六話
むーん。
あの後、早速津島と熱田の商人を訪ねて武将の名を聞いて回った。
そこで発覚した問題。
この世界、どうやら時間軸がめちゃくちゃなようだ。
いい例が関東。
伊豆と相模を抑える後北条家がの当主は北条氏綱。かの早雲公の嫡子であり、名将中の名将である。
そして武蔵には山内上杉家と扇谷上杉家があり、下総には古河公方。
ここまではそこまで違和感がないのだが、問題はその東だ。
常陸を抑える佐竹家の当主が鬼義重と呼ばれているらしいのだ。とんでもない話である。
佐竹の鬼義重と言えば十中八九、あの佐竹義重であろう。北条氏康・氏政親子や伊達政宗と戦いを繰り広げた猛将中の猛将である。
そして、これは俺の知識によるのだが、氏綱と義重は生きている期間がダブらない筈。氏綱の死後に義重は生まれるのだ。当主になるとなれば、さらに時代はずれる筈なのである。
他にも西国では宇喜多が浦上に下剋上を果たしているのだが、一方で厳島の戦いはいまだ起こっておらず、毛利は大内の従属勢力の1つのままだという。順番が逆じゃないか。
四国、九州については余り情報はなかった。
奥州についても同じような状況だったが、天文の乱は数十年前に集結していることが分かった。数十年前ということは今の伊達の当主は輝宗か、もしかしたら政宗くらいの可能性がある。やべえよ、伊達に生まれてくるのが遅くない天下人がいる可能性がある。
極めつけは先の扇谷上杉家に最近まで太田道灌が使えていたといういうのだ。
この世界では暗殺されなかったようで、かなりの高齢だったらしい。それでも知識の中では生まれた年が信長より百年以上前だったはず。
とんでもない話だが、そういう世界なんだと受け入れるしかない。
元より女大名が普通に居るんだ、歴史の違いぐらいで戸惑っていたら動けないではないか。
しかし、こうなると文の送り先も膨大になるぞ。戦国初期から後期まで手当たり次第に文を出しまくるか。
「三十郎様。少しよろしいでしょうか」
「どうした一益。書く文の数に恐れをなしたか。悪いな、逃がすつもりはないぞ」
「確かに恐ろしくもありますが…どのようにして文を渡すおつもりでしょうか? それだけの文、商人に頼めばかなり銭がかかると思いますが」
…郵便システムって素晴らしかったんですね。




