5話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
今の中学校では上手くいってるの。女友達も出来たし、男友達もちょっとは出来た。だけど絶対にバレてはならない性の秘密を抱えてるのだけは間違いない。だからなのかも知れないけど、少しでもそう言う話になると話題を避けるようになって。
俗に言う[誰々くんが好きか嫌いか]って話。この手の話が話題に上ると、それとなく話の分から逸れて[ちょっと用事あるから]って逃げ出してばかりで。
ある日、
「ねぇ、話に加わってよ」
って言い寄られたりもしたけど、何だかんだ理由付けてその日も逃げてきた。
そうだ、重要な事を忘れてた。あたしの名前、ね。
あたしの名前は神崎、神崎あゆみ。
名前の由来は人それぞれだし、それぞれにご両親が付けた想いというのがあるのは分かる。そう、あたしンちも御多分に漏れずちゃんと名づけの理由がある。
あゆみ、という響きから[一歩一歩着実に人生を前に進んで欲しい]という願いがまず一つみたい。
そしてもう一つの理由。
それは、敢えてひらがなにしてあるというのがミソでして。
もしもあたしが男として生きていきたいんであれば[歩]と書いてあゆみと読ませるつもりだったみたい。そして、女として生きていくんであれば[歩美]と書いてあゆみと読ませるんだって。
それ聞いた時は、ちょっと泣いちゃった。そこまで考えてくれてたんだなって。今はこの名前がとっても気に入ってる。
生まれた当時はどちらに転ぶか分からない、だからとりあえず男として登録はしたものの、時世の変化に期待したんだろうね、実際にそういう流れになってるのは、疾患持ちとしては嬉しい話だ。
そんなお父さんやお母さんの意志に報いる為に、十八歳で摘出手術をしたら名前も変更するつもり。もちろんもともとひらがな表記で[あゆみ]になってるからそれはそれで大丈夫そうみたい。
そんなあたしは一つ覚悟かあるの。それは摘出手術の足しにする為に高校生になったらバイトしようって話。もちろんそれをお父さんたちに話をしたよ。
そしたら、
[うちはそんなに金銭的に困ってはいない]
って言われたからあたし、言い返したの。
「これはあたしの身体の問題でもあるんだ、自分の性を自分で決める、その覚悟をお金という形で示したいの」
って。その言葉でどうやら二人には伝わったみたい。お母さんは、泣いてた。お父さんはめったに表情を表に出さない、いつも微笑んでいる人なんだけど、
「分かった、それじゃあお前の好きにしなさい。もしもそれでためたお金を使えというのであればそうするよ」
って真顔になって言ってくれた。本当に二人には感謝してるよ。育ててくれて、受け入れてくれて。あたしの意見をちゃんと聞いてくれて。
だからかな、真の友達が欲しいっていつ頃からか考え始めたのは。秘密を打ち明けられて、あたしの存在をちゃんと分かってくれる、そんな友達を。今の友達の中で考えるとすれば、ひとり当てはいるんだ。ちょっと中世的な女の子なんだけど、どこか神秘的で秘密を持っていそうな。なんて書くと相手の秘密を知りたそうに思われるけど、まぁ、これは、ね。もちろんあたしの勘違いかも知れない。
でも、その子はあたしに良くしてくれる。性の話題になると上手い事話をそらしてくれたりもしてる。こんなあたしでも気が付くくらいだ、多分だけど意図的にそうしてくれてるんだと思う。
その子の名前は瞳美ちゃん。あたしが一番気にしてる女の子なの。
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