告白
「あの太陽が沈む瞬間に、私と手を繋いでいたら、助かるよ。」
エリスは、何気ない口調で言った。
「生き延びることができる。」
レイは息をのむ。
(……たった、それだけ?)
(そんな簡単なことで……俺は生き残れるのか?)
だが、エリスの言葉には"ただの延命"以上の意味があった。
彼女はにっこりと微笑みながら、続けた。
「方法はそれだけ、簡単でしょ?」
(……いや、違う。)
これはただの"生存方法"じゃない。
この"条件"が示すものは――
エリスは、そんなレイの混乱など気にせず、
楽しそうに言葉を紡ぐ。
「この世界は終わるんだけどね。」
「言ったでしょ、仮想空間だって。」
レイの喉が乾く。
(……本当に、世界が終わる?)
仮想空間――
この世界が"偽り"であることは、もはや否定できない。
では……"終わる"とは、一体どんな現象なのか?
エリスは、まるで"特別な旅の話"でもしているような声で続けた。
「だから、行くの。」
レイは、思わず聞き返す。
「……どこへ?」
「現実に。」
レイの目が見開かれる。
(……現実?)
彼女は、さらりと言った。
この"世界の終焉"すら、単なる通過点であるかのように。
「2人の時間を邪魔したあいつらを消しに行くの。」
「いい考えでしょ?」
(……あいつら?)
(まさか……)
レイの脳裏に、エリスが**"忌々しい"と吐き捨てた二人**のことがよぎる。
**こめかみ女とR9のリーダーか?
エリスは、淡々と続ける。
「そしたら、私たちも一緒にいられて、邪魔者を消せるし。」
「まだまだ一緒に居られるんだよ?」
レイの心臓が、一瞬だけ大きく跳ねた。
(……何を言っている?)
(こいつ……"消す"って……)
エリスは、レイの目をじっと見つめる。
瞳の奥には――
確かな"本気"が宿っていた。
「私、嫌だよ?」
「レイと一緒にいられないなんて。」
レイは、息が詰まるような感覚を覚えた。
(……これは)
(……これは、"本気の言葉"だ。)
今までのエリスとは、違う。
軽口でも、おちゃらけた冗談でもない。
彼女は――
本気で、"そう願っている"。
「だから、あの夕陽を見ながら2人の時間を過ごそ?」
エリスは、いつものように笑う。
「この時間だけは、誰にも邪魔されない時間だから。」
レイは、夕陽を見上げた。
(……どれくらい、残されている?)
(どれくらい……この"世界"は持つんだ?)
エリスは、ゆっくりと隣に立ち、
優しく微笑む。
「なんでって?」
「そりゃ……好きになっちゃったんだもん。」
レイの視線が、エリスに向く。
「好きになるのに、理由なんている?」
レイは、答えられなかった。




