魔の海域攻略編後編 一波万波①
魔獣アルグスには意思があるのか、魔獣アルグスの挙動には悪意が存在するのか。
それはおそらく魔獣アルグスを目撃した者が評価することだろう。
門番をはじめとした大型魔獣の消滅が、アルグ海域の魔力の循環を変化させ、これまでは大型魔獣や小型魔獣の発生に消費されてきた魔力が、少しずつ、だが確実に、魔獣アルグスという器に注がれていった。
アルグス「…」
とある森の中、火を囲んでいた一行の女性3人がこの環境の変化に反応した。
オーク戦士ディーン「お、おい、お前らどうしたんだ?あさっての方角など観て?」
聖女ディアナ「え?え!?何!?今の!?」
女性冒険者ライザ「!!?エキドナさん!?いまのは?」
魔女エキドナ「…」
ディアナ「ね、ねえ、今のなんだったのかな?爆発?にしては音が聞こえなかったけど…」
エキドナ「あら、さすが聖女さま。バカの癖に感は鋭いのね。」
ディアナ「あ?誰がバカだって?」
ディアナはエキドナに掴み掛かろうとするがディーンに制止される。
ディーン「…お前らほんとに飽きもせずに喧嘩するもんだな。
ディアナ、エキドナの言葉をいちいち間に受けるな。
エキドナも少しは言葉を選べ。」
ディアナは癇癪を起こして、
ディアナ「も〜バカって簡単に言う方がバカなんだからね!!」
エキドナ「じゃあ、あなたはもっとバカね。」
ディーンは暴れるディアナを取り押さえる。
ライザ「!!?エキドナさん、今のって魔法使った時に周りに影響を与える波みたいなヤツかな?」
エキドナ「そうね。星座の位置からアルグ海域の中心だと予想出来るわね。」
ライザ「!?これが魔力の波だったらどんなスケールの魔力を保有してるの?
私が大型の魔獣を倒した時の波と比べものにならない!!
ま、まさか、これがドラゴンってヤツ!?」
エキドナ「…アルグ海域中心でこのデタラメな魔力を説明できる存在がいるわ。
魔王候補者アルグスよ。いえ、もう人の形をしてなくて、元人間のアルグスと呼ばれていた現象、というのが正しい認識かもね。本人に自分の意思があると思えないからね。」
ライザ「え!?アルグスって
海に捧げられた魔女の元ネタでしょう!?」
エキドナ「魔王候補者は体質として魔力を引き寄せる性質がある。人の器のままでは限界があるけれど、海に投棄されて、魔獣に捕食され、それでも尚、アルグスという魔王候補者としての現象は維持されつづけ、巨大化を続ける魔獣を器に魔力を貯め続けたようね。」
ライザ「…もし、アルグスと遭遇したらどうするんですか?」
エキドナ「もちろん、ディアナを盾にして私達は逃げるわ。」
ディアナ「はぁあ!?!?ふざけるな!?」
ディーン「…逃げるのは賛成だが、ディアナは見捨てたりはせんぞ。」




