女王も愛称呼びとは、もう2人の覇者を靡かせたのですかな?」
「あ、ま、まあ、その2人は俺の婚約者で、ははは」
「なんと、あの女狐のギムダインと曲者のシュモンの2人共をなぁ、じゃあ、ダードン王とも親交を?」
「うん、ダードン王も凄い良くしてくれてるよ」
チュヒの書状には若いエルフの女性となら、
金を出さずに魔法石と交換しても良いと書かれていたらしく、
サライネフ王はシュンが書かせた文面なのか確認を取った。
しかしそれはチュヒの勝手な判断による物だと弁明し慌てるシュンを見て、
そうだろうと予測していたサライネフ王は微笑を浮かべる。
そして話は本題から横道へ逸れて行ったが、
サライネフ王はまたきちんと話を戻して行った。
「流石ですな、ああ、そうそう、ギムダインめと取引していた時は1つ5千Gで買っておりましたわ」
「5千は高くない?ぼったくりもいい所だよ、後でリーンに言って置くね」
「はっはっは、いやいや、あやつが直接指示していた訳ではございますまい、それに魔法石を取りに行くには人手も掛かりますからのぉ」
「ああ、そうか、普通は大人数で取りに行くみたいだしね」
「普通は?覇王様もギムダインやその部下と取りに行くのでは?」
「あ、いや、………」
魔法石1つを1千Gで買い取っていた国が、
売る際には5倍の値段で売り付けていた事にシュン怒り、
帰ったらアイリーンを叱り付けてやろうと考えた。
サライネフ王はその言葉を聞いて叱られてしょぼんとするアイリーンを想像し、
大きな声で笑ってしまったがアイリーンには非がない事をシュンに伝える。
そして人手が掛かるのはシュンも同じだろうとサライネフ王が尋ねて来たが、
シュンは1人で行きどう効率良く入手出来るかを事細かく説明をした。
「な、なんとまあ、いやはや、恐れ入りますな」
「あ、いや~、それで、値段なんだけど、2千5百Gでいい?」
「半額とは、そんなお手打ち価格で宜しいのですか?」
「うん、それでもかなり儲けるし、サライネフ王とは親交を持ちたいからね」
「いやいや、恐れ多い事ですな、勇者様と同じでなんとも人柄の良いお方じゃ」
「ははは、それは王様も一緒だよ、エルフって人を小馬鹿にするもんだって思ってたから」
「ふふふ、それは偏見と言う奴ですぞ?それを言うなら人間の方がそうする者が多い、まあ、種族が違うから仕方ないかも知れませんがな」
「そっか、まあでも、俺は全然そんな事考えてないし、仲良くして行きたいから、用意して貰った手土産にこれも付けて置いてくね」
「い、いや、それは受け取れませんぞ、その大きさの光属性魔法石は、通常でも30から40万で取り引きされている品物、これから買い取らせて貰う立場の我々には過ぎた品物ですぞ」
「ははは、いいっていいって、見た所、光の石で結界みたいの張ってるようだし、これがあれば少し早くに立つでしょ?」
始めから2千Gくらいで取り引きしようと思っていたシュンは、
色を付けて5百Gを足したが逆に驚かれ感謝されてしまった。
その事でシュンはここに来る前に想像していた事を正直に吐露し、
サライネフ王も本音を語ったシュンを更に好意的に感じ取ってくれたようだった。
それもありシュンは顔ほどの大きさのある光属性の魔法石をカバンから出し、
クインが用意してくれた土産と共に王の前へ贈呈した。
それを見たサライネフ王は流石にやり過ぎだと少し咎めたが、
シュンは笑顔でそれを受け流し、無理矢理進物とした。
「いやはや、勇者様からも何か仰って下され」
「うふふ、私はシュンちゃんのしたいようにさせていますから言う事は特に何も、むしろそれをサライネフ王に受け取って貰う事しか考えていませんよ?」
「ぬぅぅ、そうか、勇者様も婚約者であったか、ならそうじゃの、こちらからも何かお渡しせねばな……」
「いいって、いいって」
「いや、しかしですな、うむ、明日もう1度お越し下さりませんか?久方ぶりにギムダインとシュモンの顔も見たくなったし、お礼の品を明日には用意して置きますゆえ」
「ん~、じゃあ、そうするか、お礼したいって言ってくれてるのを断るのも悪いしね、ダードン王も呼んでみようかな」
「ふふっ、ははは、あやつの性格じゃ覇王様に声を掛けられたら飛んで来ますぞ」
「うふふふ、確かにそうですね、ダードン王はシュンちゃんの熱狂的な親衛隊みたいなものですからね」
「はっはっは、あやつがおろおろしながら話す姿が目に浮かぶわい」
返礼がしたいと言って来たサライネフ王の言葉にシュンも頷き、
翌日に覇者の3人も連れてまた来る事を伝えて本日の商談はお開きとなった。
今が戦争準備真っ只中なのはサライネフ王も知っている筈だが、
敢えて触れずにいてやはり関与したくない物だとシュンは思っていた。
しかし返礼をするだけなのに翌日へ時間をずらし、
アイリーンとチュヒに会いたいと言う言葉にシュンも引っ掛かりを覚え、
何かしらの戦争の話もしたいのではないかと感付いた。
そこでダードン王も同席させる旨を伝えサライネフ王はにやっとした後、
笑って話をすり替えサリィも便乗して笑い話へと持って行ったのだった。
「ではサライネフ王、また明日に」
「うむ、覇王様、それと勇者様、明日またお会いしましょう」
「うん、明日はダードン王の都合で来る時間は定かじゃないけど」
「ははは、心配要りますまい、あやつなら、覇王様が指定した時間に間に合わせて準備するでしょうから」
「うふふふ、では、ダードン国に行って伝えて置きますね」
「うむ、ではまた明日」
「うん、じゃあね~」
サライネフ王に見送られてシュンとサリィは家から出て、
ダードン国へ向かおうとしたがシュンは1人のエルフの子供に目が止まった。
「シュンちゃん?」
「あ、ああ、あの子、周りのエルフとは少し違うような気が」
「うん?あぁ、あの子は、人間とエルフのハーフですね、残念ながらハーフの人種はどこでも辛い立場なんですよ、争いを好まないエルフの国でも……」
シュンが目にしたエルフの子供は、
ぼろぼろの服を身に纏い他の子供達とは一切遊べずに座り込んでいた。
辺りを見渡すとそう言った子供はあと3、4人居て、
その子の親と思われる女性達も同様にぼろぼろの衣装で、
周りからは無視をされる形で交友など一切見受けられなかった。
「……お母さん」
「はい、明日サライネフ王に言ってお礼はあの子達を頂きましょうか?島の森を管理するお仕事用にと言えば受理してくれますから」
「うん、島では無視なんかしないようにして上げなきゃね」
「ええ、何も悪い事をしていないのですからね、それに孤児院の子供達なら一緒に遊んでくれますよ」
「うん、ちょっと話してみようかな」
殆ど無気力と言っていいハーフエルフに同情を隠せないシュンを見て、
サリィは何が言いたいか察しシュンの口からは言い辛い言葉を変わりに言った。
そして明日はサライネフ王にハーフエルフの人達を貰い受ける事にした。
それを2人で決めた後シュンは小汚い家に中に入って行った女性の後に続き、
その人の家に中に入って行った。
「あの~、これ、皆さんで別けて下さい」
「え?こ、これは、魔法石?」
「うん、後これも、少ししかないけど子供達に上げて下さい」
「あ、あの、な、何で私達に?」
「明日あなた達ハーフエルフを魔法石の代わりに買わせて貰います、その前に少しでもお話をと思って」
「私達を買う……、奴隷と言う事ですね?」
「あ、いや、今俺達は街を造ってる最中なんですよ、それでね、森をエルフの力で繁栄させて欲しくて、ちゃんと自由も保障するし、暮らしについても口出ししないから、ちょっと王様と相談して置いてくれないかな?」
「………」
「まあ、ここの暮らしから離れたくないならそれでもいいから、急にごめん、じゃあ」
「あ、あの、お、お名前は?」
「シュン、シュン クルスだよ、じゃあ、明日また」
「は、はい……」
家に入ったシュンは言いたい事だけを伝えてその場を後にした。
そしてサリィと2人、村の外れにある滝の前に座り少し会話をしていた。
「シュンちゃん?あんな言い方で良かったんですか?」
「うん、同情して救って上げたいって、勝手な思いかも知れないからね、あの人達に取ったら、それだったら変に偽善者振るより、ああ言って考えて貰って、着いて来てくれた方がお互いいいと思って」
「そうですか、でも、きっと上手く行きますよ」
「そうだといいな~、無視される人生はつまらないからね、孤独なのは嫌だよ」
「そうですね、孤独は辛いですよ、シュンちゃん、私達はシュンちゃんの優しさ大好きですよ、それから、シュンちゃんを孤独にさせないように頑張って行きますから、もう過去の事は、ね、忘れて私達に一杯甘えて下さいね」
「うん」
「うふふ、シュンちゃん、いいこいいこ、こうやって甘えられて私は凄く嬉しいですよ」
「じゃあ、もうちょっとだけいい?」
「はい、いくらでも、うふふふふ」
滝の流れを見つつシュンはサリィに膝枕をして貰い頭を撫で続けて貰った。
そして暖かいサリィの体温と優しい微笑みに釣られて寝入ってしまい、
昼食の少し前までサリィに甘えてしまったのだった。
「良かったですねぇ」
「エルフなら無駄に魔法石を悪用しませんからね」
「うんうん、そうそう、午後からは町の人達を移転するけどー、いいんだよね?」
「うん、大きな貿易はまだだけど、魔法石を買いに来る商人が増える前に仕事を覚えて貰わないとだし」
「あそこの奥さんも離婚したらしいですしねー、堂々とエッチな事も大丈夫ですよ?」
「ぶっ、な、なんで」
「ふふふ、小さな町なんてすぐに話が広まりますよ?」
「………いつか刺されないように気を付けて」
「大丈夫ですよ~、私が護りますから~」
「あはははは、あたしも居るから安心して不倫や浮気を楽しんでよ、でも、商売してる女はだめだよ?性病にでもなったらあたし達にまで飛び火するからね」
「気を付けます、色々と……」
「うふふふ、飼い主様、明日の件、ブルックスにわたくしから伝えて置きますわね」
「あ、うん、ごめん」
「いいですのよ、飼い主様は忙しいのですから、色々とね?うふふふふ」
島に帰って来たシュンとサリィはすぐに食卓へと座り皆と昼食を取った。
そして昼食中の会話でサライネフ国との商談が纏まった事を伝え、
翌日にサライネフ国にもう1度赴く事も伝えた。
そして午後の予定の話となりいつものように下の話へと移り変わって行き、
楽しい雰囲気の食事風景の中、昼食は終わって行った。
そして食事が終わったシュンは恋人達が仕事を進める中、
洞窟へ入って行き、鉄やミスリルを集めへと向かった。
シュンや皆が仕事を終え自宅へと帰って来て風呂や夕食を取り、
初めて家中の女性達と大部屋にある巨大なベッドで一夜を過ごし、
乱痴気騒ぎを楽しんだ。
そして朝食を取ったシュンとサリィはチュヒとクインを迎えにシュモン国へ、
アイリーンにモニカ、ニキはダードン王と王妃を迎えにダードン国へ行き、
サライネフ国で落ち合い、王の下へ赴いて行った。
「ようこそお出で下さった、ふふふ、おぬし達も久しいな」
「うむ、久しぶりだな、サライネフ王よ」
「ふふふ、相変わらずの威厳ぶりじゃの、ダードン王よ、覇王様の前でもその姿勢は変わらずか?」
「ぬっ、馬鹿を申せ、シュン殿の前では一介の兵でしかないわ」
「はっはっは、やはりか」
「ほっほっほ、ブルックスはわらわ達以上に、旦那様に対して忠誠心を持って接して居るからのぉ」
「ええ、気持ち悪いぐらいですわ、飼い主様に気があるんじゃないかってくらいにね」
「ば、馬鹿者、わしは忠義の心しか持ち合わせておらんわ、どこぞのガチムチと間違えるな」
「なら良いがのぉ、あぁ、ちなみにわらわは女じゃから、どこぞのガチムチとは違うぞぇ?」
「はっはっは、あ、済みませぬ、覇王様」
「あ、いや、楽しませて貰ってるからいいよ」
シュン達が王の家に入ると覇者達3人とサライネフ王は談笑し合い、
それをシュンに詫びるサライネフ王だったが、
話を聞いていた皆は楽しそうに聞いていて気にもならず、
シュンはサライネフ王の頭を上げさせ、本題へと突入して行った。
「まずは返礼の品じゃが……、覇王様、あの者達がご所望なのですかな?」
「うん、話はしたの?」
「うむ、しかし……、話を聞くに、あの者達を救ってくれるようにしか聞こえなかったのじゃが、本当にあの条件で宜しいのですかな?」
「まあ、ハーフエルフさん達があの条件で良いって言ってくれたなら」
「ふむ、あの者達は覇王様を少し疑っておったが、好条件だから島に行く事は良いと申しておりました」
「なら、ハーフエルフ全員、島へ移住させて貰うね」
「はい、まことにありがとうございます、ハーフエルフは人間共に犯されて出来た不憫な子達なので迫害を受けていましてな、それにその犯された母親も村八分な扱いを受けていまして、我も何とか救済をと思っていましたが、なかなか出来ず…、恥ずかしい話です」
「これからはそんな事をさせないから安心して、それにそんな人達を増やさないように俺も努力するから」
「ありがたきお言葉、感謝しか述べられません」
「いいっていいって」
「それと覇王様?昨日は触れませんでしたが、近々戦をなさるそうですな?」
ハーフエルフとその母親を移住させる件は無事に話し合いが終わり、
いよいよ本題中の本題である戦争の話しへとなって行った。
「うん、でもそれも安心して、それを無理に協力する気はないから」
「うむ、我等エルフは戦いを好まぬ種族故、戦自体には協力は出来ないと思いますが、後方支援なら致しますぞ」
「後方支援?」
「うむ、耳の良い我等なら諜報はお手の物です、どうでしょう?情報収集を我等に任せてくれませぬか?」
「グルダボ国の情報が余りない状況での申し出、飼い主様、とても良いと思いますが」
「そうじゃのぉ、エルフは身を隠すのも上手いし、良い手であるのは間違いないのぉ」
「任せちゃっていいの?」
「いいですとも、それを皆とも昨日話し合いましたし、是非協力させて下され」
「そう言ってくれるならありがたいよ、じゃあ、俺とお母さんとモニカちゃん以外で話し合っててくれないかな?俺達でハーフエルフ全員を島に移転して貰ってくるから」
「はい、畏まりましたわ」
「会議は長くなると思いますから、移転が済みましたら、シュン様は魔法石集めか、建材集めをしてお待ち下さい」
「戻らなくていいの?」
「うむ、本当は戻って来て貰いたい物だが…」
「ガチムチブルックスよ、おぬしの意見などどうでも良いわぇ、旦那様は旦那様でやる事が多いのじゃ、ここはわらわ達が引き受けましたゆえ、旦那様はお仕事に精を出されて下され」
「ははは、じゃあ、分かった、後は頼んだよ」
「はい」
戦争に関する話ではシュンの出る幕は余りなく、
覇者達3人とニキ、クインにダードン王妃に話は任せシュンは外へ出て、
サリィとモニカに手伝って貰い島へハーフエルフ達を連れて行き、
今まで暮らしていた家も運んで行った。
そしてシュンは言われたように昼飯前までに魔法石を集めに行き、
午後からは孤児院の子供達とハーフエルフの子供達を引き合わせて遊ばし、
その間に母親のエルフ達を集めてサリィが買って来てくれた衣服を渡し、
森の管理を頼んだ。
そしてシュンは洞窟で鉄やミスリルなどを入手している間に、
カノン達に頼んで家も住み易い広さへと作り変えるようお願いし、
移住して来たハーフエルフ母子と共存出来るよう勤めたのだった。
こうしてハーフエルフ母子と共存を成し、貿易も開始されて街造りも進み、
シュンがこの世界に来て1ヶ月経ったある日、
平和な日々にいよいよ戦争の足音が近付き、軍を編成したグルダボ国が、
軍船を出航させたとの一報が入り、それに合わせてライネック国、
ムルクスバンダミン国もダードン国へ向けて兵を出立させたと報告が入った。
それによってシュン達は一時港を閉鎖し島に築いた城塞に島の人達を非難させ、
フォックス海賊団にグルダボ国が島を襲わないか警戒するように伝え、
戦闘員全員ダードン国の城砦へ向かい陣形の最終確認をしつつ、
その時を刻一刻と待っていたのだった。
次回から戦争となります、多分……。




