第37話 五人の夕食
しばらく他愛ない話をしながら食事を進めていると、ルシアン先輩がオリヴィアに目を向ける。
「オリヴィアちゃんは、学園生活には慣れた?」
「まだ少し緊張しています。」
オリヴィアは照れたように笑った。
「でも、ラウラお姉様が色々教えてくださるので、とても助かっています。」
そう言って私を見るオリヴィアに、ルシアン先輩は優しく微笑んだ。
「それなら安心だね」
「ラウラちゃんはしっかりしてるからね。」
「そんなことないですよ。」
思わず苦笑すると、ルシアン先輩は首を横に振る。
「いや、本当だよ。」
「僕が二年生で、ラウラちゃんが一年生だった時に魔物討伐実習で同じ班だったんだ。」
「その頃から、頑張り屋さんだったよね」
「そうだったんですか?」
オリヴィアが目を輝かせる。
「うーん、でも、そんな大したことじゃ。」
私が照れながら答えると、
「謙遜しなくていいよ。」
ルシアン先輩は笑う。
「優秀で努力家。それに、とびきり可愛い後輩だったから、よく覚えてるよ。」
「もう、ルシアン先輩。」
私は思わずため息をついた。
「言いすぎです。」
「事実しか言ってないよ。」
さらりと言われ、返す言葉に困る。
向かいではアレクが呆れたように口を開いた。
「軽い。女を褒めるのが趣味なのか?」
「趣味というか。」
ルシアン先輩は笑って肩をすくめる。
「可愛い子を見たら、可愛いって伝えたくなるだけ。」
「だから余計に信用されないんじゃないのか。」
ルシアン先輩は苦笑した。
「ひどいなあ。ちゃんと本心なんだけど?」
「だから余計に質が悪い。」
そのやり取りに、カイル様とオリヴィアが吹き出した。
「ははっ。本当に息ぴったりですね。」
「ノクス君とは今日初めて話したんだけどね。」
「え?」
オリヴィアが驚いて目を丸くする。
「そうなんですか?」
「うん。」
「でも、不思議と初対面って感じがしないよ。」
「こっちは、初対面って感じしかしない。」
アレクがぶっきらぼうに答える。
「ははは。それもそうか。」
ルシアン先輩が笑い返すと、食卓にはまた穏やかな笑い声が広がった。
その様子を見ながら、私はそっと胸をなで下ろす。
ゲームとは違う出会い方。
でも、こうしてちゃんと人と人との縁は繋がっていく。
それなら、この先もきっと大丈夫。
そう思うと、少しだけ肩の力が抜けた。




