↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/38

第三十六話 ゲスな看守

読者のみなさまへ

今回、看守からリンへのセクハラが繰り返されます。

苦手な方は、大変申し訳ありませんが、

前から2/3ほどを読み飛ばし、連続10行の空行の後からお読み下さい。

 私が男なわけないでしょ!


 そんな私の思いも空しく、看守が私のズボンに手を掛けようとする。


 「囚人にズボンは、許されていないのであ~る」


 「待って。私は誘拐犯じゃないわ。間違われて捕まったのよ!」


 「吾輩の仕事には関係ないのであ~る」


 私は壁に吊るされたまま、足を前に出して、看守と距離を取ろうとする。


 「や、止めて!」


 「大人しくするのであ~る!」


 加速。


 看守の手が伸びてくるたびに、足をすり抜けさせる。一、二度逃れるのは簡単だ。

 でも両手を縛られ、壁に吊るされていては、足を突っ張って看守を押し返すくらいしかできない。

 看守の手は、ゆっくりと、でも執拗に私の足を追ってくる。

 看守自身もじわじわと距離を詰めてくるので、押し返しきれない。

 しばらく必死に足を動かしていたけど、まだ背中が痛いし、息もすぐに上がってしまった。

 これ以上は無理。


 ……解除。


 足をガッチリと掴まれ、ズボンが一気に引き下ろされた。

 看守がいやらしい笑みを浮かべる。


 「うっ」


 負けるもんか。足を見られるくらい、競技の時と一緒なんだから!


 そうは思っても、太ももをさらされ、慌てて両足をぎゅっと閉じた。


 「おやぁ? ズボンの下は何もないのであ~る?」


 それを聞いて、ハッとした。

 今日のチュニックは、お尻がやっと隠れるくらいの長さしかない。

 それでも、下着も布が少ないので、ほとんどチュニックの外からは見えないのだろう。


 看守は少し屈むと、私のチュニックをめくった。


 「コ、コラ、見るな!」


 「何だこりゃ? 腰帯なのか、違うのか、法的に問題なのであ~る」


 どうせミルカくらいにしか見られないと高を括って、走りやすさと作りやすさ、安さだけしか考えていなかった。

 それは腰の紐に付いた布を、後ろから足の間を通して紐にかけ、前に垂らすだけのもの。

 つまり、越中ふんどしだった。

 今どき、コントかお祭りの中継でしか見ないような格好だ。人に見られると、すごく恥ずかしい。


 看守は短剣を抜くと、刃先で腰の紐を引っ張り上げる。


 「この紐を切るとどうなるか、法的判断に必要なのであ~る」


 「そ、そんなの、やらなくても分かるでしょ!」


 看守は刃先を紐に当てたまま、ゆっくりと持ち上げていく。変な効果音を口ずさみながら。


 「プッチン、プッチン、プッチン、プッチン」


 「止めてよ!」


 切れる、切れる、切れちゃう!


 「いや、しかし」


 紐が切れる前に、看守は刃を引いた。

 わざとらしくゆっくり短剣を鞘に収め、腰に戻した。

 そして今度は、前に垂れた布を持ち上げた。


 「この布を紐から抜いたらどうなるかも、検証が必要なのであ~る」


 「それもやらなくても、分かるでしょ~が!」


 看守は前垂れを引っ張って、上げたり下げたりを繰り返した。


 「ペロ~ン、グ~ン、ペロ~ン、グ~ン」


 「止めてってば!」


 取れる、取れる、取れちゃう!


 「いや、しかし」


 結局、前垂れを紐から抜くことなく、看守は手を離した。コイツ、遊んでる?


 「腰布かどうかは後にして、先にチュニックを没収するのであ~る」


 看守はゆっくりと、チュニックをめくり上げていった。

 お臍が見え、胸の下までが晒される。


 「ちょっと、女はスモッグをもらえるって。こ、こんな胸で、男なわけないじゃない!」


 これ以上されたら、たまらない。私は嫌々胸を張った。ほら、このふくらみを見なさいよ!


 「筋肉か、腫れてるだけかもしれないのであ~る。男女の区別は、股の間で確認する規則なのであ~る」


 こいつ、上を脱がせてから、確認する気?


 悔しさに私が看守を睨んでいると、何やら外が騒がしくなった。

 看守も私のチュニックから手を離し、振り返る。

 チュニックの裾が滑り落ちて、お尻の下まで覆った。











 牢の前には、ガステールと、もう一人の男が立っていた。

 その男には見覚えがある気がしたけれど、思い出せない。


 「釈放だ。さっさと出ていけ」


 ガステールが、憎々しげに私を睨んで言った。


 「えっ?」「え~~~っ?」


 私と看守の声が重なった。でも、看守の方が不満そうに長い。

 私は絶望から一転、希望が見えてきたけれど、看守は逆に蜘蛛の糸が切れたカンダタのような顔をしていた。

 よく分からないけど、こんなところはサッサと出よう。

 両手の縄が解かれると、私は素早くズボンをはいた。それから取られていた荷物を集め、牢を出る。


 二人の男に先導され、私は衛兵の詰め所からも出た。

 ガステールは苛立ちながらすぐに立ち去り、もう一人の男だけがその場に残った。

 詰め所の前には、ミルカとカーター、それにパックが待っていた。


 「リンさん、無事だったんですね!」


 ミルカが抱きついてきた。私も抱きしめ返す。

 ズボンを脱がされて、無事だったかと言われると、乙女として議論の余地はある。それでも、それ以上のことはされなかったのだから、マシな方だろう。


 「いやいや、良かった」


 カーターも嬉しそうにしている。


 「私がこの子を連れて、誤解だったと申し立てたんだけどね。全然、聞いてもらえなくて」


 「リン姉ちゃん。俺、すっごく心配したんだぜ」


 どうやらパックがカーターと一緒に、証言に来てくれたようだ。


 「絶対、太ったいやらしい看守に、あんなことや、こんなことされて……」


 私はそれを聞いて、即座にパックの両頬を引っ張った。


 「い、痛いれふぅ」


 でも、二人でダメだったなら、私が釈放されたのは、この人のお陰?

 私は、ガステールと牢に入ってきた男を見上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。