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第35話 イベント発生?

その日の夕方。


私はいつものようにオリヴィアと食堂へ向かっていた。


「今日はどうだった?」


何気なく尋ねると、オリヴィアは少し照れたように笑った。


「実は、帰り道に子猫を助けたんです。」


「子猫?」


「はい。」


嬉しそうに話し始める。


「木の上から降りられなくなっていて……。」


(え。)


私は思わず足を止めそうになった。


「木に登って助けたら、同じクラスのセドリック様に声をかけられて、びっくりして落ちちゃったんです。」


(来たーーー!!)


心の中で思わず叫ぶ。


(セドリックの初イベントだ!)


ゲームでは、木から落ちそうになったオリヴィアをセドリックが抱き止める。


その出来事がきっかけで、二人は少しずつ言葉を交わすようになる。


まさにそのイベントだった。


「それでね。」


オリヴィアは少し恥ずかしそうに笑う。


「セドリック様が受け止めて下さって、

無茶をするなって怒られてしまいました。」


「怪我はなかった?」


「はい!大丈夫です。」


「よかった。」


私は笑いをこらえた。


(うんうん。そこまでゲーム通り。)


「でも最後に、『この子も助けてもらえてよかったな』って、子猫を撫でてくださって……。」


オリヴィアの表情がふわっと柔らかくなる。


「とても優しい方なんですね。」


(やっぱり。)


ゲームと同じなら、セドリックは口数こそ少ないけれど、とても面倒見がいい。


だから人気攻略対象だった。


(よかった。)


私は心の中でほっと息をついた。


カイル様やアレクとの出会いは、私のせいで少し早まってしまった。


だから少し気になっていたけれど、セドリックとの最初のイベントはちゃんと起きたらしい。


(全部が変わるわけじゃないんだ。)


(なら、この先も……。)


そう思ったところで、


「ラウラ先輩?」


オリヴィアが不思議そうに首を傾げる。


「さっきから、なんだか嬉しそうですね?」


「え?」


私は慌てて笑顔を作る。


「そんなことないわよ。」


「そうですか?」


「ええ。」


(危ない危ない。)


ゲームイベントが起きたなんて、もちろん言えるわけがない。


私は何事もなかったような顔で、オリヴィアと一緒に食堂へ向かった。


(次は、ルシアンとのイベントだったっけ?)


私は記憶をたどる。


確か、食堂で偶然出会って、ルシアンがオリヴィアに声をかけるはずだった。


(……でも。)


私は小さく笑う。


(今回は、私が紹介することになるのかもしれない。)


ゲームとは違う。


けれど、それが悪いことだとは思わなかった。


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