魔の海域攻略編後編 陣中会議①
分析官「それでは定刻になりましたので定例会議を始めさせていただきます。
まずはアルグ海域の未知の領域に関する方針から...」
シラッド船長「その前にカーター提督、通知がありました恩賞の扱いについて幾つか質問がございます。」
シーラ(...クルーシル商会系列の船長..)
カーター提督「...どの様な質問でしょうかな?シラッド船長。」
シラッド船長「バァルジモア艦隊の艦長の方々の中には何名か皇位継承権を有されるお方がいらっしゃるようですが、私共の船はそれらの方々と協力してアルゴラ大陸を目指した上で恩賞が賜われる、という認識で宜しいのでしょうかな?」
カーター提督「...恩賞はアルゴラ大陸到達に有益な結果を出した後に評価されるべきものであり、艦隊の規律を乱しかねない行動は謹んで頂きたい。」
シラッド船長「それは艦隊に所属する方々に問われる戒律でございましょう?
我々協力者にはまた別の規律が求められるはずです。」
カーター提督「...。」
シラッド船長「ご存知の通り、バァルジモア帝国とミルドラン連合国は王直ギルドを通じて、通商と外交関係を長く構築しており、両陣営の深い絆の結びつきを象徴しております。
しかし、今回のアルゴラ大陸到達はこれまでの前提を覆しうる一大事業であると言えます。
バァルジモアとミルドランの中間の海域にアルグ海域の入り口があるとされ、まだ予想の範囲ですが、カスケード大陸とアルゴラ大陸を15日から20日で結べる航路が開拓しうる、
これが国際社会にどの様な影響を与えるかは明確に説明出来る者はおりますまい?」
カーター提督「...。」
シラッド船長「ならばこそ今、なのです。アルゴラに到達してからではなく、今にこそ今後の利益関係を明確にしておく事に意味が生じるのです。」
シーラはシラッド船長の熱弁の最中、ヴァクシン商会系列のカルロス船長の反応を眺めていた。
シーラ(...商会同士の諍いはあれど同意見、と言ったところかしら。
...アルゴラ大陸に到達してからの処遇か...
思えば、自分の意思がここまで反映されるなんて想像もして来なかった。
辺境伯の土地代に悩まされていた自分が今は辺境伯の隣りで航海士として働いている。
...そして自分の意思で袂を分つ決断もできる立場になるなんて...
...ミラド船長、貴方って私のためにあんな感情的になるのですね。ふふ。)
ガルムカス八番艦艦長「熱弁のところすまないが、質問をさせても宜しいかな?シラッド船長。
シラッド船長「ええ、構いません、ガルムカス艦長。」
ガルムカス八番艦艦長「率直に言えば、あなた方は皇位継承権がある者だけに優先的に協力する、と解釈して宜しいのですかな?」
シラッド船長「それはとんだ見当違いでございます、ガルムカス艦長。
我々の共通した目標はアルゴラ大陸の到達。
その過程の中で意見の相違はあるというもの。
その中でいかに立場の違いを乗り越えて目標に辿り着くか、は我々の当然と、課された試練でありましょう?カーター提督。」
カーター提督「...無論だ。」
ガルムカス八番艦艦長「私が商人という立場ならば皇位継承権者に肩入れするのはむしろ自然だがな。
カルロス船長、ミラルドルフ辺境伯、お二人の意見をお聞きしたい。」
カルロス船長「...私がヴァクシン商会の代表としてバァルジモア艦隊での振る舞いについて、という事でしょうか?」
ガルムカス八番艦艦長「その様に捉えてもらって結構です。」
カルロス船長「...まず、私の立場としてはヴァクシン商会の雇われ船長であり、バァルジモア艦隊のアルゴラ大陸到達を見届けて、その結果をヴァクシン商会に報告するのが役割です。
誰が皇位継承権者であるか否かは正直私の関与する事では有りません。」
ガルムカス八番艦艦長「なるほど、ではミラルドルフ辺境伯は本艦隊の協力者としてはどの様なスタンスでいらっしゃるのですか?」
ミラド「私がアルゴラ大陸を目指すのはそれが私の夢だからです。」
シーラ「!!?」
カーター提督「...。」
ガルムカス八番艦艦長「...はぁ、夢...ですか。」
シーラは慌てて会話に介入する。
シーラ「補足させていただくと、現在の辺境伯の政治的立場から言って、ミルドランの王都や辺境伯の領地に留まるのはリスクが高いからの判断からです。」




