魔の海域攻略編後編 幼少恋慕⑦
エキドナ「簡潔に説明すると民衆がバァルジモアには権力があると理解させ易いからだな。
ミラド少年、君はさっき私に自分の価値観を示してくれたね。
じゃあ、その価値観に沿ってこの王様だか権力者について行こう、と考えさせるにはどうしたらいい?」
ミラド「...自分達には強い軍事力がある、とかかな?
でもこれってハッタリでも社会に通用したりするんだよね。
自分は強い将軍の親戚だ、とかブラフを垂れ流したりさ。」
エキドナは面白ろ可笑しく、
エキドナ「君はなかなか捻くれているな^_^」
エキドナ「軍事力という視点から観ても虹色艶は皇帝の権威の象徴となるだろう。
なんせ魔力を膨大に保有出来るからね。まあ、それだけじゃないけど。」
ミラド少年「!?バァルジモアって魔法とか魔術を使う国なの?堅苦しくて寒い国だと思ってたけど。」
エキドナ「...初代皇帝から数代はね。
でも現在では魔力と言う概念すら浸透してないようだね。」
ミラド少年「な、なんでだろう!?魔力の使い方って強さに直結するんでしょう!?
魔力を扱える人が全く現れ無くなった、って事?」
エキドナ「...私もバァルジモアの中枢にずっといた訳ではないから断言出来ないが、それがバァルジモアの身の丈にあった品性なのだろうね。」
ミラド少年「!?品性!?エキドナさんがさっき言っていた必要なものの事?」
エキドナ「人間と社会において強い力が正解とは限らないって事さ。」
ミラド少年「!?」
ミラド少年「...力って、奪う場合にも守る場合にも必要になるものでしょ?
...僕は軍隊の中で生活してきたから尚更強さって重要だと感じるよ。
力を捨ててまで手にするものって何?僕は宗教に詳しくないけど武器を捨ててそれでみんなが幸せになれるって考えの事?」
エキドナ「あるさ、ことバァルジモアの歴史においてはね。
虹色艶を手放すこと、そして結果として他の2つの皇位継承のための神器を手放すことが味方から背中を刺されないための最大の配慮だったのだと私は認識しているよ。」
ミラド少年「!?」
エキドナ「...歴史的経緯としては現在は禁足地となっている巨大な湖が出来たことだろうね。
その土地は歴史的に観ても地理的に観てもバァルジモアの豊かな都市だったんだよ。
だが、一夜にして都市は跡形も無くなり、神々の怒りに触れたとして何者も立ち入る事を許されない禁足地となったのさ。
ミラド少年はこの逸話をどう感じる?」
ミラド少年「...今までの文脈からして虹色艶が関わった結果って事?」
エキドナ「ああ、神器である虹色艶の取り扱いを間違えて、蓄えられていた膨大な魔力を放出して都市が消滅してしまったのさ。」
エキドナ「戦乱の世の中だったならばまだ評価が違ったのかも知れない。強力な神器はそのまま武威となりうるからね。
だが、皇帝が世の中を治めて平定されている社会では強力な神器を管理出来ないという事実は途端に皇帝の喉元に突き刺さる牙となりうる。
強力な神器を管理出来ない皇帝をミラド少年はどう思う?」
ミラド少年「...こんな奴に従う価値はあるのかって感情が表面に出るだろうね。」
エキドナ「ミラド少年のいうように相手を屈服させるにも自分の貞操を守る為にも力は重要なのは私も認めよう。
だがね、身の丈に合わない武力を身に付けて結果、身を滅ぼす、そうやって自身から奪われてしまった故にこの世界の在り方を考え直す、
私はこれを品性だと考えるよ。」
ミラド少年「...いまいちピンとこないや。
エキドナさんは魔力が使えないバァルジモアをカッコ悪いと思わないの?」
エキドナ「私は思わないな。
ミラド少年も例に挙げたろ?
強い将軍の親戚の振りをして強かさに生きる方法だってあるのさ。」
ミラド少年「...それは流石にダサいよ。」
2人が話し込んでいたら夜が明けてきた。




