魔の海域攻略編後編 傾蓋知己⑧
アナ「シルフィア、お前が私の首の傷を治療してくれた時、何か言いかけていたよな?
私に何を伝えたかったんだ?」
シルフィア三番艦艦長「...アナ、一つ私の質問に答えてくれないかな?」
アナ「ああ、いいぜ、何が聞きたい?」
シルフィア三番艦艦長「...アナって魔法は使えるの?」
アナ「いや、ぜんぜん。
なんだ?シュトラバルツの魔女の話か?
魔女に何を期待してるんだ?
魔法で空を飛びたいのか?」
シルフィア三番艦艦長「...わからない、、、」
アナ「魔法か、、、
シルフィア、魔法を使う前に何が必要だと思う?」
シルフィア三番艦艦長「え!?魔法を使うための?
な、何か契約とか、不思議な力とか、そういうもの?
アナは何かわかるの?」
アナ「わかるさ、たとえ魔法が使えなくても魔法に必要なものがあるのさ。」
シルフィア三番艦艦長「...それは何?」
アナ「それはお前の願いだよ、シルフィア、お前が自分の願いが何か理解してなきゃあ、たとえドラゴンを倒せる魔法でも何の価値も生まれやしない。
シルフィア、お前の願いは何だ?」
シルフィア三番艦艦長「!?」
シルフィアはアナの問いに狼狽し、そこにはバァルジモア艦隊最強の指揮官の姿はなかった。
ジョフキンスは横目にシルフィアのその姿を見ていたたまれなくなり、2人のやり取りの間に入った。
ジョフキンス三番艦副艦長「お話途中に失礼いたします。
シルフィア様、三番艦の、、、」
アナ「おい、副艦長、艦長の言葉を遮るんじゃねえ!」
ジョフキンス三番艦副艦長「!!」
アナ「シルフィア、今、言葉にする必要はない。
だけど自分の中の想いに向き合える時にお前の中に他人に押し付けられたものじゃない自分を基準にした価値が生まれてくるはずだぜ。」
きっかけはアナのさりげない一言だったのか、シルフィアは一言本音を漏らした。
「アナ、、、貴方の首に傷をつけてしまったこと、、、謝罪したい、、、貴方を傷つけた私を受け入れて欲しい、、、」
アナは笑顔で、
アナ「ああ、いいぜ、ずっと気にしてたんだろ?私もお前が自分の言葉にするのを待ってたんだ。」
シルフィアは急に脱力して倒れそうになる。アナはそれを必死で支えた。
アナ「お、おい、大丈夫かよ?」
ジョフキンス三番艦副艦長「シルフィア様!!」
シルフィアは2人に支えられながら次第に足取りが良くなる。
ジョフキンス三番艦副艦長「シルフィア様!一度お休みになられますか?」
アナ「今、最前線に立つのは無茶なんじゃないか?」
シルフィア三番艦艦長「...大丈夫、、、寝てるより魔獣討伐の方が楽だから、、、」
アナ「!?マジか!?...じゃあしっかり自分の力で立ち上がってくれよ、自分の意思で立ち上がらないと支えている私達の価値がわからないぞ。」
ジョフキンス三番艦副艦長「!?...。」
第一波の分断された艦隊の前衛側では門番とそれを引きつけている三番艦が主軸となって盤上を回していたが、時折、門番とともに襲来した大型魔獣が他の艦に対しても攻撃的挙動が見られた。
アナ「!?四番艦が襲われてやがる!!
小型魔獣はわかりやすいぐらい門番に食らいついてるのに、大型魔獣まだ主体性が残っているってところか。
三番艦は門番との鬼ごっこで助けてやれないのがもどかしいな。」
シルフィア三番艦艦長「出来るわよ。」
アナ「え?あ、いや、門番と適正距離を取りつつ、他の大型魔獣の討伐だぞ!?
出来るのか!?」
シルフィア三番艦艦長「出来るわよ、むしろ門番だけの相手は暇を持て余すわ。」
アナ「マジか!?」
シルフィア三番艦艦長「総員、門番と距離を保つつ、大型魔獣討伐の準備に入れ!」
三番艦船員一同「了解!!」




