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三姉妹と未知の海洋  作者: SQUID MILL


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魔の海域攻略編後編 青年立春⑤

ミラド青年「...もう一方の魔女と聖女を取り巻く勢力間争いですが、それに近しい説明を受けた記憶があります。」

スピリアルド伯爵「ほう、魔女本人からかね?」

ミラド青年「...いえ、魔女の協力者とおぼしき男です。

何でも魔人の処刑人を肩書きに据えていました。」

スピリアルド伯爵「魔人の処刑人?魔女狩りの審問官ではないのか?」


ミラド青年「...魔女狩りの審問官ではないのか、と問われればそれに近しい立場だったかも知れません。

...私が目撃した限り、魔女を討伐しようとした部隊の仲裁に入れる人物でしたから。」

スピリアルド「ふむ、本来は魔女を討伐する立場にありながら魔女と通じている、魔女と聖女を取り巻く勢力間争いの一部と言えるかもしれんな。」

ミラド青年「...魔女と聖女は争いをする関係なのでしょうか?」


スピリアルド伯爵「魔女と聖女の争いか、お前の観てきたものも含めて一つの疑問を提示しよう。

正義は何処に存在すべきであると考える?」

ミラド青年「...権力闘争や経済的利害から中立な宗教的権威に依拠すればあらゆる紛争における正義の扱いに利便だと考えます。」

スピリアルド伯爵「そうだ、その具体的象徴が聖女だ。」


スピリアルド伯爵「何故聖女を象徴の中心に置くかは正直重要では無いだろうな。

社会の求める構造が成立する、そこが重要だろうからな。

まあ、聖女がドラゴンを倒す、といった逸話がどの階層の人間にも伝えやすいのが理由だろうからな。」

ミラド青年「...。」

スピリアルド伯爵「私自身、正義の構造そのものに興味はないぞ。

利用しやすいように、説明しやすいように、神と正義は人に普遍的ものだと必要に応じて嘯くものだ。

こんなに熱心に語るのはミラルドルフ、お前が相手だからだぞ。」


ミラド青年「...もし仮に、魔女がドラゴンを倒す無二の存在だったとしたら社会の在り方どうなると考えられますか?」

スピリアルド伯爵「...それがお前が触れてきた人生経験、迷いと探究の原因か?

...おそらくお前自身それが真実かどうかの確信が得られず、旅に出る事を求めているのだろう。

聖女ではなく魔女がドラゴンを倒す者ならばそれを取り巻く勢力はどのような行動を取るのだろうか。」


ミラド青年「...私がこの目で確かめたのは魔女の暗殺と魔女の協力者の仲裁です。

そして協力者もドラゴンを倒しえる魔女に対して周りの勢力はどのような行動を取るかと問いを投げかけられ、私は魔女の敵と協力者に分かれると答えました。

その協力者もその構造には同意してくれました。」

スピリアルド伯爵「はは、随分と友好的な協力者だな。」


スピリアルド伯爵「その協力者が信頼に値する人間であると何故言える?幼少期のお前といえど判断基準はあっただろう?」

ミラド青年「...私は母とともにとある騎士団に従軍しておりました。

状況は現在にいたっても判断しかねるのですが、魔女の協力者はその騎士団を利用して魔女を足止めしていたようです。

その際、魔女によって騎士団は壊滅しました。

偶々生き残った私は魔女と協力者の配慮で今現在、この場所で働いております。

...スピリアルド伯爵、貴方に出会えた事が信頼の根拠です。」

スピリアルド伯爵「...ふ、魔女達も粋な事をするな。」


スピリアルド伯爵はまた強く咳こむ。

スピリアルド伯爵「...私がお前にしてやれる事は多くない。

...私がお前に残した遺産を受け取ってくるまいか。」

ミラド青年「...かしこまりました。カスケード大陸の旧辺境伯領の平定の任をお受けいたします。」

スピリアルド伯爵「...ありがとう、我が息子よ。」


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