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お前がスパダリになれなかったせいで世界が滅びました。あーあ  作者: カブキマン


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神回避

「お前……お前これ一番駄目なパターンだろ!!」


 地団駄を踏むルイだがこればっかりはしょうがない。

 だってギャルゲーで言えば八方美人で全方位に良い顔をしたようなものなのだから。

 満遍なく好感度は上がっても結局誰とも付き合えずエンディングを迎えるとか一番無駄だ。


「これならまだあのババアを篭絡して僕に尽くさせた方がよっぽど良かった!!」

【さ、最低の発想……】


 女を搾取の対象としか見ていないスパダリとは対極の発想だ。

 とは言え、効率を考えるならルイの言は正しくもある。

 知らない情報、更なる密度の鍛錬など周回で得られる恩恵は間違いなく増えるのだから。


【……一ノ瀬女史は緩そうに見えて公私キッチリ分けているタイプのように思えますが】


 家に上がり込んだり招いたりはしている。

 だがそれは問題のないラインでの行動。

 例えば職務上、ルイの立場では知り得ないようなことなどは教えてくれないのでは?


「ハッ」


 ルイはブラウンの指摘を鼻で笑い飛ばした。


「それは線の手前だからだよブワァアアアアアアアアアアアアカ」

【純粋な疑問なんですが今のやり取りでそこまで馬鹿にされる要素ありました?】


 ブワァアアアアアアアアアアアアカはどう考えても過剰だろう。

 ブラウンの質問を無視しルイは語る。


「線を超えてしまえばあれはトコトンまで入れ込むぞ」

【そう、なんですか?】

「ああ。本人の能力が高いから平気だけど男で身持ちを崩すタイプだよ」


 そんな女を食い物にしようとか人の心がないんか。


【寄生虫でも食い潰せないほどハイスぺだから結果的に平気というわけですか】


 幸せなんだか不幸せなんだかというぼやきには完全同意だ。

 まあでも本人が幸せならそれで良いのかもしれない。


「というか一ノ瀬の話はどうでも良いんだよ!!」

【振ったのあなたですが……】

「問題は九十九だアイツお前どういうことだよ!?」


 動かず冷静さを見せるという選択肢を取った。

 にも関わらず何も変化しないどころか前々回より状況は後退してしまった。

 どう考えてもおかしい狂ってると喚き散らすルイにブラウンは言う。


【いえ多分、読み自体は間違っていないと思いますよ。あ、前々回の選択肢のことですね】

「あ゛ぁ゛!? だったら何で」

【私なりに状況を整理させてください】

「……聞いてやろう。無駄な時間を使わせた場合は反省文書けよ」


 テレビがガタつく。反省文はかなりトラウマらしい。


【じゃあ止めておき】

「非協力的な態度を取るわけね。反省文書くまで僕は何度も無益な周回を繰り返すぞ」

【両方地獄じゃないですか!!】

「地獄? 地獄と言ったか? そんな言葉が出て来るということは以前の反省文は心からのものではない?」


 ハラスメント止めろ。

 この流れはまずいと判断したのだろう。ブラウンは無視して自身の推測を並べだす。


【これもまたステータスが足りなかったんだと思いますよ】


 ステータスが一定に達すれば新たなイベントが発生する。

 ハジメとの出会いや九課入りがそれだ。

 しかし全ての選択にステータスが絡んでいるかと言われればそれは違う。

 ハジメと出会えても嫌われてしまえばその先はなかっただろう。


【動くか動かないかはステータスが絡まない選択だと判断したようですが】

「当たり前だろ。スタンスにステータスは関係ないんだから」


 自分という人間の姿勢を示すための選択だった。

 そこにステータスが絡むことはないという主張だが、


【今回に限ってはどうでしょう?】

「?」

【九十九女史はお優しい人間だという印象で“だからこそ”なのではないでしょうか】

「何を――――いや待てそういうことか?」


 口元に手を当てハッとする。

 流石に察しが良い男だ。ブラウンが言わんとしていることをこれだけで大体理解した。


「“自分のためなら無茶をしてしまう”という不安が根付いてしまった!!」


 怪物と戦う組織の圧倒的に強いトップ。

 そんな人間にすらハジメのためなら果敢に向かって行ける。

 ただの友人の間柄ですらそれなのだ。

 更に親しくなればもっと無茶をしてしまうのではないか?

 その思考が無意識の内にブレーキになっている可能性は十分にある。


【先のぬいぐるみたちとの一件もありますしね】


 とブラウンが補足を入れる。

 力を持たない状態でも既に神央累という人間が命を捨てられる人間であると示してしまっているのだ。

 ではこの路線は間違いなのかと言われればそれは違う。

 道自体は合っているのだが障害物を乗り越えるためのステータスが足りない。


「……不安を軽減出来る材料を同時に示すべきだったのか


 不安を完全に払拭することは出来ないだろう。人間なのだから。

 しかし不安を軽くすることぐらいはやれる。

 自らの思考を整理するようにルイは言う。


「斬りかかった場面で必要不可欠な要素は主に三つ」


 一つはルイのために動いたという感情面での訴求。

 一つはただの馬鹿ではないという知性面での訴求。

 そしてもう一つが、


「信念を貫き通せるだけの“暴力”」

【私はそう考えました。どうでしょう?】

「……僕も同意する」

【え】

「何だよ」

【い、いえまさか何の悪態もなしに素直な同意を示されるとは思ってもみず】

「僕を何だと思ってるんだ」


 これまでを振り返れば瞭然だろう。


「正しいことはちゃんと正しいと認める度量はあるよ。問題があるのは受け取る側さ。

悪態? つくづく卑しい性根だねお前は。自分の不足を認められないのは罪と知れ。

お前が馬鹿だから僕はしっかり言葉を尽くしてやってるんだぞ? それを悪態って」


 仮にこの空間が全面鏡になったとしよう。

 多分、ルイの目には自分の姿はどこにも見えないだろう。


「これはもう……あれかな」

【何やら途轍もなく嫌な予感がしますけど……何です?】

「反省文だ。僕が周回を終える度にお前も自分の不足を反省文にまとめるべきじゃないか?」


 他人の耳に痛い言葉を悪態と表現する性根。

 これを改めない限り世界は救われてもお前に未来はないと力説されブラウンは心底慄いた。

 あ、これこのままだと本気でやらされると。

 何が何でも有耶無耶にしなければいけない。ブラウンは決意した。


【検討はしておきましょう。それはさておき問題点、疑問点はこれで明らかになったわけですよね?】

「ん? ああ、そうだね。ただ問題は」

【でしたら早速リトライ! 武力のステ上げ頑張ってくださいね? ではいってらっしゃい!!!】


 このまま行けばルイの脳内で反省文を書かせるが提案から確定事項に変わってしまう。

 そうなればもう終わりだ。ゆえに考えが固まらない内にルイを説教部屋から追い出す。


【ふぅ。これで何とか有耶無耶に出来そうですね】


 ブラウンの判断はあまりに適切だった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

励みになるので気に入って頂けたらブクマ、評価よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
でも身体能力は振り出しに戻るから 効率の良い鍛え方を知る周回が始まるのか
まさかルイ君が反省を!? これは大事件ですよ。 でも、ルイ君はルイ君だった。 多分(?)、君にも反省文は必要だぞ。
楽しい武力上げ修行パートがここから始まるのね! サブルート的な謎の古武術系ヒロインも湧きそうだけどはてさて
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