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第9話 サリィとの初夜と資金稼ぎ

風呂から上がった所で大人数での食事が行われ、楽しく会話を弾ませていた。

そんな中ニキがシュンを見ながら急に真面目な顔になり、

質問をして来た。



「シュン様、お聞きになったのですが、山に入ったそうですね?」


「うん、ユウちゃん達の実戦経験には丁度いいかなって」


「なるほど、しかしながら資金は余り稼げなかったのでは?」


「うん、そうなんだよね~、ヒュドラとまでは行かないにしろ、もう少し稼げるモンスターが近場に居ればな~」


「でしたらシュン様、山から少し離れた場所に祭壇がございますから、そこの洞窟に行ってみるのはいかがでしょう?」


「ニキ、あそこは危ないですわ、魔法を使えるならまだしも、ルーミアちゃんとか、エレアちゃんにはかなり厳しいですわよ?」


「ん?危ないって?」


「そこの洞窟に出るモンスターは、魔法主体のモンスターしか出ないのです、しかも、私と同等の魔力を持っているモンスターがほとんどなのです」


「ん~、かなり危険じゃない?」


「はい、しかしながら、ユウ様達が山で修行をしている間、そこで稼いで貰えたら宜しいかと?」


「ん?あぁ、俺1人がそこに行けばいいって事か」


「はい、サリィ様とルーミア様がいらっしゃれば万が一もないですし」


「でもニキ、あそこに飼い主様お1人で行かせる訳には…」


「いえ、問題ないと思います」



手際良く資金稼ぎをしたいと言うシュンにニキが案を示したのだが、

アイリーンはその案に納得しなかった。

しかしニキは別行動を示し、ユウ達は山で修行をし、

シュンだけでそこに行けば良いとを考えていた。

危惧するアイリーンにシュンの実力なら間違いなく安心であるし、

逆にユウ達が居た方が危険に晒される恐れがあると説明した。

流石に参謀術長だけはあり、的確な判断に分析力であったが、

しかしながらシュンはまだ疑問があった。



「まあ、別行動は俺も賛成だけど、そこが稼げる理由は?」


「はい、魔法力が具現化したモンスターを倒すと、魔法石が手に入るのです」


「ほ~、なかなかいい儲けになる?」


「はい、ご存知の通り、私達の国は魔法が主流ですから、魔法石の需要はなくなりません、それに、魔法使いが一切居ない国へ持って行けば、更に高く売れるでしょう」


「行商か、うん、それいいね、それに使える奴なら俺達が使っても言い訳だし」


「うふふ、そうです、ただの服でも十分装備として役に立つ事になります」


「うんうん、あ、あとさ、魔法の仕組みと、アイテムのドロップ率について聞きたいんだけど」


「魔法の仕組みとは?」


「うん、火属と水属って言うのはまあ、分かるけど、木属とか金属ってなに?」


「……、シュン様には戦闘よりもこの世界の常識を先に教えなければ、ですね…」


「ごめん」


「あ、いえ、別世界から来たのですから知らなくて当然ですよ、あ、あの、言い方が悪くて申し訳在りません、き、嫌いにならないで下さい……」


「うん、全然ならないよ、愛してるからね」


「あ、ありがとうございます、……では説明させて頂きます」



大分前から気になっていた事だったが、

今更ながらに魔法の基本を聞くシュン。

それについてもニキは呆れる事無く丁寧に教えてくれた。

この世界の魔法は、陰陽五行のそれと一緒で、

火は水に弱く、水は土に、土は木で、木は金、金は火に弱いと、

それぞれ弱点を持ち、そこに陽の光属と陰の闇属が別にあり、

それら計7つ力が魔法の元素であると説明された。

そして、火と土は主に攻撃的な側面から魔法使い系が、

水と木は主に回復や補助的な側面から僧侶系が得意としており、

金だけがやや特殊で、商人系が得意とし、

攻撃や補助よりも何かを産み出すのに力を発揮する魔法らしい。

それから光は、覇者や勇者と言った限られた者しか扱いが難しく、

逆に闇は、大魔王や魔人と言った、

非道な者しか使わない魔法であるとも教えてくれた。



「なるほどね~、聞かないと全然解んないや、ところで俺は?」


「覇王様が得意とされる魔法ですか?」


「うん、まさか無いとか?」


「いえいえ、そんな事ございません、覇王様が得意とされる魔法元素は、無、です」


「無?やっぱりないって事でしょう~」


「うふふ、この無とは、無属、全ての属性に有効な魔法です、私も見た事がないのでどの様な魔法であるかまでは……」


「お師匠様?あの時の魔法って、実は無属性の魔法だったのでは?」


「あぁ、そうかも知れない」


「どの様な魔法だったのですか?」


「ん~、魔力が飛んで行って、女王アリに触れた瞬間破裂したんだよね~、女王アリが」


「破裂……、恐ろしい魔法ですね」


「ま、まあ、あんまり使う機会もないから」


「いえ、それなら稼ぎ易いかと」


「うん?ドロップ率に関係あるの?」


「はい、それも説明させて頂きます」



シュンの得意属性が無属性だと聞いたサランが、

初めて見せた魔法の事を思い出し大声を上げた。

女王アリが一瞬にして破裂したと聞き、

ニキやアイリーン、モニカと言った、

魔法大国で育った者達は顔を青褪めさせ恐怖に取り付かれていたが、

いち早く気を取り直したニキが逆に好都合だとシュンに伝えた。

それと言うのも、モンスターが残して行くアイテムは、

HPの7割を一撃で減らすと残して行き易いとの事で、

瞬殺出来れば間違いなく残して行くとの事だった。



「なるほど、だからヒュドラはレアな鱗も残して行ったんだ」


「確か2発で倒したと聞きましたが、1撃で7割もダメージを与えたのですか?」


「うん、42000くらいから13000ぐらいにしてたはず」


「………」


「シュンさんに暴神化スキルがなくて良かったです~」


「う、うん、私達じゃ間違っても御主人様を抑えられないからな…」



魔法も然る事ながら拳1つがまさに凶器であるシュンに、

改めて畏怖する女性陣であった。

そんな雰囲気の中、アイリーンが突如思いもよらぬ言葉を口にした。



「飼い主様、1つお願いがあるのですが」


「お願い?」


「はい、この国から出て、どこか無人島で暮らす事は出来ないでしょうか?」


「はい?無人島?なんで?」


「シュン様、私が代わりにご説明致します」



いきなりのお願いにシュンは、意味が分からず焦ってしまった。

それを見たニキが、アイリーンに変わって説明を始めた。



「女王様とお嬢様はこの国でもかなり知られています」


「うん」


「ですので、王位を譲ったからと言って、ここに暮らしていてはすぐに知られてしまいます」


「わたくしは別に構わないのですが、飼い主様が面倒な事に巻き込まれてしまいますわ」


「面倒な事?」


「はい、まずはここの王が不審に思うでしょう…、全土に名を残して来た勇者、サリィ様と、覇者である女王様が得体の知れぬ男と一緒に暮らして、なにやら企んでいるのでは、と」


「ああ、確かに、お姉ちゃんも監視として一緒に居る体を取って貰ってるしね」


「それとですね、所在が割れていては、この国にも被害を及ぼすかも知れません…」


「被害?」


「はい、その、言っていい物か…」


「うふふ、ニキ、それはわたくしがお伝えしますわ」



ニキがシュンへの説明で、この国の王に不審を抱かせると伝え、

もう1つの事柄を説明しようとしたが、何故かいい辛そうにし、

口を開かなくなってしまい、アイリーンが代わりに口を開いた。



「ギムダイン国次期王、まあ、わたくしの義理の息子ですが、こいつがなかなかの馬鹿息子でして」


「馬鹿息子って」


「残念ながらそれしか言い様がないのですわ、まあ、その次期王なのですが、義母であるわたくしと義妹のモニカを狙っておりますの」


「はぁ?狙うって…」


「飼い主様の想像通りかと」


「なっ、母と妹を抱こうとしてるって事?」


「はいぃ、そうなんですよぉ、とっても気持ち悪いんですぅぅ」


「そんな人が王になっちゃっていいの?」


「それはまあ、出自が大貴族ですから、そう言った方々には人気はありますね、侍女とかにはすこぶる評判は悪いですが」


「王なんか所詮飾りですから、有能な家臣が何とかしてくれますわ、まあ、国の話は置いといて、その次期王がわたくしとモニカを奪い返しに戦争などを仕掛けて来る可能性がかなり高いと」


「戦争…、そこまでは流石にしないでしょ」


「いえ、馬鹿はやりますわ、国の兵は使えずとも、貴族を囲って私兵を出させるでしょう」


「……」


「ですからシュン様、女王が退位するまでの間に、移住を考えて頂きたいのです」


「移住、か…、戦争を仕掛けられても人に被害が出ない場所……」



シュンの想像以上に面倒な事になり兼ねず、本気で移住先を考え出すシュン。

そんなシュンにユウが控えめな声で話し掛ける。



「シュン様、私と初めて会ったあの島はどうですか?」


「あの島か、でもあそこは本当に何もなかったよ?」


「だからいいんじゃないですか~、新しい街を、私達で造っちゃうんですよ」


「街を造る…、言うほど簡単な事じゃなくない?」


「確かに簡単ではないですが、シュン君ならば出来ますよ」


「人手も考えてありますわ」


「うちら以外に?」


「はい、飼い主様は孤児院に大分寄付したそうですわね」


「いや、大してしてないけど、ってもう知っての?」


「うふふ、自分の国の事ですもの、その孤児院の子達を使えばいいのですわ」


「いいのですわって、そんな奴隷みたいな事はさせたくないよ」



ユウの提案はなかなか良さそうであったが、シュンは首を捻ってしまう。

それもそのはず、街を造るなんて大それた計画に踏み切れるほど、

自分の力があるとは思えなかったからだ。

そんなシュンにルーミアが、自分の事のように出来ると太鼓判を押し、

シュンを後押しした。

そしてアイリーンが、孤児院の話を出し、人手も補えると言い出したが、

その案にはシュンは、納得行かなかった。



「奴隷ではないですわ、賃金と経験を与えるのです」


「経験を与える?」


「はい、私と女王様が考えてる事は、孤児院の子供達にでも出来る、軽い仕事をして貰いながら、将来に役立つ経験をして貰おうと思っているのです」


「将来に役立つ…、それって~、畑仕事とか?」


「はい、それ以外にでも建築や狩り、薬草作りなんかも職業に役立ちますね」


「ん~、将来に向けて、か…、奴隷みたくはさせないよね?」


「勿論ですわ、そんな事をさせたら、飼い主様は激怒しますでしょ?」


「まあ、うん、するだろうね」


「うふふ、わたくしだってそこまでどMじゃありませんわ、愛のあるお仕置きじゃないと感じませんし」


「ぶっ、今は真面目な話をしてたんじゃないの?」


「あら失礼」



ニキが追加の説明によって、シュンの気持ちも変わった。

子供達の将来に繋がるのならばいい事だし、自立にも繋がる、

そして、受付に居たお姉さんもその話をすれば喜ぶであろうと、

シュンは考えてしまっていた。

そんな考えをしていたシュンに、アイリーンが茶化す言葉を吐き、

思わず吹いてしまったシュンであった。

この計画に当たって資金の調達と今居る国への対応が急務となった。



「資金はまあ、俺が何とかするけど~、この国の対応って?」


「サリィ様とルーミア様の移住に関してですね」


「あ、あぁ、やっぱりなかなか面倒な事だよね?」


「うふふ、私は別に面倒ではないですよ~、王に引っ越すって言えば済む話ですから」


「私も別に、女の癖に団長をやってるって周囲には見られていましたし、王にも恩義はありませんから」


「それなら決まりですわね、飼い主様にはかなりのご無理をさせてしまうかも知れませんが」


「ん~、別に大丈夫だと思うよ~、俺に任せなさ~い、俺が全部やってやるよ~~い」


「お師匠様、ま、まさかもう酔っちゃった?」


「うん、酔ってるな」


「あらら~、もう真面目な話は出来ませんね~」



アイリーンが持参して来たワインを、チョビチョビ飲んでいたシュンが、

急に酔いが回ったのか上機嫌になってしまった。

そしてその後は、真面目な話が出来なくなり、

またもや軽い乱痴気騒ぎとなって行き、昨日同様シュンは、

前後不覚に襲われ女性達にセクハラ紛いな事をしたと、

翌朝聞かされる羽目となった。

実を言うとセクハラ紛いな行為自体は女性達自らが誘発させていたのだが、

シュンは気付かないままだった。

そしてアイリーン達が帰るのを見送った後、やや酔いが残ったままのシュンは、

サリィを自室に呼んでいた。



「シュンちゃ~ん、シュンちゃ~~ん」


「んぐ、うぅ~、く、苦しいよ~」


「あらっ、えへへ、ごめんなさい、やっとシュンちゃんと愛を確かめられるから嬉しくなっちゃって」


「はぁ、はぁ、はぁ、俺もお返ししちゃうぞ~」


「や~ん、シュンちゃ~ん、苦しい~、う~、あん、シュンちゃ~ん」



ベッドに入ってすぐ、サリィはシュンを力強く抱き締め、

悦に入っていた。

その愛情表現の強さにシュンは、

苦しさの余りギブアップを伝え離して貰った。

そんなシュンを笑いながら謝るサリィだったが、

お返しとばかりにシュンへ抱き締められ、

今度は自分が苦しい思いを味わう羽目となった。

そんな事を何度も繰り返した後、

気分の高まった2人は自然と愛を交えて行った……。





サリィの懐の広さに甘え包まれる様な行為を終えたシュンだったが、

母性を露にしているサリィに、

その後3度も求めてしまい、4度中に愛を注ぎ、

結局シュンの方が先に限界となって、眠ってしまっていた。



「うふふ、シュンちゃん、ゆっくり休んで下さいね~、ふふふ」


「う~ん、くすぐったいよ…、ムニャ………」


「ふふふふ、寝言も可愛い、さて、お母さんも一緒に寝ますからね~、おやすみなさい、シュンちゃん、ちゅっ」



眠ってしまったシュンの顔を撫でていたサリィは、

シュンの寝言に微笑み、自分も就寝して行った。

初めて母親の愛情に護られながらシュンは心地良い睡眠を取るのだった。





「おはよう、シュンちゃん、ちゅっ」


「ん、あ、あれ、お母さん」


「うふふ、昨日はありがとう、凄く素敵な一夜でした」


「う、うん」


「うふふ、お母さんはご飯を作って来ますから、ユウちゃんが起こしに来るまでもう少し寝てて下さいね~」


「えっ、俺だけ寝てるのは」


「いいのいいの、これからシュンちゃんは忙しくなるんだから、ゆっくり寝れる時は寝ときなさい」


「うん、分かったよ」


「うふふ、いい子ですね、じゃあまた後でね、ちゅっ」


「うん」



少し早い時間に目覚めたシュンは、隣に居たサリィと目が合った。

するとサリィは微笑みながら挨拶をしキスをした。

そして自分は先に起きて朝食を作ると言い、

起きようとするシュンにはまだ寝ていろと指示を出した。

サリィの言い分に頷いたシュンへ、目を細めながら笑うサリィは、

再度キスをして、シュンの部屋から出て行った。

そして起こしに来たユウにもキスをされ、

新たな朝を迎えたのだった。




「あっ、またお越し下さったのですね?」


「うん、今日もね、ちょっと仕事をしようかと」



朝食を取って支度をしたシュン達は、隣国のギルドへ赴いていた。

そして、約束通り本日も顔を出したシュンに、眼鏡を掛けた受付のお姉さんは、

嬉しそうに微笑みながらシュンを出迎えた。



「はい、ありがとうございます、討伐用の石版ですが、シュン様がリーダーで宜しいですよね?」


「うん、あっ、今日はボランティアありそう?それと魔法石関連のもあれば宜しく」


「またボランティアをお請けしてくれるのですか?あ、ありがとうございます」


「いいって、で、なんかありそう?」


「はい、出来れば薬草を何枚か…、後は火と土の魔法石を5個1セットずつ計10個で、7千Gで買い取らせて頂く仕事がございます」


「7千Gか、1個ずつで売ると?」


「1個ずつですと5百Gです、ですから2千Gお徳かと」


「なるほど~」


「それからですね、あちらに居られる魔法使いさんの持つ杖の大きさですと、計10個で1万5千Gになります」


「こっちもお得だよね?」


「はい、1個1千Gですので5千Gお得です、あ、あと…」



「うん?」


「あ、いいです、な、なんでもありません」


「気になるな~、何でも言っていいよ?」



魔法石関連の質問をしたシュンに、お姉さんが言い淀みながら、

お願い事をして来た。



「そ、そうですか?あ、あの木属性魔法石を1個、欲しいのですが……」


「仕事で?」


「い、いえ、私が、その、神父様に差し上げたくて…」


「木属性のね、色は何色?」


「緑、です」


「小さいのでもいいのかな?」


「はい、どんなものでも、あ、でも」


「おっけ~、じゃあそれもボランティアの仕事に回して置いて」


「あ、うぅ、ありがとう、ございます」


「ははは、いいっていいって、じゃあ石版、借りてくね」


「はい、あの、ご無事にお戻り下さいね、何かあったら私……」


「大丈夫、石も持ってくるから待っててね~」



仕事の内容を確認し、ついでにお姉さんの頼みも聞いて、

ギルドの外で待っているメンバーの下に戻って行った。

何故ギルドの建物に入らなかったかと言うと、

お弁当を持って来なかった為、

女性陣は屋台に売られている食物を買いに行っていたからだ。

なので、ギルドに居た魔法使いとはサランではなく、

違うパーティーの爺さんの事である。



「ありがとうニキさん」


「いえいえ、ではまず祭壇の洞窟に行ってから山へ行きますね」



準備も全て整い祭壇まで送って貰う為に呼んでいたニキに、

シュンはお礼を言い、それを笑みで返したニキは、

祭壇にある洞窟まで運んでくれた。

そして皆を見送った後、シュンは洞窟の中に入って行った。



「ふむ~、具現化、か~、属性に沿った色の気体だって言ってたけど……」



洞窟内に足を踏み入れたシュンはモンスターの見た目を、

もう少しちゃんと聞いてから来れば良かったと少し後悔したが、

すぐにモンスターが現れ一目でそれと分かった。

現れたモンスターは、赤い霧が固まった様な物と、

真っ黒な霧が固まった様な物の、2種類、

それぞれ2体ずつであった。



「あっちは火か、であれは、闇、かな?」



焦りはしない物の魔法を使ってくる相手なので、

一応警戒態勢で臨むシュン。

そんなシュンに黒い霧の1体が、

これまた黒いブレスを吐いて攻撃して来た



「ん?ダメージは、全くないな、って事は、今のは状態異常の魔法か」



ブレスを浴びたシュンだったが、

身体を襲い来る物は感じられず、

状態異常にさせる魔法であると看破した。

チートなスキルに守られているシュンにとっては、

状態異常など恐れるに足らず、ダメージもほぼ喰らわない為、

出方だけ確認したシュンは取り敢えず魔剣で攻撃してみた。

すると手応えは全くなく、スカッと空を切るのだが、

シュンは想像通りだと1人納得し、魔法による攻撃に切り替えた。



「取り敢えずは初めと同じ魔法でやってみるか」



赤い霧が放ってくる火の玉を左手で撥ね退けつつ、

魔法を放つイメージを持ちながら右手を前に突き出すと、

そのモンスターに魔力の篭った玉が飛んで行き、一瞬で消滅させた。

そして次に黒い霧にも魔力の玉を放ち消滅させた。

そこでふと、一編に倒せない物かと意識を巡らせつつ右手を突き出した所、

2体のモンスターにそれぞれ飛んで行き、一気に全滅させた。

そして足元を見ると、赤と黒の魔法石が2個ずつ転がっていたのだった。



「ふぅ、全体魔法も使えるのか、まあ、チートだしな、俺」



独り言をぶつぶつ言いながら残していった魔法石を拾い、

更に内部へと足を進めて行った。

その後散発的に現れるモンスターを倒して行き、

全色のモンスターを屠ったのだが残して行く石は全てが小型で、

杖に用いていた大きな石は全く残されて行かなかった。



「超低確率なのか?でもな…、ヒュドラだって鱗残して行ったし……」



顎を手で触りながら思案にくれ歩くシュンに、

緑色をした霧が4体出現し襲い掛かって来た。

いきなりの事で対応が遅れたシュンだったが、

間近に迫ったモンスター目掛け手を突き出し、

あっさりと全滅させた。

するとどうだろう、

先程まで小さい石しか残さなかったモンスターから大きな石が残っており、

思わず歓喜したシュンだったが、残されていた石は2個しかなかった。



「ん~、もしかしたら2体同時で倒せば大きな石1個になるんじゃなかろうか……」



残された緑の石を手で拾い、法則な様な物をシュンは考えてみた。

今まで散発的に倒して来た敵は、

それぞれ色の違う敵が1体ずつしか現れていなかった事と、

今襲って来たモンスターも、距離的には2体が間近で、

残りの2体は今までとさほど変わらない位置で、

距離によるダメージが原因ではないと考えられた。

そうなると残された答えは1つで2体同時に大ダメージを与える事が、

大きな石の入手方法だと、答えが導き出された。



それを確かめるべく来た道を帰りつつ、

現れたモンスターを誘導し出口間際で一掃してみた所、

赤と青、そして茶色を3個、金と黒が2個、緑と白が1個ずつ、

大きな石を残して残して消えて行った。

それによってシュンは、午後からの戦闘を出来る限りモンスターを集め、

一掃させる事にしようと思ったのだった。

取り敢えず腹が減ったシュンは、山に居る皆の下へ向かって行った。



「あっ、シュン様~」


「おっ、来た来た、いや~、腹が減っちゃって少し早いけど来ちゃった」


「そうでしたか、ご無事で何よりです」


「ははは、ありがとうお姉ちゃん」


「では、すぐに準備しますね」



丁度戦闘を終えたユウ達は、現れたシュンの下に駆け寄って来た。

そして、ルーミアは無事を喜び、シュンはそれに照れながら礼を言った。

そんな遣り取りをしている最中、サリィは急いで昼食の準備を始めた。

そして、屋台で売られていた料理に舌鼓を打ちつつ、成果の方を報告し合った。



「買って貰った剣も、慣れて来ました~」


「私もこの斧のおかげで~、魔法を打ちながらの戦闘が出来る様になりました~」


「御主人様、この武器、見た目に劣らず、なかなか凶悪な物でしたよ、ふっふっふ」


「お師匠様、お師匠様のおかげで水属性の魔法も大分修練されました、本当にありがとうございます」


「そっかそっか、みんな喜んで貰えてるみたいで良かったよ」


「ところでシュンちゃんの方はどうでしたか?」



新しい武器を買って貰った4人はそれぞれに満足行っている様で、

シュンも嬉しそうに報告を聞いていた。

そんなシュンにサリィが、シュンの方はどうだと聞いて来たので、

洞窟での戦闘内容を皆に聞かせた。



「わざわざ敵を集めて、ですか……」


「そんな事する人は初めて聞いたな」


「確かにその方が効率はいいみたいですけど~、なかなか実行出来る人は~、居ないですよ~」



シュンの取った、敵を集める手法は、

危険が伴い過ぎるので大人数でパーティーを組んでいる以外、

まずしない手法であると聞かされた。

しかも黒い霧に出会ったらまず先に倒してしまう為、

黒の大きな石はまず見かけず、価値は結構あるとも聞かされた。



「でもさ、闇の魔法は魔王とかしか使わないんでしょ?」


「まあ、好んで使うのはそうですが、魔術研究にも役立ちますので、その魔法石はかなり値打ちがありますよ」


「そっか~、じゃあこれは売らずに取って置こうかな」


「ん~、どうでしょう、貴重だけど使い道はないんじゃ?」


「あ~、そっか、じゃあ、どうせまた手に入るし、売って資金にするか」


「その方がいいと思いますよ、まあ、ニキさん辺りは欲しがるかも知れませんが」


「うん、夕食の時にでも1個上げようかな~」



結構な資金が蓄えられそうでホクホク顔のシュンに、

女性陣達も釣られて笑顔になり、楽しい食事となった。

その食事中、防具を購入する話になったが、

今の所は不必要となりその代わり、

シュンとお揃いのアクセサリーが欲しいという話になって、

本日は帰りしなにアクセサリーを買う事が決まった。

それに伴いシュンは、午後の魔法石集めを頑張らなければと、

1人気合を入れるのだった。


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