6話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
「さてと、今日の日記はここまで、ってだいぶ遅くなったなぁ」
夜も遅いし、明日もあるし。勉強は……今日はこれくらいで。
そんなこんなで布団に入ると、改めて自分の身体が嫌になる。どんなに[あたしは女の子]って思ってみても実際にそこには[ソレ]が存在してる。そして、時々ムラムラすると、その[アレ]がね。そんなところは男の子なんだって改めて現実を突きつけられる。
でもあたしには、今のあたしにはそのまま眠る事しか出来ない。
いつも思うよ[明日になったらちゃんと女の子の身体になっていたら]って。でもね、次の日、その度に現実があたしを呼ぶんだ。[そんな都合のいい話はないんだ]って。
この身体の話はお父さんやお母さんの前ではしないようにしてる。特にお母さん。そりゃああたしも女の子ですもの、人の心の機微には多少敏感な方だと思う。っていうか、人の目をずっと気にして生きてきたからそうなっちゃったってのもある。
いつもはとても優しいお母さんなんだけど、お風呂の時はいつも悲しそうな目になるんだ。多分本人はあたしに気が付かれていないと思ってるんだと思うけど、あたしには分かる。お母さんとはまだ一緒にお風呂、入ってるよ。
だけど、高校に入ったらもうそれも卒業しないと。一歩ずつだけど大人に近づいてるんだなって思う。小さい頃はお父さんも一緒に入ってたんだもん。
明日はどんな日が待っているんだろう、っていう気持ちと、明日こそは秘密がバレるんじゃあないか、っていう恐怖と。それを感じるのはどちらもあたし自身なんだよ。
「今日もちょっと眠れないなぁ」
そんな独り言を言ったりする。
部屋は別々だから、お父さんとお母さんは隣にいるんだ。余程の事でもない限り入って来ないよ。もちろん呼べば来てくれるんだろうけど、多分気を遣っているんだと思う。
思春期だし、そういうムラムラするのがない訳でもないから。でも、あたしはそれが許せないんだ。こんなあたしに誰がした、って堂々と言えれば一番いいんだろうけど、それはお母さんを泣かせてしまうからそれはしない。
胸のふくらみと、股間のふくらみと。
それが今の自分なんだと自覚せざるを得ない。でも、それに嫌悪する自分と、負けるものかと意気込む自分と。
「それでも、ちょっと、ね」
本音が少し口を衝いて漏れる。
本音は、やっぱり嫌だと感じてる。何であたしだけこんな[モノ]が付いてるのか。なんでこんな身体なのか、と。誰にも言えないからこそ自分に自分が問うんだ。
そんなもやもやをずっと抱えながら十五歳まで生きてきた。それでも自分は自分なんだ。最後はそうやって結論に達する。今の自分が自分なんだ、ってね。
「悩んでても、仕方、ないっと」
布団を肩まで被って身体を横にしてまるまる。人間が丸くなって眠る習慣は昔、狩猟生活をしていた頃の名残だとかいうのをどこかで見た気がするんだけど、丸くなって眠ろうとすれば少しは落ち着くのもまた事実。
「明日は良い事、あるかなぁ……」
そこであたしの目は閉じてしまっていた。
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