第10話 報酬で指輪と薬を購入
それから3時間、1階層だけをグルグル回って狩りをして、
買い物に時間が掛かるだろうと予測したシュンは、
みんなが居る山に赴き街へ戻った。
そしてシュンはギルドに、
他のメンバーは貴金属売り店へと、別れた。
「あっ、お、おかえりなさい」
「うん、ただいま、いや~なかなか手に入らなかったよ~」
「魔法石を集めるのは時間が掛かりますから、それよりも無事な姿を見られて、良かったです…」
「ははは、なんか嬉しいな、心配してくれてありがとう」
「あ、いえ……」
「そ、それで、仕事の方だけど、石版の確認宜しく」
「はい、大コブラが丁度50ですね……、えぇっ!何ですかこの数、ダークミストまで18体も倒したのですか?」
「ダークミスト?あ~、黒い霧か、そこそこ現れたね~」
「そ、そうなんですか…、まあ、洞窟内は何故かモンスターの数が一定以上減らない様になってますしね」
「なるほど、だから洞窟が練習に使われるのか」
「はい、しかしながらこんな数を1日で倒してくるなんて、どんな凄いパーティーなんですか?」
「ん?ははは、それ、俺1人でだよ?他のみんなは山の方で戦ってたから」
「お1人で……」
渡された石版を見て、お姉さんが悲鳴の様な大声で驚いていた。
どうやら今まで1日で、
大量のミスト系モンスターを倒して来た者は居なかったらしい。
しかもそれを1人でして来たと聞き、最早絶句するしかなかった。
そんなお姉さんを見てシュンは早々に話を変えた。
「ま、それで、これが枝で、今日は13本」
「それは1本ずつで買取で宜しいのですか?」
「うん、今日は買い取って貰うね、それから薬草が昨日の分合わせて80枚くらいか、どのくらい必要?」
「え、ええっと、譲って頂けるなら1枚でも」
「じゃ~、これを全部ボランティア分で、牙もおまけね」
「い、いえ、そ、そんなに頂く訳には」
「あ~、いいっていいって、余ったら売っちゃってね、それから~、石なんだけど、仕事の方はこれかな」
「な、なな、こ、こんなに……」
「えっと4セット分だね、あと小さい方も1セット分」
「よ、4セット分……」
ボランティアとして薬草と大コブラの牙を贈呈した事で、
若干引いていたお姉さんもいつも通りの状態に戻りつつあったが、
魔法石をどさっと出したと同時に、またしても引かれてしまった。
こうなってはさっさと話を終わらせ様とシュンは急いで話を進める。
「あ~、あとこの大きさの黒い石は1個いくら?」
「闇属性のですか?それは1つ1万Gで買わせて頂いておりますが…」
「じゃあ~、5個ね」
「……………」
「後は青と緑と金を大小それぞれ10個ずつで、今日はお終いかな」
「こ、こんな一杯……」
手に入れて来た魔法石の売却を終わらせ、
最後に引かれた状態から逆転を狙う話に持って行った。
「あ、そうそう、はい、お姉さん、緑の石2個上げるね、杖以外にも何かに付けて上げて」
「えっ、に、2個もいいのですか?」
「うん、心配してくれたお礼ね」
「い、いえ、心配するのなんかにお礼など……」
「ははは、いいからいいから、全部でいくらになる?」
シュンの予想通りかなり引いていたお姉さんは、
頼んでいた緑の魔法石を1つ多く貰った事で、
感謝の気持ちを強め、微笑を取り戻して、
シュンと接してくれる様になった。
そして、最終的な報酬はいくらになったか聞いた。
「あ、はい、少々お待ち下さい………23万7千9百Gです」
「結構儲けたな、あっ、そんなに金貨ってないよね?」
「大丈夫ですよ、女王様がなるべく多くの褒賞金を用意して置けとお達しが来ましたから」
「そうなんだ、アイリーンさんが手を回してくれたか」
「はい?何か言いましたか?」
「なんでもないよ、何に使おうかな~って思ってただけだよ」
「うふふ、そうでしたか、私もこんなに稼げるなら、孤児院の子供達も楽に暮らせるんですけどね…」
20万以上の儲けとなり、
アイリーンが事前に言って置いてくれたらしく、
この場で報酬を受け取れる事になった。
それをボソッと呟いたシュンに、お姉さんが何か言ったかと聞かれ、
シュンは慌てて適当な言葉を返した。
それを受けてお姉さんは微笑みで返したが、
すぐ表情を暗くして孤児院の話を持ち出した。
「孤児院か、お姉さん、後で少し話したい事があるんだけど、夜時間空いてる?」
「夜、ですか?余り遅くならなければ平気ですけど…」
「なら後で迎えに来るから、待ってて貰っていい?」
「はい、分かりました…、あっ、すいません、お金の方、すぐ用意して貰いますね」
表情を暗くしたお姉さんにシュンは、
街を造る計画を打ち明けようと、夜は時間が空いているか聞いてみた。
聞かれたお姉さんは遅くならなければと条件を付けて、
シュンの誘いを受けてくれた。
そして、思い出したようにお金を持ってくる係りに声を掛け、
シュンの報酬を持ってくるようにお願いした。
「そうそう、お姉さんって、魔法、何が得意なの?」
「え?私ですか?」
「うん」
「私は、昔、錬金術師を志していたので、一応金属は使えますが…、もう、諦めましたから……」
「そうなんだ、勿体無いな~」
「錬金術師は戦闘に役に立ちませんし、お金も掛かる職業だと気付きましたから……、あっ、これを」
「うん、ありがとう、これから買い物して来るけど、また戻って来るね」
「あ、はい、お待ちしてますね」
「うん、じゃあ、また後でね~」
報酬を待つ間、少しだけプライベートな事を聞き出したシュン。
また、しんみりしてしまった空気の中報酬を手渡してくれたお姉さんに、
シュンはまた来ると言ってギルドを後にした。
「シュン様~、こっちこっちです」
「ユウちゃん、いいのあった?」
「ん~、みんなで決めてるんですけど、なかなか」
「ふむ~、どうせならただのアクセサリーじゃつまらないよね」
「そうですね、何か付加が付く物がいいのですが」
「この小さい石って、埋め込んだら効果出る?」
「はい、アクセサリーに埋め込めばその属性に耐性が付く様になりますよ、あっ、闇と光だけは逆ですが」
「逆か~」
「はい」
何がいいか決めあぐねている恋人達に、
シュンは入手した石を付けたら何か効果あるか聞いてみた。
するとサリィがそれぞれの耐性が付くと教えてくれ、
闇と光は逆の耐性が付くとも付け加えた。
それを聞いたシュンは、
鞄から白い魔法石を取り出してもう1つ質問した。
「そうなんだ、じゃあさ、この白い石、指輪かなにかに付けられないかな?」
「光属性の魔法石付き指輪だなんて…、シュンちゃん、結婚してくれるの?」
「へ?な、何が?」
「うふふ、シュンちゃん、光属性の指輪を送るのは、結婚を申し込む時にする事なんですよ?」
「そ、そうなのか……、まあ、みんな大切な女性だし、うん、みんなの分、買おうか」
「えっ、い、いいの?」
「わ~い、凄く嬉しいです~」
「私もお師匠様のお嫁さんに……、幸せです」
「下僕でいいと思っていたのに、嫁にして頂けるなんて…」
光属性の魔法石が組み込まれた指輪を女性に送る行為は、
婚約指輪を意味しているとサリィが説明する。
それを聞いたシュンは、皆大切な恋人であり、
家族でもあるからと指輪の購入を伝えた。
すると女性陣は大い喜んだが、
唯1人、ルーミアだけは渋い顔をしていた。
「シュン君、とても嬉しいのですが、お値段がかなりしますよ?」
「ん?1つ3万G…か、なるほど、確かにこれはみんなの分買えないね~」
「はい、ですからご無理は……」
「自分で石を取って来て、指輪に付けるって出来ないかな?」
「取り付けですか?シュン君はご自分で魔法石を揃えるつもりなのですか?」
「うん、どうせなら自分で取ってきた奴でプレゼントしたいかな~と」
「まあ、それはとても魅力的なお話です、でもですね…」
「でも?」
「魔法石を取り扱うには錬金術が必要なんです、ご主人様ならその魔法は使えると思いますが、まだこの世界に馴染んでいないからその技術は…」
「そうだね~、素人じゃ扱えなさそうだ…、でも錬金術師なら出来るんだよね?」
「はい、しかしながら錬金術師の方に頼むのもまたお値段が掛かりますよ?」
「そっか~、でも、錬金術師なら心当たりあるし、指輪さえ買えば何とかなるよ?」
「そうなんですか~?そうでしたら~、私も欲しいです~」
魔法石本体と、それを扱う錬金術師に支払う料金の為、
この手の武器や防具、アクセサリーは値段が高いと聞いたシュン。
しかも光の魔法石も闇と同様希少価値も含まれていた為、
なかなか手が出せる代物ではなかった。
しかしシュンは、魔法石なら自分が集めれば只で手に入るし、
ギルドのお姉さんなら、錬金術師を志していた事を聞いていたので、
何とかなると踏んでいた。
それもあってシュンは、台座となる指輪だけの購入に切り替えた。
「指輪だけ買うにしても、どれがいいのやら」
「これとかは良さそうだと思うけど?」
「シンプル過ぎない?」
「でもこれ、回避力上昇の付加があるわ」
「ほ~、価格もまあ、高くないね~」
「高くないですか~?これだけで私の斧より高いんですけど~」
「1つ5千G、お師匠様を含めて5万5千G掛かりますが…、それだけあれば弟に薬が買って上げられる……」
「あっ、薬代5万Gなんだ、後で買いに行こうか?」
「え?後でって……一体いくら儲けたのですか?」
「ふっふっふ、23万」
「……なっ」
指輪代で弟の薬が買えるとサランがボソッと呟いたのを聞いて、
シュンはサランに向かって、薬も買って行こうと伝えた。
まさかそんな事を言うとは思っていなかったサランは、
目を見開いて驚き、今日だけでいくら稼いだのか聞いた。
聞かれたシュンは23万と答え、サランは絶句するしかなかった。
「もうちょっと稼いでからにしようと思ってたけど、今日買えるね」
「買えるねって…、私、お返しするのに何年掛かるか……」
「いいって、サランちゃんを貰っちゃうからお金は要らないよ?」
「あぅっ、私を貰う……、いやん」
「私と言う下僕が居ながら、サランも奴隷にしたいのですか?」
「そんなつもりないって、人聞きの悪い」
「うふふ、私はそれでも構いませんけど…、あの、お師匠様、お薬を見て来ていいですか?」
「ん?あぁ、じゃあ、俺も一緒に行くよ、それまでみんなはちょっと見ててくれる?」
「はい、了解です、シュン様、サランさん、いってらっしゃいです」
フローリアのからかう言葉に、
顔をやや赤らめながら否定するシュンだったが、
サランはそれでも言いと告げた後、薬を見たいと言って、
その場を離れ様とした。
それに合わせてシュンも店から出て、
更なるからかいから逃げ遂せた。
「ふぅ、全く」
「うふふ、お師匠様が迂闊な発言をなさるから悪いのですよ?」
「まあ、それはね、でもあれだよ?本当にお礼なんか要らないからね」
「そ、そうは行きません、高価なお薬を買って頂くのですから、それにお師匠様にでしたら何をされても…」
「何してもって…」
「お、お師匠様、私の胸、気になりますか?」
「えっ、あ、いや、ははは」
「ふふっ、ずっと胸に目線が行ってるの気付いてますよ?」
「あ、その、ごめん」
「いいですよ、私もお師匠様に触って頂きたいですし…、あ、あの、今夜はずっとお傍に居ても…、宜しいですか?」
「お傍にって、一緒に寝るって事?」
「はい、だめですか?」
「だめじゃないけど、その、いいの?」
「はい、私を欲しいって言って下さって、凄く嬉しかったですし、お師匠様に抱かれると、すっごく幸せなんです~、ってユウさんが言ってました。
「ユウちゃんにも困っちゃうな~」
「うふふ、そうですね、お惚気ばかり聞かされて…、私、羨ましくて」
「じゃあ、今夜一緒に、寝る?」
「はい、喜んで……」
店を出たシュンは溜息を吐きながら薬品店へ歩き出した。
それを見たサランが笑いながらシュンの横に並んで歩き、
話の流れからシュンの目が自分の胸に移っているのに気付いた。
サランにそれを指摘されたシュンは、
苦笑いを浮かべながら誤魔化そうとしたが、
なんとサランは今夜一緒に枕を並べたいと言い出し、
シュンを驚かせた。
その想いは感謝も勿論だが、ユウの惚気話を聞かされた事による、
可愛い嫉妬も多分にあり、シュンはサランに緊張しながら誘い、
サランもそれに恥ずかしながら小声で応え、
シュンに寄り添う形で店まで歩いて行った。
「いらっしゃい、何をお求めかね?」
「あ、あの、弟に薬を買いたいんですが」
「何の病気かね?……ほうほう、うむ、それならこの薬じゃが、値が張るぞよ?お嬢ちゃん達では買える品ではない思うがの?」
「いくらします?」
「この薬は光の魔法石が必要でな、5万Gもするんじゃ、しかも、一回飲んだだけじゃその病は治らんぞえ?」
「何回飲ませれば治る?」
「ひゃっひゃっひゃ、1週間に1回、合計10回じゃ、無理じゃろ?」
「光の魔法石って小さい奴?」
「くっくっく、残念じゃ、大きい方じゃよ」
「そっか、じゃあ、これ3個渡すから、割引して貰っていい?」
店に入ってすぐ、怪しげな老婆が出迎えた。
その老婆の店員にサランが説明をし薬を出して貰う。
値段を聞くと5万Gで間違いなかった。
だが10回服用しないと治らないと聞かされたシュンは、
薬を作る際に使う光の魔法石を手渡して値引きの交渉をしてみた。
「な、なんと、お前さんそれ本物か?」
「うん、確かめてみてよ」
「むむむ、確かに本物じゃ、ひゃっひゃっひゃ、ほれ、持って行け」
「えっ、只でいいの?」
「お前さんこいつは1個2万Gで売れるんじゃぞ?」
「あぁ、そうなんだ、やっぱ手元に残して置けば良かったかな?」
「ひゃっひゃっひゃ、もうだめじゃ、まあ、次回は1万G値引いてやるから、今日はそれを持って帰るんじゃな」
1個2万もする光の魔法石を受け取った老婆の店員は、
怪しげな笑いを上げつつ薬を手渡して来た。
その上で老婆は次回はちゃんと1万G引く事を伝え、
今日は帰れと言い出した。
どうやら老婆は手に入れた魔法石で薬の製造を行いたかったらしい。
そんな事は知らないシュンだったが、
薬が手に入って安心し帰れと言われながら、
その場でサランと話始めてしまった。
「やったね、これで心置きなく婚約指輪も買えるね」
「うふふ、そうですね」
「ひゃっひゃっひゃ、なんじゃなんじゃ、お前さん方は婚約者同士か、ならこれをおまけでくれてやるぞぇ」
「??これって?」
「媚薬じゃ、1口で精力絶倫、女はイキまくりじゃ、ひゃっひゃっひゃ」
「ぶっ、ちょっと」
「な~に、礼は要らんぞぇ、くひゃひゃひゃひゃ」
「はぁ、どうしよう?」
「いいじゃないですかおまけなんですから、それに、興味も少しありますし…」
「そ、そう?サランちゃんがそう言うなら、うん、ありがたく貰って置くね」
「ひゃっひゃっひゃ、またこいつを持って来たらおまけに付けてやるからのぉ」
「う、うん、じゃあ、また来るわ」
シュンとサランの会話を聞いてしまった老婆は、
2人が婚約している間柄だと思い込み、
おまけと言っていかにも怪しい薬を取り出して来た。
不審に思うシュンに老婆は媚薬だと伝え焦るシュンだったが、
サランは心持ち顔を赤らめながら興味があると言って貰う事を薦め、
シュンも同意して媚薬を受け取った。
シュンは嬉しげに笑っていたが、ふと、
無性に恥ずかしくなったのか慌てて店から出て行くのだった。
「お師匠様、ありがとうございます」
「うん、まあ、でも、白い石、ちょっと勿体無かったかな?」
「確かにそうですね…、でもお師匠様?何故光の魔法石だけはお売りしなかったのですか?」
「う、うん、ほら、あの大きさなら武器用に取って置こうかなって」
「杖に?」
「まあ、それとさ、覇者と勇者は光が得意だって言ってたから、お母さんやアイリーンさん用に取って置こうかなとも思ってたんだ」
「ならば普通に買った方が良かったんじゃないですか?」
「まあね、でも10回分薬が必要なら、それだけ石も要る訳だし」
「あぁ、なるほど、確かに手に入り辛いですから、お金があっても薬が出来ていなければ意味がないですもんね」
「うん、そう言う事」
「やっぱりお師匠様は凄いです…」
「いやいや、全然だよ、さ~て、いい指輪は見つかったかな?」
「どうでしょう?急いで戻りましょうか?」
「うん」
なんとなく気分で行動を起こしていたシュンだったが、
それなりに理由付けをした所、素直に感心してくれるサラン。
そんなサランに可愛いと思いつつ、
騙したような感覚に襲われ話を変えて小走りになり、
それを何にも疑問に思っていないサランは、
一緒に小走りになってアクセサリー店へ戻った。
「どうでした~?」
「うん、光の魔法石と交換して貰って来たけど、あと9回分必要だって」
「一回じゃ治らないのか……」
「うん、まあでも、服用は1週間に1回ずつらしいから、資金集めは何とかなるよ」
「そうですか、良かったなサラン」
「はい、本当になんと言っていいか……」
「ははは、いいって、で、決まった?」
「はい、これが~、指輪の中でいいんですけど~、1つ8千Gもするんですよ~」
「ん~、効果は?」
「回避力が500上昇します、あと、魔力も30ですが上昇します」
「ほうほう、じゃあこれにしようか、みんなの指のサイズ測って貰おう」
「……サイズを測る?」
「え、どうしたのみんな?測って貰わないとサイズが合わないでしょ?」
「あ、いえ、身に纏う装備品は、自動的にその人に合う様になっていますので…」
「あぁ、なるほど、そう言う仕組みなのか……、ま、まあ、じゃあこれを下さい」
効果もそこそこの8千G指輪を、人数分買ったシュンは、
錬金術師に相談すると言って1人ギルドへ向かって行った。
サランは薬を飲ませたいと帰宅を言い、
他のメンバーもそれに合わせて帰宅して行った。
「あっ、シュン様……」
「お待たせ~、これからいい?」
「これからですか…?えっと、どこへ?」
「うちになんだけど」
「え!うちって、シュン様の自宅へ行くんですか?」」
「うん、夕食を食べながら話をしようかなと」
「あ、あの、シュン様と2人っきりじゃ、ないですよね…?」
ギルドに入って早々、誘いを掛けるシュン。
シュンの自宅へ行くと言われたお姉さんは、
警戒をして2人きりになるのか聞き返して来た。
「あ、うん、2人きりじゃないよ」
「そ、そうでしたか、いきなり2人っきりかと思っちゃいましたよ」
「あっ、あぁ、そう言う事ね、ははは、ごめん」
「いえ、誤解した私が悪いんですから、謝らないで下さい」
「うん、ありがとう、じゃあ、取り敢えず行こうか?」
「あっ、すいません、あと10分だけ待って頂けますか?」
「あ、まだ仕事の途中か、じゃあ、ちょっと話していい?」
「はい」
2人っきりじゃないと知り安心したお姉さんだったが、
謝るシュンに慌てて自分が悪いと言って頭を下げた。
そして、まだ仕事が終わっていない為、後10分待って欲しいと伝え、
シュンも頷いて会話をして、時間を潰そうとした。
「お姉さんは錬金術の魔法で、神父さんに使える物を作って上げるんだよね?」
「はい、頂いた魔法石で杖と帽子を作ろうかと」
「じゃあさ、ついでに、指輪に魔法石を付けて欲しいんだ」
「指輪にですか?えっと、なんの魔法石を?」
「うん、光の魔法石なんだけど、頼めるかな?」
時間潰しの会話の中で、お姉さんが自分で神父の為に、
木属性の装備を作り出すだろうと気付いていたシュンは、
ついでに指輪にも魔法石の取り付けを頼んだ。
自分が錬金術師で木の魔法石を頼んだ事で、
シュンが気付くのは当然だと思っていたお姉さんは、
ついでならばと承諾しようとし、なんの魔法石を付けたいか聞いて来た。
その問いにシュンは光の魔法石だと伝え、意図を把握したお姉さんは、
思わず目を見開き声を荒げた。
「こ、婚約指輪を作りたいのですか?」
「うん、全部で11個、作って欲しいんだ」
「11個も?」
「うん、その内1個は、お、お姉さんにも貰って欲しいなって…」
「えっ、わ、私に?な、なんで?」
「身寄りのない子供達の為に、一生懸命頭を下げてる姿が、その、優しくて好い人だなって思って…あ、でも、うん、これは俺の勝手な想いだから、指輪だけ受け取ってくれても全然」
「私の分だけ婚約指輪にしなくていいと?」
「うん、まあ、いきなり過ぎだよね、ははは、ごめん」
「い、いえ、とても嬉しいんですが……、私なんかが一緒に居ても、なんの役にも立ちませんよ?」
「いやいや、錬金術の技術もあるし、俺を心配してくれる優しさもあるし、き、綺麗だし」
「そ、そんな、綺麗だなんて……、あ、あの、少しだけお時間頂けませんか?」
「うん、石もまだ取って来てないし、その、返事はまた」
「はい、ちゃんと考えてお返事致します……、あの、シュン様」
「うん?」
「もう時間が来ましたから、その、行きましょうか?」
「うん、じゃあ、行こうか」
自分も孤児で尚且つ誰にも相手にされて来ていなかったシュンは、
孤児の為に頑張り、その優しい性格に惹かれていた。
そんな彼女を幸せにして上げたいと言う想いが溢れてしまい、
恋人達に相談なしに婚約指輪を渡す事を決意してしまっていた。
いきなり告白されたお姉さんは驚き固まってしまったが、
シュンへの恋心を持っていた彼女もまた、
すぐに受け入れたいほど嬉しい心境であったが、
いきなりの事で混乱し、答えを保留にした。
そんな話をしている間に仕事が終わる時間になり、
シュンの家へ向かって行った。
ストックが切れました…。
更新が遅くなるかも知れません、済みませんです。




