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朝食


まどろみの中、意識がゆっくりと沈んでいく。


——忘れないで、ダーリン……


どこか甘やかで、けれど掴みどころのない声が耳元に響いた。


瞬間、レインの目が開く。

ぼんやりとした視界の中、天井の光が滲んで見える。


(……エリス……)


思わず息を飲む。

胸の奥がざわつく。

意識が覚醒するにつれ、現実の冷たさが戻ってくる。


(俺はどうも、まだエリスのことを引きずっているらしい……)


レインは無意識に手を握りしめ、静かに息を吐いた。

エリスは、もういない。

なのに、あの声は確かに響いていた。

夢なのか、記憶なのか、それとも……


(……クソ、寝覚めが悪い。)


レインは額に手を当て、目を閉じた。

何も考えずに眠りたかったのに


——また"エリス"に囚われている。




「レインさん、カップを持って降りてきてください。」


室内のスピーカーから、落ち着いたオリーブさんの声が響く。

レインは目を開け、寝ぼけた頭を働かせる。


(……そういえば、昨日そのまま寝ちまったな。)


体を起こして伸びをすると、テーブルの上に目が留まった。

コーヒーカップが二つ。

どちらも、まだ中身が残っている。

レインは小さく息を吐いた。


(……おそらく、オリーブが入れたんだろうな。)


ハウンドがわざわざコーヒーを淹れるとは思えない。

申し訳なくなり、レインはカップを手に取り、一気に飲み干した。

一杯、そしてもう一杯。


「……苦い。」


喉の奥に残る、わずかに酸味を帯びた苦味。


(……俺はやっぱり、コーヒーはあまり得意じゃないようだ。)


それでも、残さなかった。

レインは食器を持ち、静かに部屋を出た。


階段を降り、食堂へ向かうと、すでにテーブルには朝食が用意されていた。


「おはようございます。」


カウンターの向こうで、オリーブが落ち着いた笑みを浮かべていた。


「おはようございます。」


レインはカップをカウンターに置き、席に座る。


「コーヒーありがとうございました、美味しかったです。」


オリーブは少し驚いた顔になり、柔らかな表情になった。


「それは良かったです。でも……苦くなかったですか?」


「正直ちょっと苦かったです。」


「では次はミルクと砂糖を入れておきますね。」


イタズラっぽい笑みを浮かべ、楽しそうに見える。

レインがカップを引き渡すと、代わりに食器が出てきた。


「朝食はパンとスープ、スクランブルエッグ、それとフルーツです。」


オリーブは淡々と説明しながら、丁寧に皿を並べていく。


「昨日はあまり食べられなかったようなので、今日は軽めにしました。」


「……気が利くな。」


レインは苦笑しつつ、スープを一口すする。

温かくて、じんわりと胃に染みる。


「美味い。」


「それはよかったです。」


レインが食事を進めていると、後ろから足音が近づいてくる。


(……誰か来たな。)


振り返ると、そこにいたのは——

ハウンドだった。


「お前、私が来る前に朝食くらい食べておけ。」


いつものように腕を組み、不機嫌そうな顔をしていた。


「……おはようくらい言ったらどうなんだ?」


「おはよう。」


無駄な感情の一切ない即答。


「それで?」


レインはパンをちぎりながら、ハウンドの顔を見た。


「何か用か?」


ハウンドは一瞬黙り込んだ後、淡々とした口調で答えた。


「訓練だ。」


「……は?」


「食い終わったら、外に出ろ。」


ハウンドはそれだけ言い残し、踵を返して去っていった。

レインはスープを飲み干し、静かに息を吐いた。


「……朝から厳しいな。」


レインはスープを飲み干し、静かに息を吐いた。


(オリーブさんの気建ての良さを見習って欲しいね。)


だが、不思議と悪い気はしなかった。


「オリーブさん、ごちそうさまです。」


「はい、頑張ってくださいね。」


オリーブの優しい微笑みと、さっきのハウンドの冷徹な態度が脳裏で重なり、レインは軽く肩をすくめた。


(……同じ"監視役"でも、ここまで違うとはな。)


彼はそんなことを考えながら、ハウンドの待つ外へ向かって歩き出した。


キタ━(゜∀゜)━!特訓パートって大好き!突然チート系って飽きちゃうんだよね、ちゃんと着実に強くなる系っておもろいよね!レイ踏ん張りどころだよ!倍の倍のファイト♡


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