魔の海域攻略編前編 大局観述
場面は変わり、三姉妹の居住部屋。
部屋のドアをカルムがノックする。
カルム「わしだ。もう部屋から出てきて大丈夫だ。
それと船長が3人とも測量室にくるようにと伝言だ。」
三姉妹はカルムと共に測量室へ向かう。
エレン「さっきの騒ぎは何だったの?」
カルム「ああ、通称、狂犬のジェルミのあだ名の海賊でな。
船長もあまり会いたがらない癖の強い男さ。」
カルム「ジェルミ海賊団は確かな実力は誰もが認めるがな、いかんせん狂犬っぷりでミルドランの中央の貴族達の利得権益を荒らし回ってな、私掠船の許可が認められなかったのさ。」
アナ「ふーん、ミラド海賊団とどっちが強いの?」
カルム「...十八九、ワシらが負けるだろうな。
...そしてジェルミの厄介なところは噂に流れるような狂犬ぶりじゃない。
船長も警戒する強かさがある。
...これはわしの個人的な感想だがな、ここら辺では海賊と呼ばれるかもしれんが、他国では英雄として扱われて辺境伯に相当する地位についてもおかしくないとわしは考える。」
測量室のドアがノックされる。
ミラド「...入れ。」
カルム「船長、三姉妹を連れて来ました。」
シーラは船長を観察し、
シーラ「...気分が良くないように見えますが...」
ミラド「...そう見えるか?」
シーラ「...ジェルミという方にお会いになられたそうですね。」
ミラド「...ああ、アイツが俺を訪ねるときはいつも爆弾を置いて帰るからな、もう慣れたよ。」
なかなか話を切り出さないミラドを見てシーラは自ら話題を切り出す。
シーラ「ジェルミさんとどの様な事をはなされたのですか?
教えて頂けませんでしょうか?
私達の役割は魔の海域の攻略ですね?
それと関係ありますか?」
ミラド「...ずいぶんと積極的だな。」
シーラ「私は私と妹達をあなた方のペットにする気はありません。
航海士として必要な情報の提示をお願いします。」
ミラドは苦笑しながら、
ミラド「良かろう。現状の状況を整理しよう。」
ミラドは広げられた海洋図を指しながら、
ミラド「三姉妹よ、アルグ海域を中心にどの様な世界が広がっているか説明してみせろ。」
シーラ「...分かりました。
書物の知識に過ぎませんが、
まず、このアルグ海域を中心とした海図の南東にミルドラン連合国の王都や衛星都市が連なるミルド大陸が広がっています。
次に、南西のカスケード大陸に辺境伯が治めている領土と多数の国家群が国境を接しています。
次に海図の西の辺境は王の不在の土地とされており、未開拓とされます。
一方で、海図の北西のバァルジモア帝国は海洋貿易が盛んであり、多国間で交易がされている地域です。
そして、北の氷河地域があり、北東に私達の目標のアルゴラ大陸があるとされます。」
ミラド「ではアルグ海域を航行する意義はなんだ?」
シーラ「端的に言えば、航行の移動距離の短縮です。
バァルジモア帝国とミルドランの王都の交易で1年から2年を必要とされます。
アルゴラ大陸の到達の記録は多数ありますが、交易と呼べるものは皆無とされます。
一般的にアルグ海域は人生をかけて一周すると例えられます。」
ミラド「その通りだ。カルムがその生き証人だ。」
アナ「ほへ!?」
エレン「カルムさん、アルゴラ大陸に行った事があるの!?」
カルム「...丁度お前達の年頃に旅を始めてな。ミルド大陸に戻る頃にはハゲたオッサンになっていたよ。」
カルムは少し照れくさそうにしている。
ミラド「では、何故アルグ海域が攻略されてこなかったと考えられる?」
アナ「...多分だけど、皆んな基準がバラバラだったからだと思う。
船を作るヤツも船を操縦するヤツも船にカネを出すヤツも海域を通るのを許可するヤツも魔の海域を通るって曖昧な目標は同じはずなのに、目の前に起きている事を説明する方法が皆んなバラバラだったんだろな。」
ミラド「では、アナ。君なら魔の海域をどの様に攻略する?」
アナ「うーん、攻略って言うか、何が分からないかを知る、かな?」
ミラド「...どう言う意味だ?」
アナ「例えばさ、魔の海域にドラゴンがでてきら、船長はどうする?」
ミラド「...面白い質問だ。
そうだな...逃げるか、戦うか、いろいろ試してみるか...」
アナ「そう、それ。結局はいろいろ試してみるしかないと思うぜ。」
アナ「でも、思いついたのを手当たり次第、てのは非効率だと思うぜ。
海の探索の指南書か手本があればなぁー」
ミラド「...アナ、良い指摘だ。
君達にとって良い手本がある。
...同時にシーラに質問された答えでもある。」
アナ「?何それ?」
ミラド「...海洋国家バァルジモア帝国の艦隊がもうすぐこの海に姿を現す。」




