魔の海域攻略編前編 虎口折衝
ジェルミがミラドの船に訪問してからひと月程が経過。
エレンはマストの上でアルグ海域周辺の観察をしていた。
エレン(多分だけど、アルグ海域の入り口としてはこの辺が最適なのかな?
昔、村を訪れた大型商船もこのルートを選んだのかな?
...あの商船ってもしかして...)
するとエレンは遠くに軍艦の艦隊の姿を確認した。
エレン(...来た!!)
エレンは連絡用金属管に火急の伝達をした。
エレン「船長!バァルジモア帝国の艦隊を確認!
軍艦5隻、軍艦の前後左右にフリーゲートが一隻ずつ並行してフリーゲートが計20隻、
私の目ではまだ確認出来ないけど、フラグシグナルの伝言内容から多分同規模の艦隊が後続にいるよ!」
ケヴィン「...推定軍艦10隻の連隊艦隊か...海賊狩りの範疇ではないな...」
ゾーマ「...まあ、この辺りに居座りてえんだろうけどよ、アイツらの口実を作ったジェルミのダンナは何をやらかしたんだよ!?」
ミラド「...全員計画通りに動け。」
-バァルジモア帝国艦隊総司令官司令室。
帝国艦隊紋章官「カーター提督。前方にある軍艦が提示した許可書から、ミラドラン辺境伯公認の私掠船であると認定します。」
通信官「前方の私掠船の交渉人より、現地での案内を申し出ております。」
カーター提督「ふん、新しい飼い主を探しているようだな。
いいだろう、使える犬か試してやる。」
隊司令室には、交渉人としてケヴィンとカルムが訪れた。
ケヴィンが口を開こうとした時、カーター提督は一声を発した。
カーター「貴様、西の未開拓の地の出身だな?その肌黒の特徴、知っているぞ。」
ケヴィンはすかさず、
ケヴィン「流石は提督閣下。私の様な辺境の地の出身の者でも、すかさず言い当てるなど大変ご聡明でございます。」
カーターはケヴィンにすぐ関心が無くなり、
カーター「もう1匹は何だ?見せもの小屋から出てきたのか?」
カルム「は、は、御冗談を。
私は見せもの小屋で働かなくとも別の手段で食べていけます。」
カーター「ほう?何だそれは?」
カルム「私はアルグ海域周辺の周遊を果たしており、そこから培った経験をあらゆる分野で活かしております。」
カーター提督は興味深そうに、
カーター「ほう...北の氷河は越えたのかね?」
カルム「はい、夏には湖になる場所は船で、冬季には犬ゾリで移動をくりかえしました。
確か、皇后陛下に贈られた婚約の貢物に使用された宝石もアルゴラ大陸から犬ゾリを使用して運ばれて来ました。」
カーター「...ただ、書物の知識を披露しているわけではあるまいな?」
カルムは化粧箱の中から、宝石の光がチラつく原石を取り出した。
カーター「...ほう。」
カルム「私の冒険譚の思い出の品の一つでございます。ご覧になられますか?」
カーター「うむ。」
カーターは原石を手に取ると、
カーター「...これは皇后陛下が身につけられている宝石の原石だな。」
側近の将校たちも提督の原石の認定にざわついた。
カーター「...この宝石が皇族が持つ意味を君は知っているかね?」
カルム「はい。なんでもバァルジモアを建国された初代皇帝が祖国を旅立つ際に別れる親君から頂いたとされています。」
カーター「うむ、その通りだ。」
ケヴィン「恐れながら、似たような神話をわが故郷でも聞かされた事があります。
太古に旅立たれた王が宝石の光に導かれて祖国に再び舞い戻るのだと。」
カーター「...ふむ。」
カーターは原石を眺めながら、
カーター「ま、私はロマンティストじゃない。
神話の信憑性や類似性など深く考えたりはせんよ。
これは君の思い出の品だろう?返すとしよう。ええーと、まだ君達の名を聞いていなかったな。」
カルム「カルムと申します。閣下。」
ケヴィン「ケヴィンと申します。以後お見知りおきを。」
カーター「わが艦隊は目的を持ってこの海にたどり着いた。
君達にもなんらかの目的があるのだろう。
カルム、ケヴィン、話してみると良い。」
ケヴィン「提督の様な立場のお方からすれば、我々は単なる夢想家やもしれませぬ。」
カーター「...どういう意味かな?」
カルム「私めは今一度アルゴラ大陸に降り立ちたいのです。」
カーター「...アルグ海域の攻略か...」




