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三姉妹と未知の海洋  作者: SQUID MILL


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魔の海域攻略編前編 漸進推移③

カーラ「...父の商船がアルグ海域を航行出来たとするならば、多分、バァルジモアの測量技士や航海士を多く雇い入れたんだと思う。

でも、バァルジモアではその功績は認めてもらえなかったんだと思う。

...何故だと思う?」

シーラ「...バァルジモア保守派の王古主義ね。」

アナ「?どんな考え方なんだよ?」


シーラ「王古主義……つまり、古い王の時代からのやり方や、純粋な血筋による統治を絶対視する考え方。

外部から来た技術や異国の方法を積極的に取り入れることを『純粋さを汚す行為』と見なす保守派が強いみたい。

父上の商船がバァルジモアの技士を雇って成果を出したとしても、それを公式に認めると『外の力を借りた』と批判される……そんなところじゃないかしら。」


カーラ「...あの奇人のジェルミがバァルジモアでは英雄視される理由はバァルジモアを知れば良く分かるわ。

変わる事が出来ない自分を変えてくれるかもしれない存在への憧れ。

...私も嫌いじゃないわ。」

エレン「...カーラちゃん。」

シーラ「...バァルジモアの始祖はアルゴラ大陸出身だとされているわ。

アルゴラ大陸への帰郷は民族的神話からの悲願であり、北から流れる流氷を乗り越えようとする技術を磨きつづけた歴史があるのよ。」

アナ「うーん、でも目標は一緒なのにみんなちぐはぐだな。」

アナは続けて、

アナ「でもさ、バァルジモアで功績が認められないなら別の処で功績をアピールすりゃいいじゃねーか。」

カーラ「そうね。アナ、あなただったらどの辺りで功績を売り込む?」

アナ「うーん、ミルドランのミルド大陸辺り?」

カーラ「ミルド大陸の海洋貿易を独占していたギルドがクルーシル商会よ。」

エレン「え!?クルーシル商会ってカーラちゃんを捕まえて奴隷として売ろうとした連中でしょう!?」

カーラ「...勘違いしてほしくないのはクルーシル商会は悪の組織ではなく、バァクシン商会と同じ公助ギルドよ。

...クルーシルからすれば自分達の縄張りを余所者が荒らしている。

...それに抵抗するのは当たり前の事だと思う。」


アナ「...自分を酷い目に遭わした連中を擁護するのはどうかと思うぞ...」



カーラ「...シーラさん、貴方達との心置きなく会話した事で、私の中である仮説が生まれたわ。

...シーラさんの言う通り、今回のバァルジモア艦隊の背後には、私の父の商会かクルーシル商会が絡んでいるかもしれない。」

シーラ「...そう考える理由を教えて頂けますか。」


カーラ「バァルジモアの艦隊を動かすには莫大な資金が必要になる。

しかも『ジェルミ捕縛』という表向きの大義名分だけでは、保守派が簡単に納得するとは思えない。

……父のバァクシン商会も、クルーシル商会も、アルグ海域の航行ルートを独占できれば、莫大な利益を得られる立場にある。

もしどちらかの商会がバァルジモアの有力者に働きかけ、艦隊派遣の資金を提供したとしたら……

『ジェルミ捕縛』という名目で魔の海域の調査・支配権を狙うことができる。

特に、クルーシル商会は父の商会がアルグ海域を通ったことを知っていれば、尚更動く可能性が高いわ。」

部屋に重い沈黙が落ちた。

アナ「……なるほど。

どっちの商会も『アルグ海域の独占』を狙ってるってことか。」

エレン「それじゃあ……私達が航路を開拓しようとしてるのも、結局は彼らの思惑に利用される可能性があるってこと?」

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