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お前がスパダリになれなかったせいで世界が滅びました。あーあ  作者: カブキマン


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言葉に気を付けろ

(美味くはあるけど、これ一番ランク高いやつではないな。ったくカルトの癖にケチりやがって)


 大いにプライドを踏み躙られるイベントはあったがそれはそれ。

 次でまた成果を奪えば良いだけと割り切り時計の針を進め例のポイントへ。

 以前と同じように寿司を食いながら家探しをしてパスポートを発見。

 この拠点を選んだのは寿司が食べられるからでそれ以上の理由はない。


【敵地で盗み食いとはまた豪胆だね君は】


 ブリキのボディに陰謀宿し、灯せ危険な赤信号。

 機人佰號も定刻通りに到着し、いよいよ未知へと続くイベントが始まった。


「腹が減っては戦は出来ないと言うだろ?」


 当然の如く、腸は煮えくり返っている。

 だがこんなゴミカス相手に命をくれてやるのもムカつくからとルイは何とか耐え忍んでいた。


【とっくのとうに逃げ出してるじゃないか】

「お前が居るだろ。機人佰號」

【……へえ?】


 玩具ゆえ表情というものは窺えない。

 それでも空気が変わったのは確かだ。


【私の接触は織り込み済みだと?】

「そこまでは言わないよ」


 ただ、と軍艦を口に放り込みながらルイは続ける。

 寿司は良いだろもう。卑しい男だなお前は。

 何がずるいって余裕の表れのように見せているのが本当にズルイ。

 実際は高い寿司を最後まで味わいたいというセコさゆえだというのに。


「ただ、今朝から引っ掛かるものがあった」


 明確な論理に基づくものではない。

 霊能力者が持つ第六感に起因するものだ。


【だというのに片割れには何も言わなかったのかい?】

「ああ」

【不用心だね。あっさり背後を取られてしまうぐらい私と君の間には悲しい実力差があるというに】

「結果論だがこれで良かったと思ってるよ。だってモモさんと一緒ならお前は姿を見せなかったろ」


 こうして姿を見せたことで確信を得た。

 これもまた明確な論理に基づくものではなく直感によるものだ。

 その上でルイはこう続ける。遅かれ早かれだと。


「いずれお前は状況を整えて僕に接触していた」


 今やるか先延ばしにするか。それだけの違いでしかない。

 そう言ってホタテを食べるルイに機人佰號はカタカタと体を震わせ笑った。


【面白い子だ】

「否定しないんだね」

【君の中では確信に至っているんだろう? なら何を言っても無駄だ】

「そうかい。しかしそういうことなら僕は客というわけになるね」

【何だって?】


 キョトンとする機人佰號にルイは告げる。


「お前は僕に用があって接触した。そしてここはお前たちの拠点だ」


 ならばここに居る自分は紛れもない客であると。

 そして、


「客に対して茶の一杯も出さないのはどうかと思うね」

【……なるほど道理だ】

「お寿司によく合う渋くて熱いのを頼むよ」

【ハハ、こんな腕をしてる相手に無茶を仰る】


 Cの形の手をカチカチ打ち鳴らしながら機人佰號は部屋を出て行った。

 そしてしばらくするとお盆にお茶を乗せ戻って来た――いや好感度たけえな。


【はいどうぞ。まあゆっくり食べると良い。育ち盛りだしね】


 機人佰號はぴょいと窓枠に腰掛け見守る姿勢に入った。

 ルイはありがとうと礼を言いつつ、


「で、僕にわざわざ偽造パスポートを渡した理由は何なんだい?」


 今日の天気を聞くような気軽さで核心に踏み込んだ。

 これは機人佰號にとって想定外の事態だった。


【……】


 無論、しらばっくれることは出来る。

 だが目の前の少年の顔には明らかな確信の色があった。

 それが機人佰號に誤魔化しではなく沈黙と観察を選ばせたのだ。

 ルイはループという事象を経て情報を掴んだ。

 しかしそれを知らない者からすればいきなり真実を射抜いて来たようにしか見えない。

 黙り込んだ機人佰號を見てルイは、


(あ^~これこれ。そうだよ。僕はあくまで見下ろす側なんだ。鉄屑風情が弁えろってんだ)


 ご満悦。

 正直な話、これは意味のないやり取りだ。

 にも関わらずやったのは精神的なマウントを取るため。

 本当にそれ以外の意図はない。

 機人佰號を揺さぶって少しでも情報を引き出そうとかそんなことすら考えていない。


【ふむ。何故、と聞いても?】

「お前が案外、雑だって話だよ」


 寿司をパクつきながら何でもないようにルイは語る。

 ここは初めて訪れた場所だがよく観察すれば分かることもあるのだと。


「金庫があった場所の痕跡を見れば一目で分かったよ」


 直近で運び込まれたものであると。

 一日二日ならば単に組織の活動としてここに居た者らがと考えるのが自然だ。

 だがこの金庫に限ってはそうではない。本当に間際に運び込まれたことが窺える。

 そう指摘され、


【……雑とは言うがこれでもカモフラージュには気を遣ったつもりなんだがね】


 機人佰號は白旗を挙げた。

 事実その通りだったからだ。


【若き俊英という言葉すら君の前では虚しくなるな】


 いやそいつのそれ完全なハッタリっすよ。

 ループから状況証拠を見つけ出しそうだろうと判断しただけ。

 金庫があった場所の痕跡なんて全然だ。

 運び込まれたと知った上でも普通に分からなかった。


「くだらない世辞は結構だ」

【心外だな。本音だとも】


 機械音声に喜びの色を滲ませながら機人佰號は語る。

 ルイより強い人間は大勢居ると。

 だが、


【十七年。たった十七年の人生でそこまで辿り着ける人間がどれだけ居る?】


 早熟の天才などでは断じてない。

 その程度の輩とは一線を画している。


【神央累という名の大器は未だ完成に至っていない】


 にも関わらずあらゆる面で秀でており今や異常戦力とも肩を並べている。

 非凡の極み。選ばれた人間としか言いようがない。

 機人佰號の惜しみない賛辞に表面上、白けた顔をしているが、


(……ひょっとしてコイツ、実は良い奴なんじゃないか?)


 正気か?

 あれだけキレ散らかした挙句、不合理な自爆をノータイムで敢行したのを忘れた?

 若年性健忘症の恐れがあるのかもしれない。


(さっちゃんのアレも解釈違いの極みで料理完成即便所並みのゴミカス行為ではあるが……)


 よくよく考えてみれば悪いことばかりでもなかった。


(あれがあったから僕は曇らせというものの素晴らしさを知れたわけだし?)


 馬鹿なのか?


「そこまで褒めてくれるんだ。くれる情報も相応のものだと期待して良いのかな?」

【……そうだね】


 少し考えてから機人佰號はこう切り出すが、


【君もあの出来損ない。狭間幸男から聞いてはい――――】


 続く言葉は極大の殺意によって遮られた。


「言葉に気を付けろ。大切な友達への蛮行を赦したわけではないんだぞ」


 ルイの心は冷え切ってた。


(やっぱカスだわ。出来損ない? 違う。さっちゃんはあれだから良いんだよ死ねクソが)


 情緒不安定か?

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― 新着の感想 ―
大器っていうか、まあ国宝級ではあるよな、曜変天目くらいの豪華さとサイズの器ではあると思うよ、器自体が酒飲むからいくら注いでも満ち足りる事がないだけで小ちゃいから一時的にはごきげんにはなるけど
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