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「え、お兄ちゃん……?」


シオリの震える声が、レインの耳に届いた。


「ん?」


ホログラムのシオリは驚いたようにレインを指さし、目を見開いている。


「レイ!! 顔が、お兄ちゃんになってる?!」


「……何言ってんだ?」


レインは戸惑いながらザイオンを見る。

だが、ザイオンもまた不思議そうにレインを見つめていた。


「……何が起きてる?」


「鏡、持ってるか?」


「鏡はねーけど……ほらよ。」


ザイオンがポケットから取り出したのは、彼のシガーケースだった。

その裏面は鏡面加工されており、反射した像を映し出している。

レインはゆっくりとそれを手に取り、覗き込んだ。

そこに映っていたのは——


**"自分ではない、別人の顔"**だった。


レインはシガーケースの裏に映る自分の顔をじっと見つめた。


――知らない顔だな。


頬のラインは鋭く、顎の輪郭はしっかりしている。

細く整った鼻筋に、やや切れ長の目。

しかし、その奥には確かに**自分のものではない"別の眼差し"**があった。

髪は漆黒、わずかにくせがついて流れるように後ろへまとまっている。

肌は浅黒く、陽の下で鍛え上げられたような質感だ。

額のあたりには小さな傷跡が一つ。

体は明らかに以前よりも筋肉質になっているが、無駄のないスマートな体型だった。

長身でスラリとしているが、その動きには洗練されたしなやかさがある。


これは――"レイ"ではない、別の誰かの体だ。


……けど、シオリの顔にあまり似ていない。


(じゃあ、"お兄ちゃん"ってのはどういう意味だ……?


レインは無言のままシガーケースを返し、ため息をついた。


「色々話したいことはあるが、とりあえず、宿舎に向かってくれ。」


レインが視線をザイオンに向けると、ザイオンは苦笑しながら肩をすくめる。


「送ってく部下が外にいる。ついてけ。」


「……お前も来ないのか?」


「俺も仕事が溜まっててな、誰かさんのせいで。」


ザイオンは煙草を取り出し、火をつける。

紫煙の向こうで、にやりと笑った。


「ま、今日は休め、レイン。」


レインはシガーケースをポケットにしまい、ホログラムのシオリを見つめた。


「シオリ、一旦落ち着こう。この話はまた後で。」


「……うん。」


シオリの表情にはまだ動揺が残っていたが、静かに頷いた。

え?どゆこと?いつものダウナー系イケメンじゃないの?うそだぁー、私は信じないぞ!!でも大事なのは中身だよね♡


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