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《 period 2 - 0 》 悪夢でサマヨウ

大変長らくお待たせしました!


《 period 2 》、投稿開始します!


どうぞお楽しみ下さい!



 ザザッと、鼓膜を擦るような嫌な音と共に、視界が瞬時に切り替わる。


 そこは……今や見慣れた、妖域の往古盆地にあるホコロビの里だ。だが、いつもなら賑わっている里の通りには、人っ子一人居ない。それどころか……その景観が、まるで紙に書いた絵のように、『白と黒』だけで染まっている。


 続けて、再びザザッと不気味な音が響き、視界が切り替わった。


 そこには、レンガ造りの住宅が建ち並ぶ街並み。この景色は……確か、『人域』の城下町だった筈だ。だが、先程とまったく同様に……その通りには人の姿は無く、景色の色彩は白と黒だけだ。


 すると、またザザッと音が響くと視界が切り替わり、またまたザザッという音と共に視界が切り替わり……何度も、何度も、何度も……耳の奥をかきむしるような音が立て続けに響き、眼球が破裂しそうな程に忙しく視界が替わり続ける。


 そこでピタッと視界の景色が、何処かの白黒な街並みで停止した瞬間……ようやく、気付いた。



 ────『何か』が、いる。



 なにか、やたらとノッポな体型の……黒い、人影。


 視界の奥で佇む、人らしき『ソレ』は、まるで風船のようにユラユラと上体を揺らしている。何をしているのだろう、とボンヤリとそれを眺めていると……再び、ザザッという音と共に視界が明暗。


 ただ、景色は変わらなかった。


 しかし、そこから立て続けに、ザザッと視界が明暗しては、少しずつ、着実に────『ソレ』がこちらに近付いてくるのだ。


 途端に、猛烈な恐怖心を覚えて、慌ててその場から逃げ出そうとしたが────動けない。


 身体どころか、視界すら、一瞬たりとも動かすことが出来なかった。


 そして。


 『ソレ』が、目と鼻の先に出現した、次の瞬間────。



「────いやぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!」






─※─※─※─※─※─※─※─※─






「──は……ァ……ッッ!」


 気付けば、掛け布団を蹴飛ばすように飛び起きていた。


 全身がグッショリと濡れる程の汗を流し、鈍い痛みが走る頭を抱えながら、激しく乱れた呼吸を繰り返す。


 すると、囲炉裏を挟んで反対側で正座をする、仮面を被った女天狗の『カラルテ』が、微かに湯気の立ち上がる湯呑を手にしたまま声を掛けてきた。


「──イブキ殿、どうかしたのですか? なんだか、随分とうなされていたようですけれど……?」

「うなされていた……ワレが……?」

「えぇ。まるで、悪夢でも見ているかのような感じでしたよ?」

「悪、夢……?」


 確かに、妙な倦怠感はあるが……何故なのかは、分からない。


 カルラテの言う通り、『悪夢』とやらを見ていたのかも知れないが……いかんせん、どんな夢だったのかは微塵にも覚えていなかったからだ。


 どちらにせよ……これ以上考えたところで、仕方がない。


 布団から這い出てチラリとカラルテの方へ視線を移すと、思わず笑みが溢れ出てきた。


「ふふっ」

「──? あの、何か?」

「いやぁ。天狗さんも、なんか普通に居座っているなぁって思って」

「ぶっ!? ごほっ、ごほんっ! イブキ殿がそれを言いますか……? 仕方がないではありませんか、エルマ殿から見ていて欲しいってお願いされたのでございますから……」

「英雄さんが……あれっ? 出掛けたの?」

「はい。総大将からの呼び出しで」

「ありゃ。もしかしてぇ……ワレの知らない間に、また何かやらかした?」

「いえ。あくまで、個人的な用事のようでございますよ」

「個人的な?」


 あの二人、個人的な話をするほど仲が良かっただろうか……という疑問に対してカラルテは、「あれでも結構負けず嫌いなので」と呆れたような声を漏らし、ワレは首を横に傾げる。


 少なくとも、以前のように険悪的な呼び出しではなさそうなのは安心した。


 そうして、カラルテと会話を交わしている内に……『悪夢』の話なんて、ワレはすっかりと忘れてしまうのだった。



 その出来事が────そう遠くもない未来に、重大な事態を引き起こすことになるとも知らずに。









この作品に目を通して頂き、ありがとうございます!


もしも、少しでもこの作品が「面白かった」「続きが気になる」と思われましたら、


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