魔の海域攻略編中編 悪童訪問⑤
シーラ「フィリップス団長、おそらく魔獣の条件の3つ目に関連する質問なのですが、よろしいでしょうか?」
フィリップス団長「ああ、何かな?」
シーラ「ドラゴンとは魔獣の類いであるとお考えでしょうか?」
フィリップス団長「ふふ、質問の意図はつまりこういう意味かな?
魔獣の条件3つ目の際限無く巨大化すること、すなわち、巨大化した魔獣がドラゴンの正体であると。」
シーラ「はい、魔獣の話しを伺うまで、ミルドランの国境警備軍を壊滅させたドラゴンというものは、他国の侵略か国内紛争を政治的意図をもって捻じ曲げていると考えていました。
しかし、ドラゴンがあるいは魔獣ならば、という考えも出来るのでしょうか?」
フィリップス団長「良い質問だね。
答えはYesでもありNoでもある。」
フィリップス団長「まずはYesの理由を語ろうか。
我々カーネル騎士団もミルドランの国境警備隊がドラゴンに壊滅させられたという一報を受けてすぐに巨大な魔獣が出現したのかと予想したさ。
何より、伝聞や伝説などでは無く、我々はオークキングの協力を得て、体長が20メートルを超える蛇を現在も保護観察をしている。」
シーラ「20メートル!?」
フィリップス団長「メートルという単位がどの様なものかご存じかな?」
シーラ「はい、例えばジェルミさんが腰につけているバァルジモアの皇族の剣の長さが1メートルだとされています。」
ジェルミ「お!博識だね!?」
フィリップス団長「そしてカーネル騎士団が観察したところ、保護対象の大蛇は魔獣であると認定できたんだ。」
シーラ「...少なくとも現在でも巨大化が進んでいるのですか。」
フィリップス団長「ああ、どれほど生きているかは想像の範疇になるがね。」
フィリップス団長「ジェルミが語っていたアルグ海域の魔獣については、おそらく、陸の魔獣よりもスケールが大きくなるだろう。」
シーラ「海の魔獣が陸よりも強大なると!?」
フィリップス団長「はは、先程例に挙げた大蛇は陸の魔獣でも別格でね、海の魔獣といえど20メートルを超えることはそうそうないだろう。」
ジェルミ「...カーター先生が引き連れたバァルジモア艦隊を見て思ったのはさ、先生は多分アルグ海域を渡ろうとしているね。
...そしてドラゴンに遭遇する事を前提に艦隊を編成している。」
シーラ「!!?」
ジェルミ「まあ、ただのカンだけど。」
フィリップス団長「散々脅しておいて何だが、Noの理由を説明しよう。
ミルドランの国境警備隊を壊滅させたとされるドラゴンの正体が巨大な魔獣か?という疑問ついては、魔獣狩りをする立場としてあり得ない、と判断している。」
シーラ「...巨大な魔獣は存在し得るのですよね?」
フィリップス団長「先程例に挙げた大蛇だが、何故討伐では無く、保護観察だと思う?強すぎるからか?」
シーラ「...巨大である事は必ずしも脅威に直結しないからでしょうか?」
フィリップス団長「そうだ。巨大な魔獣は存在している。
だが、その存在が人間の脅威であるとは限らない。
先程の大蛇もほとんど動かず、我々の存在に関心を示さない、まるで老木のようにね。
オークの巨躯のように巨大であるという事は原始的恐怖を掻き立てるかもしれない。
だが、組織化された軍隊が魔獣に劣るという結論は甚だ現実から乖離している。
ドラゴンという未知の神秘、私個人も心をくすぐられるが、まず、目の前の現実を整理すべきだと思う。」
フィリップス団長「さて、ジェルミが言ったように、バァルジモア艦隊はドラゴンの遭遇を想定している、とはそれだけ海の魔獣を軽視していない態度の現れであると考えられる。
仮説の1つであるが、西の土地は海になかなか辿り着けない土地柄だ。すると毒が逃げ場が無く堆積していく、という考えだ。
」
シーラ「!?アルグ海域が世界中の毒の溜まり場だったら!?」
フィリップス団長「そうだ。ドラゴン級の魔獣が発生してもおかしくない。」




