魔の海域攻略編後編 貴室密訪①
時間はやや遡ってバァルジモア艦隊旗艦司令室
一番艦上等航海士「提督、現状は滞りなく航路を確保出来ております。
時間ですので提督の休息を推奨いたします。」
カーター提督「うむ、自室で休ませてもらう。何かあったらすぐ連絡をしろ。」
上等航海士「...進路は指示通りで、と言うことでよろしいですね。」
カーター提督「...ああ、よろしい頼む。」
カーター提督は自室に戻って重苦しい外装を外すと椅子にくつろいだ。
すると部屋にドアをノックする音がする。
用務員「カーター提督、お部屋の清掃はいかがなさいますか?」
カーター提督「...結構だ。下がっていいぞ。」
用務員「それでは酒の酌などはいかがでしょう?」
カーター提督「!?」
カーター提督はドアを開けるとそこには用務員に扮したアナが立っていた。
アナ「じゃーん、アナちゃん参上だぜ。」
カーター提督「アナ!?何をやっているんだ!?」
アナ「ん?バァルジモアの物資を使っても咎めないって言ったの提督だろ?」
カーター提督「!!?...中に入れ。」
アナ「それじゃお言葉に甘えて。」
アナはいつもどおりカーター提督の私物を勝手に漁り始めた。
アナ「酒飲むだろ?」
カーター提督「...全く何しにきた。」
アナ「んー、カーター提督に質問。」
カーター提督「...どんな質問だ?」
アナ「この艦隊、アルゴラ大陸の最短コースを通らず、遠回りしてるだろ。」
カーター提督「!!?...。」
アナは胸からカーター提督に見せつけるとように懐中時計を取り出した。
アナ「状況証拠は取り揃えてあるぜ。
以前、提督の処に挨拶に行ったカルムっていう禿げたチビのおっさんがいるだろ?
カルムが以前アルゴラ大陸を渡った時にカルス・クロスって都市に到達したそうだぜ。
その時に見える星座や基準となる優等星を詳細に記録したらしい。
アルゴラ大陸とカスケード大陸辺りで見える星座は大分違うけどな。」
カーター提督「...。」
カーター提督はアナに注がれた酒を口にする。
アナ「バァルジモアで広く使用されている航海図向けの天体図とアルゴラ大陸の情報、そして私達が活動しているカスケード大陸での天体図を統合して私たちなりにアルゴラ大陸までの最短予測航路を作成したんだ。
ここまではいいか?」
カーター提督「...続けろ。」
アナ「で、もって航海中の現在地の測り方だが、六分儀やアストロラーべを使ってたんじゃ限界がある。それらを上回る精度を出すためにこのクロノメーターの登場って訳だ。」
アナ「提督、この艦隊の戦艦がそれぞれ保有しているクロノメーターをどう思う?」
アナは懐中時計をカーター提督に見せびらかしながら質問した。
カーター提督「...やはり、正確な動作を担保する為の大きな機構が航海に求める精度と相反するな。」
アナはニヤニヤしながら懐中時計をかざした。
アナ「そこで私達のクロノメーターの出番って訳だ。」
カーター提督「...航海士としてその道具をどう評価する?」
アナ「ああ、抜群だぜ。
...艦隊の航行の違和感に気付くぐらいにな。」
カーター提督「...状況を把握した上でお前はこれをどう分析する?」
アナ「うーん、そうだなー、
...なんで問い詰められて嬉しそうなんだよ?」
カーター提督「...気にするな。
...続けろ。」




