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お前がスパダリになれなかったせいで世界が滅びました。あーあ  作者: カブキマン


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復讐するは我にあり(ない)

 憎悪を滾らせはしたがそれはそれ。これはこれ。

 ハジメを利用した十二天将復元計画を取り止めるつもりはない。

 世界のため――――などでは当然なく、幸男のためだ。

 その日は疲れもあるし一先ず解散となり、続きは後日となった。


「……これ、ひょっとしたら今日で終わるかも」

「一回でコツ掴んだの!?」


 翌日。朝から工房に入った二人。

 開口一番ルイがそう言えばハジメがギョッとした顔になった。


「最初に復元したこの子。六合の能力があるからね」


 六合が司る調和。

 それは癒しや復元にも大いに役立つ能力だ。


「多分、十二天将が破損した際の修理役も担ってたんじゃないかな」

「はへー」


 ルイとハジメ、そこに六合も加われば前日よりも作業は捗るはず。

 その見立ては間違いではなく復元作業は順調に進んだ。

 そして日付が変わる少し前には六体全ての復元が終わった。


「お疲れ様。本当にありがとう」

「ううん。神央くんの力になれて私も嬉しい」


 モモへの報告はまた明日ということでその日は解散。

 当然、ハジメのことはしっかり家まで送って行った。

 そして翌日。学校終わりにモモへと十二天将復元の報告を入れたのだが……。


「……これは、私だけに留めておくのはまずいか?」


 モモを筆頭とした課長たちから復元の許可は正式に下りている。

 だが彼らは使い物になるぐらいだろうとしか考えていなかった。

 だというのにまさかまさかの完全復元。

 他の課長にも一報入れるべきだと判断したモモにより連絡が回される。

 結果、急遽お披露目兼報告会が開かれることとなった。


「お忙しい中、ご足労頂きありがとうございます」


 九課の訓練場。

 集まった課長たちに向けルイは先ず、心にもない感謝を述べた。


「構いませんよ。今日は全員、時間に余裕がありましたからね」

「むしろ明日以降のが都合が良くねえしなあ」

「というかあたしたちのが若人の貴重な時間奪ってること詫びるべきだよね」

「それより早速、頼めるかな?」


 一つ頷きルイは復元に至るまでの説明を始めた。

 ある地点で完全復元は不可能だと悟ったこと。

 ハジメの異能が最後の鍵となったこと。

 課長たちは黙ってルイの話に耳を傾けた。


「では実際に現物を御覧ください」


 そう告げて青龍、朱雀、玄武、白虎、六合、勾陳を顕現させる。

 何も命じてはおらずただ待機しているだけ。


「……疑っていたわけではありませんが」

「ああ、分かる。これが本物の十二天将か」


 しかし全員が理解させられた。

 現物など見たことはないがこれこそが清明の式神であると。

 纏う空気が明らかに違うのだ。


「……偉業だな」

「同意する。彼は誰一人として成し遂げられなかったことをやってみせたのだからな」


 戦後に発足しまだ百年も経っていない。

 しかし前身の組織を合わさればその歴史は千年以上になる。

 残骸が保管されてから数多くの人間が十二天将復元に臨んだ。

 だが誰一人としてそれを成し遂げることは出来なかった。

 それを若干、二十にもならない少年がやってのけたのだ。

 偉業と言わずして何を偉業とするのか。


「いえさっきも言いましたがこれは僕だけの力ではありません」


 九十九さんの異能なくして完成はあり得なかった。

 隣で緊張に身を強張らせるハジメの肩に手を置きルイは言う。

 心にもない謙遜であることは皆、承知の上だろう。


「いやいやいやいや! 私ホント、言われるがままに良いとか違うとか言っただけなんで!!」


 小市民なハジメからすれば偉い大人というのは無条件で緊張するもの。

 全員ゴミカスと見下してるような男とは違うのだ。

 あたふたと手を振りルイの後ろに引っ込んでしまう。


「無論、お嬢さんの貢献を無視するつもりはないよ」

「九十九ちゃんもすっごく頑張ったよね! 偉い偉い!」


 課長たちも言葉が足りなかった。

 大人としてよろしくなかったなとハジメを褒めていく。出来た大人たちだ。


「だがそれはそれとして、だ」


 パチン、と閉じた扇子を口元に当てながらモモが言う。


「完全な復元は不可能である。その解を導き出せたがゆえだろう。

これまでの人間も不可能だと判断はしたがその理由が間違っていた。

単なる能力不足だと見切りをつけただけ。しかしルイくん、君は違う」


 清明だけが持つ特異な視点。

 それを持たないから完成させられないのだと正しい解を導き出した。

 その上でハジメの異能が最後のピースであることを明らかにしたのだ。


「お嬢さんが訪ねた来たからという偶然もあったが君だからこそ成し遂げられたことだ。

謙遜も良いが過ぎれば嫌味だよ。成し遂げられなかった人間からすれば、ね」


 その通りだとモモの言葉に課長たちも同意する。


「別に謙遜しているつもりはないんですが……ならまあ、受け取っておきます」

「そうしたまえ。しかし……フフ、私も鼻が高いねえ」


 この子を見出したのは私だよ? と他の課長らにドヤるモモ。

 珍しく素直な感情を露わにする彼女はシンプルに可愛い。

 まあルイの好感度は一切上がらないわけだが。


「自慢話は尽きないが実務的な話もしなきゃだ」


 仕切り直すように告げモモは課長らを見渡す。


「私はこのまま十二天将を彼に預けるべきだと思うがどうかな?」

「異議なし」

「特対の共有戦力にしても完全な運用は出来ないでしょうね」


 式神には主従を結ぶための機能が存在する。

 完全な復元が成ったということはそこも完璧に修復されたということ。

 十二天将の主人は清明であるという状態に戻ってしまった。

 その上で彼らは清明を主人と設定しつつセカンドマスターとしてルイを認めている。

 ルイ以外の命令にはまず従わないだろう。


「一々神央少年に命令を出してもらうなら最初から彼の所有物にしてしまう方が良い」

「というわけで困った時はよろしくね?」

「勿論です」

「じゃあ次は俺から良いかな?」


 中年の男性課長が話題にしたのはルイの立場だ。

 当人は未だ異常戦力と呼ばれるほどではない。

 しかし十二天将込みならどうなのかと。


「私らともやり合えるからアリだと思うよ」

「AT限定みたいな感じで新しく立場を設けてある程度、権限増やすとかで良いんじゃない?」

「異議なし」

「そうなると実際に軽くやり合ってみたくはあるな」

「良いなそれ。性能試験も必要だろうし俺が相手になろう」

「いやいや先ずはあたしが」


 十二天将の完全復元により物語は新たな局面を迎えた。

 しかしルイの心に喜びはない。


(……ようやくだ)


 あるのは身を焦がす怒り。


(――――僕のさっちゃんを穢した屑を見つけて必ず仏罰を下してやる……!!)


 幸男も不安よな。自認釈迦、(報復に)動きます。

ちょっと体調崩してまして投稿感覚長くなります。申し訳ない。

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― 新着の感想 ―
仏罰的面…(沈痛な表情で 如何に自認如来の内面ドブカッスであろうとループ主人公であることは変わらないわけで… 哀れ洗脳犯、お前の末路は昆虫メンタルのオモチャです。
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