第30話 クラス分け
掲示板の前には、まだ多くの生徒が集まっていた。
「すごい人ですね。」
オリヴィアが少し背伸びをする。
「見えそう?」
「うーん……。」
私は少し笑う。
「もう少し前に行こっか」
人の流れを縫うように前へ進む。
ようやく掲示板の前までたどり着くと、大きく貼り出された名簿へ視線を向けた。
「まずは一年生……。」
オリヴィアが自分の名前を探し始める。
「あった!」
嬉しそうな声が上がる。
「A組です。」
「頑張ってね。」
「はい!」
私もその隣を見上げる。
カイル・レガリア。
セドリック・グランヴィル。
二人とも同じA組だった。
(やっぱり。)
ゲームと同じ配置。
私は少しだけ胸の奥がざわつく。
「カイル様も同じクラスみたいだよ。」
「そうですね。緊張します!」
「カイル様は優しいから大丈夫」
「……はい。頑張ります。」
「ふふ」
続いて二年生の名簿を見る。
「……あった。」
ラウラ・アストレア。
アレクセイ・ノクス。
二人ともA組。
(これもゲームと同じ。)
ゲームではアレクは編入してすぐA組だった。
そこは変わらないらしい。
「ラウラ先輩!」
オリヴィアが嬉しそうに振り返る。
「同じ校舎みたいですね。」
「そうだね。」
「休み時間も会えますね!」
その無邪気な笑顔に、私は思わず微笑んだ。
「うん、困ったことがあったら、いつでも相談してね」
「はい!」
元気よく返事をするオリヴィア。
その様子を見ていると、この子が攻略対象たちを振り回す未来なんて、少し想像がつかなかった。
「もうすぐ入学式ですね。」
「講堂の場所はわかる?」
「はい。」
二人で掲示板を離れる。
その途中、不意に背後から声がした。
「ラウラ。」
振り返ると、アレクとカイル様がこちらへ歩いてきていた。
「同じクラスだっただろ。」
「うん、そうだね」
自然な一言。
それだけなのに、不思議と胸が温かくなる。
「よろしくね、アレク。」
「ああ。」
短い返事。
けれど、その表情はどこか柔らかかった。
「カイル様、オリヴィアと同じクラスです。」
「王太子殿下、一年間よろしくお願い致します。」
「オリヴィアさんも、一年間よろしくね。
カイルでいいよ。」
「はい!」
オリヴィアは嬉しそうに頷いた。
入学式の開始を知らせる鐘が、高らかに鳴り響く。
新入生達は、一斉に講堂へ向かい始め、その他の学年は、教室に向かい始めた。
私は空を見上げ、小さく息をつく。
(ここから、本当に始まる。)
ゲームで知っている物語。
けれど、もうその通りには進まないかもしれない。
「カイル様、オリヴィア。またあとで。」
「はい!」
「またあとで、ラウラ先輩。」
私はアレクへ視線を向ける。
「行こうか。」
「ああ。」
二人に手を振り、私はアレクと並んで教室へ向かった。




