第24話 スニータとの初夜とフォックス海賊団との会談
「シュンちゃん、もうお風呂の時間ですよ、シュンちゃ~ん」
「ん、お母さん?」
「みんなもう帰って来ましたよ、まずはお風呂に入りましょう」
「あ、うん、あれ?ユウちゃん達は?」
「先に起きて、でへへ言いながらお茶を飲んでますよ」
「そ、そう、じゃあ、風呂に入ろうか」
「はい、みんなも呼んで来ますね」
「うん、先に入ってる」
昼寝と言いつつ深い眠りに就いてしまっていたシュンをサリィが起こした。
起こされたシュンはユウ達4人が何をやっているのか聞き、
先に起きてお茶を飲んでると言われ適当に相槌を打って風呂場に向かい、
後から来た恋人達とメイド全員で風呂に入り夕食へとなった。
夕食はいつもの食卓ではなく騎士団が使っている大食堂で取っていた。
そこにはシュン達以外にも騎士達が勢揃いして、
戦争に向けての話し合いも同時に行っていた。
「ニキさんからいい?」
「はい、シュン様、では、ダードン王と話し合った内容をお伝え致します」
「うん」
「まず友好状態は良好であり、重鎧兵団精鋭100名及び、各部下軽装兵団30名ずつの、総勢3000人の出撃が可能との事です」
「3000人?」
「はい、本来なら精鋭1人1人に50名の部下が居るそうですが、2000名は城を守る為に残して置くそうです」
「凄い数だけど軽装兵団って、魔法石付きの装備じゃないよね?大丈夫かな?」
「前線は重鎧兵団が守りを固めながら兵を動かしますし、モニカお嬢様とフローリア様、メイド衆が補助に回りますので問題ないかと」
「それなら、うん、おっけ~だよ」
皆に食べながら聞いていてくれと挨拶したシュンは、
皆が食べ始めるのを待ってニキに話を振って内容を聞き出した。
ニキはダードン国からの出兵人数を教え、
その際話に出た軽装兵団のフォーローの仕方も伝え、次の話に移る。
「それからただいまダードン国と旧ギムダイン国、現ライネック国との境界線から手前に防衛用の城砦を築いております」
「城砦、砦か…、それはまあいいけど、ライネック国?」
「うふふ、馬鹿の産まれた家名ですわ、ギムダイン家から離別して自分の国だと表したかったのでしょうけど、わたくしと親交の厚かった大貴族達はシュモン国に、国民の半数以上はダードン国へ流れているようですわ」
「愚策ですぅ、馬鹿だと思ってましたがぁ、大馬鹿に変更ですねぇ」
「確かに、しかし魔法兵団は健在で優遇されていると聞きますので戦は熾烈なものと予想されます、特に魔法兵団隊長ダンカムを筆頭にシュルップとゴロアそれにマッキュリーは四大魔術師として君臨し警戒が必要です、間違いなくこの戦にも顔を出すでしょうし」
「ふむ、ニキさんと同じくらいと見ていい?」
「はい、この4人が前線に来たら私は勿論、サラン様とフローリア様、それにお嬢様にも前線に出て頂くしかなくなりますね」
城砦を築くのは戦争なら当たり前の事なのだろうとシュンは思い、
そこは触れなかったが聞きなれない国名が出て来て聞き返した。
するとアイリーンが現王の実家の名前だと教えてくれ流民が出た事も語った。
そこにモニカがなかなか怒った様子で声を荒げニキも賛同した。
だがニキは国民の支持はなくなったものの兵力は未だ健在で、
4人の名前を挙げて警戒するように伝え、
この4人が前線に出た場合は自分も含め、
サランとフローリア、モニカが対峙しないといけないと示唆した。
その話にシュンはサリィの顔を見て、
その相手はサリィも加わればいいのではと問い掛けた。
「お母さんが打って出ればいいんじゃ?」
「私の相手は元覇者、ムルクスバンダミンになるでしょうから、魔法兵団との戦闘は介入出来ないと思います」
「ムルクスバンダミン?誰それ?」
「あらあら、前住んでいた国の王ですよ、うふふ、そう言えばシュンちゃんには国名を教えてなかったですね」
「あ、うん、今知ったけど…、長い名前だね」
「そうですね、その男が私の相手になると思います、有事の際は王を息子に任せて覇者に戻る事が多いですから、国から出て行った私を自ら取り返しに来てもおかしくないですし」
「それならそいつは俺が」
サリィの相手は元居た国の王、ムルクスバンダミンであると言ったサリィに、
覇者が相手なら自分が代わりにやるとシュンは言うが、
その意見にルーミアが口を挟んだ。
「シュン君、シュモン王から聞いた話なのですが、ムルクスバンダミン国に魔人が召抱えられたようです、シュン君にはこの魔人を相手にして頂きたいと思います…、全く馬鹿な王だとは思っていましたが、魔人を配下にする愚劣者だとまでは思っていませんでしたよ」
「ルーミア様、こちらも同じですね、ライネック国にも魔人が召抱えられたと情報がありました」
「魔人が2人か、まあそいつらは俺が相手するしかないか」
「うふふ、飼い主様、ライネック国の魔人はわたくしが当たりますわ、馬鹿の目の前できっちり潰して来ます」
「リーンがそう言うならそっちは、うん、任せたよ」
「はい、お任せ下さいまし」
「食事中失礼します、シュン様、シュモン国王とその王妃様がお見えになってます」
「え?なんだって?」
魔人がムルクスバンダミン、ライネック両国に招かれたと聞いたシュンは、
両方を相手しようとしたがライネック国の方の魔人は自分がやると、
アイリーンが名乗り出てシュンはアイリーンが言うならと認め任せた。
それと同時に食堂に孤児院の神父が現れ、
チュヒと王妃が来た事を慌てながらシュンへ伝えた。
「食事中済まぬのぉ、旦那様、良い知らせと悪い知らせをお持ち致しました」
「ま、まあ、2人も座って」
「ふむ、ではお言葉に甘えて……、で、まずは良い知らせから」
「うん」
「フォックス海賊団との会談が明日、12時、丁度昼に決まりましたぞぇ、会談場所はわらわの城にて行いますゆえ、昼食はそこで」
「うん、みんなも連れてっていいの?」
「いえ、旦那様お1人が良いでしょう、悪い知らせと繋がりますからのぉ」
「ん?」
「悪い知らせとは……、旦那様に敵対する形でグルダボ国が参戦を表明しました」
「なっ、グルダボ国が?」
シュモン国王のチュヒが良い知らせと悪い知らせを持って来たと言って、
シュンに勧められた椅子に座って口を開いて行った。
良い知らせとはフォックス海賊団との会談が決まった事で、
翌日昼にシュモン国で行われるとシュンに伝えた。
それ対してシュンは皆も同席していいかと聞いたが、
チュヒは首を振って悪い知らせがあるから無理だと言い、
グルダボ国が敵対を表明したと悪い知らせを口にした。
それを聞いてシュン以外の皆は驚きを隠せなかった。
そんな一同を見渡してからチュヒは重く口を開いて行った。
「うむ、この機にわらわの国も乗っ取ろうとする算段かも知れませぬ」
「グルダボ国は強い国なの?」
「はい、こちらに地図を用意しましたのでご説明を」
「うん」
「ここが私達の居る島です、丁度内海の真ん中に位置しています、そして地図上では右、この端がムルクスバンダミン国で、陸続きでライネック国、弧を書く形で上に真っ直ぐ続くのがダードン国です」
「うん、で、ダードン国に囲まれている島がシュモン国か」
「はい、それで話に出たグルダボ国は真下のここ、この大きな島がグルダボ国です、面積が世界で1番広い為、兵力も世界最大です」
「でかいね、島と言うより1つの大陸だねこりゃ」
「そうですね、まさに大国です、ちなみにここの王子は勇者であると言われていますが実力の方は伝わって来ていません」
「海戦もそつなくこなしますから、フォックス海賊団は何とも引き入れたい所です」
「チュヒ、会談は是非とも成功を収めるのですわよ、わたくし達はその間、グルダボ国の対策を練らないといけないから」
「うむ、なので旦那様、明日はお1人でお越し下さいませ」
「あ、うん、更に規模が大きくなっちゃったね……」
シュンは地図を見ながらグルダボ国の大きさに目を見張っていた。
その国土は先に上げた4国とほぼ同等で、しかも多くの国民が戦争狂らしい。
その国が参戦を表明した為今夜からそれぞれ対策を練らなくてはいけなくなり、
チュヒの言ったように会談に同席するどころの話ではなくなってしまった。
「いえ、むしろ好都合です、グルダボは他の国にとっても不倶戴天の敵、いずれは戦う相手になっていた筈です、国同士の喧嘩だと思っている間に叩いて、少しは大人しくさせて置きましょう」
「うむ、かの国は戦争狂じゃからのぉ、だが、超中立国の我が国も大義名分が立った今、表立って旦那様に協力が出来申せる、わらわと妃も前線に立たせて頂きますぞぇ」
「ふむ、グルダボ狂王が自ら前線に立つ事も大いに考えられますね…」
「チュヒ、貴女も前線に立つのなら魔人は貴女が相手してくれないかしら?飼い主様にはグルダボ狂王を相手にして貰わなくちゃいけないし」
「うむ、構わんぞぇ、王位は側近に預ければ良いのだし……、しかし、覇王に近き存在と言われたグルダボが本当の覇王である旦那様と戦う事になるとはのぉ」
「兵には近付くなとダードンにも言って置かないといけないですわね」
「そう言えばダードンは前線には出ないのかぇ?」
「ああ、忘れてましたわ、チュヒに頼まなくてもブルックスに頼めばいいわね」
「ふふふ、まあしかし、魔人が2人だけと思わないほうがいいかも知れぬのぉ、グルダボにも居ておかしくないからのぉ」
「そうですわね……、情報を集めてブルックス含め3人で対策をしないといけませんわ」
「うむ」
アイリーンとチュヒが2人で話をしている中、
ルーミアがシュンに向けて口を開いた。
「シュン君、グルダボ国がどの程度兵を出すかは今の所、定かではないので何とも言えませんが、ムルクスバンダミン国の話題に戻して話をします」
「うん」
「騎士の数が総勢50名減ったとは言え、ムルクスバンダミン国には騎士がまだ950人は居ます、その中でも厄介なのは現騎士団団長サボク、副団長ハンスイとバーミガム、突撃部隊隊長モリスとドンクーの5名です」
「お姉ちゃんが名を上げるくらいだからなかなかだよね?」
「はい、戦は最初に誰か1名が名乗り出て一騎打ちを行います、それには必ず騎士団団長サボクが名乗り出てくるでしょう…、その相手は私にお任せ下さい」
「うん、お姉ちゃんなら手の内も知ってると思うし、間違いはないと思うからいいよ」
「ありがとうございます、その後の乱戦時に副団長のハンスイをエレアが、バーミンガムはユウに変わってファンに迎え撃って貰おうと思っています、本来は足の速いファンには遊撃隊をと思っていたのですが、ダルダボ国の勇者が気に掛かるのでユウはそちらの相手をと」
「うん、で、残りの2人は?」
「モリスはザーナとジャンで、ドンクーはカノンとスニータで抑えて貰らおうと思っています」
「名前の出てない人達だって結構強いんだよね?」
「はい、しかしそちらは私とここに居る騎士達とで迎え撃つのでご安心下さい、必ずや勝利を納めましょう」
「うん、分かった……、みんな、大変な事に巻き込んじゃって悪いけど、みんなの力を貸して欲しい」
「はい」
「ありがとう、じゃあ各自戦に備えて体調を整えて置いてね」
総力戦になる事はほぼ必須で皆に力を貸して欲しいと声を上げたシュンに、
恋人達、メイド衆、騎士達は力強く返事をして、
食堂から各自の部屋に戻って行った。
「わざわざ知らせに来てくれてありがとうね」
「ほっほっほ、旦那様、礼には及びませぬ、明日の会談時にまたお会い致しましょう」
「うん、じゃあまた明日ね」
「うむ、では旦那様、おやすみなさい、良い夢を」
「おやすみなさい、旦那様、またですわ」
食堂から出たシュンは知らせを持って島に来たチュヒとその王妃に礼を言い、
別れの挨拶をして見送り、自分も自室へと帰って行った。
今夜は皆が戦争への対策をする為、話し合いをしていて、
シュンだけ会談があるからと1人部屋に戻され。
そんなシュンは久々の1人寝を少し寂しく感じていた所、
スニータがシュンの部屋へ訪れた。
「シュン様、もうお休みになられましたか?」
「ん?いや、ははは、情けないけど1人で寝るのが少し寂しいなって思って、なかなか寝付けなくて」
「うふふ、そうでしたか、ではシュン様、私が、その、添い寝をさせて頂きますね」
「いいの?」
「はい、私はシュン様の婚約者ですから、添い寝以外の事もご所望でしたら、いいですよ?」
「あ、その、うん、お言葉に甘えちゃおうかな」
「ふふふ、はい、温室育ちで不束者ですが、この身体、どうか楽しんで下さいまし」
「じゃ、じゃあ、キスを」
「はい、ど、どうぞ……」
「うん、………ちゅっ」
部屋に訪れたスニータはシュンが起きている事を確認してすぐ、
ベッドに入り込み添い寝をするとシュンへ伝えた。
そんなスニータは愛の行為もしていいと暗に伝え、
その言葉に乗ったシュンはスニータのファーストキスを奪い、
服を脱がせて行った。
そして初のキスを奪ってすぐ、初体験も奪って行ったのだった……。
「シュン様、いかがでしたか?私の身体は?」
「うん、凄く気持ち良かった、も、もう一回いいかな?」
「はい、何回でも…」
スニータは愛を中に注がれ夢心地の中、シュンへ感想を聞いた。
聞かれたシュンは凄く良かったと正直に言い再度愛の交わりを求めて行った。
それをスニータは微笑みながら受け止め、その後2回、計3度愛を中に注がれ、
スニータの初夜は明けて行った。
「飼い主様、ダードン国へ行って来ますわ」
「うん、俺は魔法石を集めたらその足でシュモン国へ行っちゃうね」
「はい、では、夕方にまた」
「うん」
スニータとの初夜が明け、朝食を取ったシュン達は、
サリィとルーミアでグルダボ国の情報を集めに行き、
ユウとエレア、サランにフローリアはメイド衆と騎士達と共に、
レベル上げの為、島の洞窟へと入って行った。
カノンとザーナ、ファンにジャンは島の防衛用に城塞造りに着手し、
アイリーンとモニカ、ニキにスニータはダードン国に、
昨夜チュヒからの知らせを教え、相談しに行った。
シュンも魔法石を集めに行き、それが終わると即、シュモン国へと向かった。
「お早いご到着で」
「ああ、魔法石集めしかして来てないからね~」
「ほぉ、一日でどの程度お集めに?」
「40個ずつくらいかな、ボス部屋に行けば一気に集められるからね」
「40個ずつとは……、流石でございますのぉ、ではこの大きな魔法石もお持ちで?」
「うん?でかっ、こ、こんな大きなのは見た事ないよ」
「左様ですか、なんでもミストを10匹同時に倒すとこれを残して行くとかなんとか」
「ん~、一気に20匹とか倒してたけど」
「んー、旦那様、もしかしたら、弱点の魔法でお倒しになっていないのでは?」
フォックス海賊団との会談には大分時間が早くシュモン国へ来たシュンに、
チュヒとその王妃はお茶をもてなしつつ時間が来るまで会話をしていた。
そこでチュヒはシュンに顔の大きさはある魔法石を見せ、
これも持っているかどうか聞いた。
初めて見たシュンはその大きさに吃驚し、持っていないと伝え、
もしかしたらと王妃が倒し方に違いがあるのではと聞いて来る。
「あぁ、俺は無属性で一掃しちゃうから出ないのかも」
「ほっほっほ、なるほどのぉ、いやいや、さすが旦那様じゃ、今度お試ししてみてはいかがですかな?」
「うん、そうだね、試してみるよ」
「うむ、この大きさになれば1つ10万Gは稼げましょうぞ」
「なら是非狙わないと、あっ、それから、港建設に人を出してくれてありがとうね」
「いやいや、お約束したのでな、反故にしたらアイリーンに何をされるか分からんぞぇ、ほっほっほ」
「ははは、それはそうかも」
「うふふ、あら、もうフォックス海賊団の赤狐さんも来たみたいですわ」
「ほぉ、彼女もまた足が速いのぉ、では食卓にて話を致しますかのぉ」
「うん」
笑い会って会話している中、側近の1人が王妃に耳打ちし、
シュンとチュヒにフォックス海賊団の船長、赤狐が来た事を教えた。
それを聞いたチュヒは彼女も来るのが早いと呟きながら席を立ち、
シュンを案内しながら食卓へと向かって行った。
「久しぶりだね」
「ああ、どうも、この前は」
「ふふふ、また会おうと言ったが、こんな形で会うとはねぇ?」
「ははは、どうしても話したい事があって」
「ふふっ、私の海賊団を使って貿易をし易くしたいのかい?」
「あ、うん、それが当初の目的だったんだけどね~、それ以上のお願いだよ」
「うん?それ以上?」
「うん…、フォックス海賊団の戦力を貸して欲しいんだ」
「はっはっは、戦力って、君、うちらを使って何をしようと言うんだい?戦争でもおっ始める気かい?」
「うん、正確には吹っ掛けられたんだけどね」
「本当かい?まあでも、大した戦争じゃないんだろう?うちらには関係ない話だよ」
食卓へ着いたシュンにすでに座っていた赤狐、ララがシュンに挨拶をし、
シュンもその挨拶に返事をして椅子に座った。
そしていきなり本題を話し始め、
貿易関係から戦力としての協力を仰ぐシュンに面を喰らったララではあるが、
愉快に笑って関係ないと一蹴してしまった。
そこで黙っていたチュヒが助け舟を出した。
「赤狐よ、ぬしらに関係ない事はないぞぇ?相手はあの大国、グルダボ国だからのぉ」
「なんだって、君、正気かい?グルダボ国と一戦交えるなんて、死にたい奴しかしない行為だよ」
「あ、まあ、勝手に参加しようとしてるんだけどね、そのグルダボ国が」
「なるほどね、それで本土を攻めるにうちらの海賊団が必要と?」
「あ、いや、迎え撃つだけの防衛戦だから、国には攻め入らないよ」
「なーんだ、だけど相手はあのグルダボ国か、防衛戦でも戦は戦か…、借りを返すには丁度いいかもね」
「借り?」
「ああ、あいつ等は昔、貿易船を襲ってフォックス海賊団の所為にしやがってね、それであたしの親父は貿易商から殺された恨みがあるんだよ」
「そうなんだ……」
「ほっほっほ、どうじゃ?手を貸してはくれんかのぉ、このシュモン国まで狙おうとしているグルダボ国に、一泡吹かせてやらんかぇ?」
「ん~、シュモン王には助けて貰った恩があるからいいと言いたい所だが、君、どれだけ強いんだい?総指揮官は君なんだろう?腑抜けの指揮官の下じゃあたし達は働きたくないからねぇ」
「チュヒ、この流れって~」
「うむ、赤狐と腕試しをする流れじゃな、ふっふっふ、わらわも旦那様の腕前を見てみたいと思っておった所じゃし、見せてくれんかのぉ?」
「まあ、確かに協力をお願いしてるのはこっちだし、ララさん、いいよ」
チュヒの助け舟でフォックス海賊団がグルダボ国に恨みを持っている事を聞き、
そのまま協力をしてくれるかと思っていたが、
シュンの実力はどの程度か聞いて来て、話の流れが一変した。
その空気を感じ取ったシュンは腕試しをする為、
赤狐の本名をであるララと呼んで石を立ち上がった。
「くっ、その名前は呼ばないで欲しいと言っただろ、まあ、その、あたしに勝ったら協力もするし、あたし自身も上げるから、ララって呼んでもいいけど…」
「ほっほっほ、赤狐も女子か、ふっふっふ」
「ん?最後の方よく聞こえなかったけど、なんか言った?」
「な、なんでもない!なんでもないよ、さあ、やろうか」
名前で呼ばれるのが恥ずかしいのかララは席を立ち上がりながら文句を言い、
その後ブツブツと意味深な事を呟き顔を赤くしていた。
それをチュヒは聞こえていたのか笑いながらララを見ていた。
シュンはと言うと呟き声は聞こえておらず、顔を赤くしたララに聞き返すが、
更に顔を赤くしたララは怒鳴りながらサーベルを抜き、シュンと対峙した。
「サーベルか、俺は、サーベル使えないけど」
「いいよ、あたしの得物がこれだからさ、君も得意な武器を使いなよ」
「じゃあ、チュヒ、側近さんの剣を借りていい?」
「うむ、良いが、旦那様の剣は使わないのかぇ?」
「まあ、こいつは魔剣だから、ちょっと性能が違い過ぎるかなと思って」
「ふふふ、あたしは構わないよ?その魔剣でも」
「あ~、いや、この魔剣ってニキさんに調べても貰ったらMPを吸って攻撃力が上がるようになってるらしくて、かなり危ないんだよ」
「へ~、そいつは凄いね、でもMPを吸うのなら尽きるまで粘ればいいだけだろ?」
「そうなんだろうけど、俺ってMPが無限らしいから無理だと思うよ?」
「はぁ?」
「なぬ?」
「えぇ?」
「あ、いや、だから、MPが無限だからその作戦は無理だと思うって」
「い、いやいやいや、そんな馬鹿な話……、君ならあり得そうか…」
腕試しを前に武器の話となり、チュヒの側近に剣を借りようとしたシュンに、
佩いている剣は使わないのかと尋ねるチュヒ。
問われたシュンは魔剣であり性能が違い過ぎると語ったが、
ララはそれでも構わないと言って構えをした。
しかしシュンは魔剣の秘密を伝え、更に自分もMPが無限だからと言って、
チュヒと王妃、それからララを驚かした。
だが驚いたララはシュンに秘めた能力があるのを感じ取っていた為、
あり得るなと納得し、再度構え取った。
「じゃあ、こっちの剣で」
「ふふふ、いいよ、その魔剣を抜かなかった事を後悔させるからね」
ララの構えを見てシュンは借りた剣を鞘から抜き自分も構えた。
その際威圧を与えてみたがララには余り効果がなかった。
「ふふふ、いいね、いい目だよ、それにこの気迫、やっぱり君は並じゃなかったね……、行くよっ」
「速い、くっ」
「なっ、君も、速いね、いい判断力だ」
ララが駿足で繰り出して来た突きを捌こうとしたシュンだったが、
その一撃はフェイントでララは突きを止めて流した腕で、
肘鉄をシュンの顔に叩き込もうとした。
一瞬の硬直後シュンはすぐさまララの身体に密着して行き、
肘による攻撃を避けてララの身体を軽く突いて両者間を取った。
「海賊って身体能力がいいんだね~、吃驚だよ」
「ふふふ、あたしは武道家と戦士を経験してるからね、君もかい?」
「いや、俺は……、勝ったら教えて上げるよ」
「ふふ、かっこいいよ、君、でも油断は良くないよ」
「くっ、魔法?」
「死なない程度に切り刻んで上げるよ」
ララは掌から眩い光をシュンの目に当て目潰しをし斬り掛かって行った。
まさかララが魔法を使うとは思わず焦ったシュンだったが、
目潰しはシュンには効かず斬り掛かって来るララに合わせて飛び付き、
サーベルを持つ右手の手首に手刀を当てサーベルを落とさせ、
そのまま抱き付く感じで着地してララの顔を見て微笑んだ。
「ふ、ふふふ、あたしに何もさせないだなんて、やるね、強いよ、君はこれまであった誰よりも強い」
「怪我してない?」
「あんなに優しいチョップで怪我なんかしないよ、でも、さり気なく胸に顔を埋めたのは減点だよ?」
「ははは、ばれますよね~、ごめん」
「ふふふふ、まあいいさ、あたしの負けだよ、君に協力しようじゃないか、フォックス海賊団は君の支配下で行動する事を約束するよ」
「ありがとう、ララさん」
「ん、その名は、呼ばないでくれ、ど、どうしても呼びたいのなら、き、君の女に、し、してから呼んでくれ」
「え?」
「くくく、赤狐が赤くなっとるわ、旦那様、赤狐も旦那様に惚れたみたいじゃ、いや、正確には初めから惚れていたみたいじゃな、くっくっく」
「な、シュモン王、何を言うか、ほ、惚れてなぞ、あたしはただ、名前で呼びたいならあたしの男になってからと言っているだけでだな、違うぞ、違うからな、あたしは、君に惚れている訳じゃ、あ~もう、なんで抱き付いて胸に顔なんか埋めるんだ、どきどきが、と、止まらないじゃないか」
「ほっほっほ、何を言っているのかさっぱり分からんぞぇ、まあ、旦那様、その赤いのに俺の物になれと止めを刺して上げて下され」
「え?止めって、ま、まあ、ララさんは凄い魅力的だし、俺の物になってくれない?」
「くぅぅぅぅ、な、ななな、君の物にって、あ、あたしは、物じゃない、物じゃないぞ、で、ででで、でも、うん、君がそうしたいならそうしてくれ、うん、負けたあたしには拒否出来ないし、拒否したくないし、な、ななな、何を言っているんだあたしは、シュモン王、あたしは船に戻る、こ、子分共に戦の準備を伝えないないといけないしな、嬉しいから喜びに行くんじゃないぞ、そこは間違えないでくれよ、絶対だぞ、じゃ、じゃあ、君、あたしは子分に言いに行くから、ま、またあとで、君の下へ行くから、ま、ま、待っていてくれ、じゃ、じゃあな」
「ぷぷぷぷ、あの子があんなになるなんて」
「うむ、1人で喋って1人で勝手に帰りおったわ、全く、嵐のような女子じゃのぉ」
「チュヒ、あれでよかったのかな?」
「うむ、協力は得たしのぉ、海戦はあやつに任せて置けば問題なかろう」
アイリーン同様チュヒも覇者と言う人種は人をからかうのが好きなのか、
ララを追い詰めるようにしてこの場から居なくさせてしまった。
しかし無事フォックス海賊団との協力は得られ海戦の心配は薄れた。
そしてララが去ってすぐ食事の準備が進められ、
シュンとチュヒ、王妃の3人で食事を取って行った。
「え?ララさんが勝つ気なんかなかったって?」
「うむ、あやつは旦那様の強さを感じ取っていたみたいだったからのぉ、それに一目惚れもしていたし」
「なんでそんな事が分かるの?」
「ふふふ、あやつを少女の時から見て来たが、あんなに女の顔をしているのは初めてだったからな、いや、まぁ、ドンピシャとは、ふっふっふ」
「ふふふ、旦那様、なにはともあれ、無事に終わって良かったですわね、ささ、はい、あーーん」
「ぬ、妃よ、わらわがまだしゃべっているのにずるいぞぇ、旦那様、わらわのもじゃ、あーーん」
「い、いやいや、自分で食べれるから」
「うふふ、この国ではこの食べ方がマナーなんですよ、あーーん」
「うむ、客人を招いた時の作法じゃ、ほれ、マナー違反はだめじゃ、あーーん」
「絶対嘘だ、今決めたルールに違いない」
「そんな事はないぞぇ、口を開けぬのなら、わらわの口で下の物をパックンしてしまうぞ?」
「あら、ならわたくしもー、パックンしちゃいますわよ」
「おいおい、じゃ、じゃあ、あ~~ん」
ララの話から一転してシュンに食べさせようと嘘のルールまで作り、
シュモン夫婦はシュンと3人、楽しく食事を行い、
帰り際には無理矢理唇を奪って、やっと開放した。
どっと疲れたシュンはシュモン国で土産を買って帰って行ったが、
シュモン夫婦に愛を向けられ、ララにもまた愛情を感じ取れたシュンは、
疲れながらにも笑顔で島に戻り、成果を恋人達に伝えたのだった。
赤狐ことララのヒロイン入りが決定されました。
1人喋りがくどかったかなと思いましたが書いていて楽しくなったので(笑)
そろそろ各国を巻き込んだ戦争になると思いますが描写が下手なんでどうしようか悩んでいます。
ダイジェストや回想で戦争が終わっていたら諦めたんだと思って下さい。




