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第36話 ルシアンとの出会い

その日の夕食。


私はオリヴィアと一緒に食堂へ向かっていた。


料理を受け取り、席へ向かおうとした、その時。


「やあ、ラウラちゃん!」


聞き覚えのある明るい声がした。


振り向くと、柔らかな笑みを浮かべた青年が立っていた。


ルシアン・フォルテ。


三年生で、この学園でも有名な先輩だ。


「こんばんは、ルシアン先輩。」


「こんばんは。」


ルシアン先輩は私を見てにっこり笑う。


「今日も可愛いね。君は本当に絵になるよ。」


「ありがとうございます。」


こういう人だから、もう慣れている。


「……でも今日は、それに負けないくらい可愛い子を連れているね。」


ルシアン先輩はオリヴィアに視線を向けた。


「紹介してもらってもいいかな?」


私は思わず笑ってしまう。


「もちろんです。」


「こちらは一年生のオリヴィア・ベルンさん。私のルームメイトです。」


「初めまして。」


オリヴィアが丁寧に頭を下げる。


「オリヴィア・ベルンです。」


「初めまして。」


ルシアンはにこりと微笑んだ。


「三年のルシアン・フォルテ。」


「困ったことがあったら遠慮なく頼ってね。」


「は、はい。」


オリヴィアは少し緊張した様子で頷いた。


「ありがとうございます。」


「そんなに固くならなくても大丈夫。」


ルシアンは楽しそうに笑う。


「ラウラちゃんのルームメイトなら、僕にとっても大事な後輩だね」


「ありがとうございます。」


オリヴィアは少し安心したように微笑んだ。


(ゲームとは少し違う。)


本来ならルシアンは突然オリヴィアに話しかけ、私は少し離れた場所からその様子を見るだけだった。


でも今回は、私が紹介役になっている。


それでも二人はちゃんと出会った。


(これなら、大丈夫。)


私は心の中でそっと安堵した。


その時――


「ラウラ。」


聞き慣れた声とともに、アレクとカイル様が食堂へ入ってきた。


「あれ?」


カイル様がこちらを見て笑う。


「ルシアン先輩も一緒だったんですね。」


「おや、王太子殿下。」


ルシアンは軽く肩をすくめる。


「偶然、ラウラちゃんたちを見かけてね。」


「せっかくだし、一緒に食べようか。」


ルシアンの一言で、私たちは五人そろって空いている席へ向かった。


席に着くと、ルシアン先輩はアレクへ視線を向ける。


「君がアレクセイ・ノクス君だね?」


アレクは小さく頷く。


「そうだけど。」


「やっぱり。」


ルシアン先輩は嬉しそうに笑った。


「君が噂の、最年少で王宮魔法騎士団に所属している魔法使いか。」


「一度話してみたいと思ってたんだ。」


「別に大したことじゃない。」


アレクは淡々と答える。


「またまた。」


ルシアン先輩は肩をすくめて笑った。


「普通は卒業してから入団するんだよ? 十分すごいさ。」


「俺は実戦の方が性に合ってるだけだ。」


「なるほど。」


ルシアン先輩は感心したように頷く。


「実戦が好きなら、魔法戦闘部に向いている。ぜひ、我が魔法戦闘部に入ってくれないかな?」


「断る。」


「つれないなあ。」


そのやり取りを見ていたカイル様がくすっと笑った。


「ルシアン先輩って、本当に誰とでもすぐ仲良くなれますよね。」


「そうかな?」


「ええ。」


「その才能、少し分けてほしいです。」


「王太子殿下の方が、人に好かれる才能はあると思うけど?」


ルシアン先輩が笑うと、食卓の空気がふっと和らいだ。

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