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 超自由奔放主義


「──それは災難だったねぇ」


 そこは、無道山の奥地にある英雄様の自宅。


 囲炉裏のある部屋で向かい側に座ってケラケラと笑うのは、古地伊吹鬼こじのいぶき……鬼娘のイブキだ。


 華やかな着物をだらしなく着こなしており、肩まで丸出しという、何ともエッチぃ格好をしています。決して、こう……ボンッ、キュッ、ボンッ、って感じではありませんが……慎ましくも綺麗な形をした胸元、色白で透き通るような肌に、スラリと伸びた手足……。


 それらが殆ど露出した状態でいる為……なんだか、見ているこちらの方が、ドキドキが止まりません。



 欲を言うと────触りたい。



「まったくもぉ。餓鬼衆の皆は冗談が好きだねぇ」

「あれ、冗談だったのか? 結構マジな空気感じたけど」

「冗談だよぉ。餓鬼衆の面々がそういうことやっているの見たこともないもん。せいぜい、無道山の山奥に捨てて置くとか、大廻川に流すとか、そんな感じじゃないかなぁ?」

「あー、察した。それ、普通に処理するより残酷なやり方だわ」

「ふぇ?」


 あー、私も察しました。


 あのままだと、私……絶対にこの世からオサラバしていた奴ですよね、その反応。


 確か、無道山には天狗が、大廻川には血の気が多い妖族たちが居るわけで……そこに放り出されるというのは、彼らの餌になるも同然だ……っていう。


 辞めておきましょう。


 想像するだけで、あまりの怖さに吐きそうです。


 そう言えば、ここは英雄様の自宅だとお聞きしたのですが……イブキさんは、どうしてここにいるのでしょう。


「ん~…………同棲?」


 ────同棲!?


 ということは……既に、お二人はそういう関係で……!?


「ぅおい、『監視役』はどうした」

「おやおやぁ? もしかしてぇ、やって貰いたいっていう願望があるのかなぁ?」

「また追い出すぞ、こいつごと」


 私も巻き添えですか!?


 というか、今になって思えば……ここは妖域の真っ只中。今は一先ず身の安全は保証されていますが、一歩でもこのセーフティエリアから外に出れば、その時点でどうなるのか分かりません。


 ここは、多少身を売ってでも英雄様に媚を売るのが正解でしょうか。


「お前まで何を世迷言を宣っていらっしゃるんですか?」

「ふふっ、面白い人だねぇ。凄くおしゃべりだし、感情が豊かな風にも見えるのにぃ……表情が全く変わっていないんだもん、ごめん、ちょっと怖い」

「──『冒険家』って言ったっけ? こんなご時世に、変わったことやる奴もいるもんだ」


 英雄様とイブキさん、二人の好奇な視線が刺さります。


 何でしょう、個人事ですが……少し、興奮してきました。


「いや、なんでだよ」


 『冒険家』のことですが……。


 別段、特別な思いがあった訳ではありません。


 今の時期ではないといけない、なんて使命感がある訳ではありません。


 ただ……同じ場所で、同じことを繰り返して生活しているより……色々な場所を歩いて回ってみたい、なんて……偶々、ちょっと思い立って、今の時期に、そう思っちゃっただけ。


 そうやって色々な領域を回って、そこで見聞きしたモノを、この『冒険記』に書き記す……それが、とっても楽しいんです。


 それ以外は、何の取り柄もないただの一般人なので、冒険の節々で、まぁ危険な目に遭っちゃうんですけれど……。


「…………染々と言っているところ、申し訳ないけれど……絶対に今の時期にすべきじゃないと思うよ、その決断」


 ですよねーーーー!


 でも楽しいのでっ、全て良しです!


 呆れた表情を浮かべる英雄様にVサインを見せると、イブキさんが楽しそうに笑ってくれました。


「ふふっ。この人ぉ、最高だねぇ。だけど、あれだよぉ? せめてぇ……もう少し顔で感情を表現して貰えないかなぁ?」


 うぅぅん……。


 冒険記において、主役は皆さんであり、私はあくまで語り部です。その立場は、徹底しています。故にこそ、自分を表現するというのはめっちゃくちゃ苦手なのですが……善処しようと思います、出来る限り。


 と、その前に。


 まずは、お二人のことについて色々と取材させて下さいっ!



「──断る」



 即決ですかっ!?


 あまりにも速すぎる拒否反応に、流石の私も動揺が隠せなかったのでした。


「そんな無表情で動揺とか言われても、全然説得力ないんだけれどねぇ……」










この作品に目を通して頂き、ありがとうございます!


もしも、少しでもこの作品が「面白かった」「続きが気になる」と思われましたら、


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