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第29話 再会

翌朝。


中庭には、クラス分けの掲示板を見ようとする生徒たちが大勢集まっていた。


「人が多いね。」


隣を歩くオリヴィアが、小さく周囲を見回す。


「そうですね。」


少し緊張したような声だった。


掲示板から少し離れたところに、金髪と黒髪の目立つ2人組がいた。


もしかして、と思ったら、金髪の方がこちらに気付き、声をかけてきた。


「あ、ラウラ先輩。」


やはり、カイル様と、アレクだった。


カイル様がこちらへ軽く手を振っている。


(アレク……。)


半年ぶりに見る姿に、思わず足が止まった。


少し背が伸びている。


肩幅も広くなり、以前より大人びた雰囲気になっていた。


私はオリヴィアと一緒に二人のもとへ歩いていく。


「お久しぶりです、カイル様。」


「久しぶり!ラウラ先輩。」


カイル様は以前と変わらない穏やかな笑顔を向けてくれる。


そして私は、その隣へ視線を移した。


「アレク、久しぶり。」


「ああ。」


半年前より、どこか落ち着いた声。


思わず、私は彼を見つめた。


アレクが少しだけ照れたように眉をひそめる。


「……何。」


「ううん。」


私は笑って首を振る。


「少し背が伸びたなって思って。」


「……。」


アレクは私を一度見て、


「変わらないな。」


とだけ言った。


「そうかな?僕は大人っぽくなったと思うよ、ラウラ先輩。」


カイル様がにこりと笑う。


「ありがとうございます。カイル様も大人っぽくなられましたね。」


「ありがとう。」


「……。」


アレクは何も言わない。


でも、その口元はほんの少しだけ緩んだように見えた。


短いやり取り。


でも、それだけで十分だった。


私は隣にいるオリヴィアへ目を向ける。


「紹介するね。」


「こちらは一年生のオリヴィア・ベルンさん。同室になったの。」


オリヴィアは少し緊張した様子で一礼した。


「新入生のオリヴィア・ベルンです。よろしくお願いいたします。」


カイル様は穏やかに微笑む。


「もしかして、聖女候補のベルンさんですか?」


オリヴィアは少し驚いたように目を丸くした。


「はい。まだ候補ですが……。」


「やっぱり。」


カイル様は納得したように頷く。


「僕は、カイル・レガリアです。よろしくお願いします。」


その名前を聞いた瞬間、オリヴィアは慌てて姿勢を正した。


「王太子殿下ですよね。存じております。

お会いできて光栄です。」


カイル様は少し困ったように笑った。


「そんなにかしこまらなくて大丈夫だよ。

学園では同じ生徒なんだから。」


そのやり取りを見ながら、私は小さく微笑む。


(カイル様らしい。)


すると、隣のアレクが短く名乗った。


「俺はアレクセイ・ノクス。」


オリヴィアは改めて頭を下げる。


「よろしくお願いいたします。」


アレクは小さく頷くだけだった。


「そういえば。」


私は二人を見比べる。


「アレクはカイル様の護衛だから、二人は同じ部屋なの?」


「ああ。」


答えたのはアレクだった。


「やっぱり、そうなんだ」


納得して頷く。


ヴィクトール様の家にいた頃と同じように過ごせるなら、カイル様も心強いだろう。


「クラス発表は、もう見ましたか?」


「もう見たよ。ラウラ先輩は、アレクと同じA組だったよ。」


「そうなんですね、ありがとうございます。

オリヴィアと、見てきますね。」


そう言って、2人から少し離れた。


私は小さく息を吸った。


(ここからゲームが始まる)


(でもゲームとは違う未来になる。)


(そう信じたい。)


私は掲示板へ向かって歩き出した。

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