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お前がスパダリになれなかったせいで世界が滅びました。あーあ  作者: カブキマン


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落ち着けエーミール

 言いたいことは分からないでもない。

 世界の滅びを食い止めるためには暫定ヒロインたるハジメとの関係強化が必須。

 なのにそっちは全然でまったく関係のないモモとの仲が深まるとか文句の一つも言いたくなろう。

 だが、


【いや、あの、スパダリってそういうものでしょう?】


 改めてスパダリ五箇条の御誓文を列挙しよう。

 一、見目麗しく在る努力を怠らないこと。

 一、文武両道を心がけること。

 一、多芸多才を心がけること。

 一、最低でも上の下ほどの経済力を有すること。

 一、分け隔てなく優しく在ること(※但しヒロインには“特別”な対応を心がけること)。


 現状ルイはその全てを満たしているとは言えない。

 それでも中身を無視して客観的に評価すればかなりの高得点を叩き出している。

 そりゃ標的以外の人間にも好かれるに決まってるだろう。


【皆に好かれる彼の特別がワ・タ・シ。それがスパダリなんですよ】

「他人をアクセサリーか何かだと思ってるのか!? この屑め!!」


 他人を踏み台としか思ってない輩が言いおるわ。

 だがルイは自分の他者へのスタンスに一切問題はないと思っている。

 こんなにも素晴らしい自分の役に立てるのだからそれは何よりもの幸せだろうと。

 やべえことやらかす独裁者の思考そのもので笑う。いや笑えない。


「ってそうじゃない! 違う!」

【はぁ? 何が言いたいんです?】

「“あの選択”でこうなるのはおかしいだろって言ってるんだよ!!」

【せ、選択?】

「ああもう何て無能……! 幾らお前が低IQだからってこうも会話が噛み合わないか!?」

【ホントもう息をするようにディスる……】

「おいこれチャプター機能とかないのか!?」

【はいはい。少々お待ちくださいね】


 少しすると古めかしいリモコンが出現した。これでやれということだろう。

 ルイは軽く弄って機能を把握すると早速、目当てのシーンを探し始めた。


『――――“君”をこのまま返すわけにはいかないようだ』


 問題のシーンがここだ。

 時系列はルイとハジメがモモに保護された後。

 ぬいぐるみ地獄に巻き込まれてからの経緯を説明したところでこう告げられた。


「ここだ! 僕はここで最適解を選んだはずなのに……!!」

【えぇっと、この場面はぁ……ああ、あなたが一ノ瀬百女史に斬りかかったところですか】

「この時、僕には二つの選択肢があった」


 ぴっと人差し指を立てルイは説明を始める。


「一つは動かないという選択。ただこれは何もしないというわけじゃない」

【と言いますと?】

「落ち着き払った姿を見せることで一ノ瀬から発言を引き出す」


 大切な友人が拘束されたのに随分と落ち着いてるじゃないか、みたいな感じだ。


「その上で僕の知性を奴らに拝観させてやるのさ」

【拝観て】


 神社仏閣関連の話題以外で使うの聞いたことねえわ。

 あ、そういや自認釈迦だったコイツ。


「何だよ

【……いえもう良いです。一ノ瀬女史が九十九さんに手を出さない論拠を並べ立てるということですか?】

「そう言ってるだろ」


 言ってねえよ。

 ともあれそうすることで出来る男アピールをするというのが選択の一つではあった。


「だけど流石は僕だ。そうはしなかった。何故か分かるか?」

【……何です?】

「優しい僕は有象無象の言葉もちゃんと覚えていてやっているということだよ」


 スパダリ五箇条の御誓文の最後のことだ。

 一、分け隔てなく優しく在ること(※但しヒロインには百点の対応を心がけること)。

 この一文があったからこそルイは動くという選択肢を取った。


「だから僕は動いた。でも“ただ動いた”わけじゃない」


 不当な扱いを受けたハジメのために怒り斬りかかった。

 しかし怒りで目を曇らせているわけでもなく冷静にモモの考えを看破。

 全て分かった上でハジメに何かあればタダでは済まさないという意思を表明。

 ルイの行動を簡単に説明するならこんなところか。


「100点どころか120点の対応じゃろがい!!」

【まあそうですね……しかしそれと一ノ瀬女史に何の関係が?】

「お前は何を見てたんだ!? 明らか態度変わったのあそこからだろ!!」


 後はもう特に意識せずとも勝手に好感度が上昇していった。

 本命であるハジメの方は良いお友達のままなのに、だ。


「奴の家に招かれたのはクリスマスが初めてだったけどなあ!

奴が僕の家を訪れるのは一ヵ月もしない内からちょくちょくあったんだぞ!?

何なら手料理まで馳走されたわ! しかも複数回! 美味しかったのが腹立つ!!」


 美味しかったなら良いだろ。


「あのクリスマスの夜もさあ! タダ飯食べて帰ろうとしたら理由つけて泊まらせやがって!

挙句、大晦日と年始もタダ飯で僕を縛り付けやがった! 何たる愚かさか!!

貴様のような年増が若く無限の可能性を秘めたこの僕と良い関係になれるとでもォ!?

思い上がったなァ! その増上慢、怒りを通り越して最早笑えて来るね!!

そんな甘い見通しだから世界の滅びを防げないんだド無能め!!」


 堰を切ったように流れ出す罵倒メドレー。

 これにはブラウンもうんざり。テレビ画面にはずっと三点リーダーが表示されている。

 というかコイツ、タダ飯に釣られ過ぎだろう。


「そして九十九ォ!!」

【え、九十九さんの方は別に何もしてないのでは?】


 単にルイが上手くやれなかっただけ。

 責められる謂れがどこにあるというのか。

 いやまあルイが他人を責める時、九割ぐらい謂れはないので今更っちゃ今更だが。


「こうなってしまったってことは正解は動かないことだったってわけだよなァ!?

そうかそうか! つまり貴様はそういう人間なんだなぁあああああああああああああああ!!」


 落ち着けエーミール。


「聡明で温かな心を持つ人間より冷徹な頭脳のみを好むか! 救えない奴だ!!」

【いやあの】

「まあ良い! だったらそうしてやる!」

【話を】

「おいブラウン! 次だ! 次の周回を始めろ!!」

【……分かりました。いってらっしゃいませぇえええええええええええええ!!!!】


 そうして四十六周目が始まった。

 昆虫走法で分岐までやって来たルイは選ばなかった選択を敢行。

 その後も時々で小賢しくやりつつ三年後――――


【お前がスパダリになれなかったせいで世界は滅びました。あーあ】

「何でだよ!!」


 どっちとも普通に良好以上にはなれず終わってしまった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

励みになるので気に入って頂けたらブクマ、評価よろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
アレだ。 初代と◯メモをやるんだ。 アレの公式ヒロインを攻略するんだ。 彼はまだ世の理不尽さを体験してない。 ファ◯ンシットと叫びながら体験するんだ。
スパダリがモテるのは仕方がないけどモモさんの押しが強い。 昆虫走法めちゃくちゃ笑いました。
これ一周捨ててギャルゲやり込んで好感度の上げ方を覚えては?w 参考あれば取り繕うの上手くやれるっしょ
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