表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/63

7話目

全63話予定です


今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 次の日、とりあえず朝起きてリビングに行くと、


「おはよう」


 真っ先にお母さんが声をかけてくる。少しだけ遅れてお父さんが、


「あぁ、おはようあゆみ」


 と声をかけてくる。


 両親揃って朝食を摂るのは珍しい。大抵はお父さんは朝早く出てしまうのだが、


「今日は休みなんだ。どうせなら送って行こうか?」


 と言ってくれる。


 お父さんはいつもにこやかにしている。それを言ったらお母さんだってそうだ。二人ともあたしに何かきつく言ったりって事はないんだ。もちろん悪いのは悪いってちゃんと言ってくれる。


 そうじゃあなくて、何て言うのかな、お父さんは喜怒哀楽がその微笑みに隠れて裏が見えない、というか。


 実は一度だけお父さんに聞いた事があるの[どうしてお父さんはいつもニコニコしてるの]って。


 その答えはちょっと意外だった。


「笑みは、微笑みというのはね、笑っているのとは違う、あくまで相手に情報を読み取られないようにする[盾]なんだよ。私はそれをずっと貫いている。これからの人生、色々な困難が襲ってくるだろう。その中で怒らず、わめかず、泣かず、そして喜ばすにいるという事がどんなに大切な事かをお前だって知る事になるんだよ」


 って。聞いた時は[えっ、盾? だって笑ったり怒ったりするのが人って生き物なんじゃあないの?]って思った。


 だけどね、試しに実践したら意外とこれが難しい、というか。やっぱり友達と話しててもイラッとする時もあるし、クスッって笑っちゃうこともある。それをしないで微笑んでるのって本当に難しいんだなって。


 お父さんは私物をあまり持ってない。まぁ、それを言ったらウチの家族みんながそうなんだけどね。転勤がある、ってのもある。だけど、モノを持たないようにしてるというか。こういうの断捨離? って言うのかな、両親ともにそんな感じだからあたしも実はあまり私物を持ってないんだ。


 でもモノを持たないってちょっと不思議、というか何か自分というものが繋がれてないっていうか、目を離した隙に消えてしまうようなそんな感覚になる時がある。そしてそれが心地よいと感じる時も。


 いい事なのかは分からないけど、あたしも見よう見まねでそうしてる。実際、命の危機もあったんだよ。

 この疾患は割と珍しいみたいで、あたしの場合は新生児一万三千人にひとりの割合なんだって。そんな珍しい疾患だから子供の頃は色々とお医者さんたちに囲まれたなぁ。まぁ、今もなんだけどね。


 あぁ、そうだ。いけないいけない。


「うん、送ってくれると嬉しいな」


 お父さんにちゃんと返事してなかったっけ。


「その前に、ご飯にしましょうか」


 お母さんがそう言ってテーブルに朝食を並べてる。


「手伝うよ」


 そう言ってお母さんのを手伝うと、


「ありがとうね」


 という答えが返って来る。その顔は、やっぱり微笑んでる。お母さんも、お父さんの言う事を実践してるんだろうな、くらいには頭が回ってる。


 あたしは今日も一日、過ごせそうだ。


全63話予定です



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ