表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第8話「Better That We Break」

あまりの話題の変化に戸惑うあまね。


ただ、それは冗談では無いと分かる。


いつも不思議な道具を操っているバネッサ。

こっそりと、どこからか取り出していた「光る槍」を手入れしている姿を、盗み見てしまったからだ。


「……バネッサさんは、魔法使いだったんですね」


「正確には、魔法を使える何か、としておきます」


「どんな魔法が……使えるのですか?」


バネッサは即答せず、あまねを背に向ける。


「あまねさん、忘れたい事はありますか。私なら忘れさせてあげますよ」


あまねを背にしたまま、ブローチのような宝飾具を見せる。


鈍い金色の三角の形をした綺麗な意匠。赤、青と紫の宝石がはめ込まれている。

見たこともない不思議な模様が彫り込まれており、日本のものとも西洋のものとも分からないが、あまねはそれをただ綺麗だなと思った。


「この道具は、指定された《《2つの事》》を永久に忘れることができます」

「……」

「……例えば、お相手の男性のことを、全て忘れたい、とか」


あまねは息を吞んだ。


◇ ◇ ◇


バネッサは、あまねに顔を見られたくなかった。

嘘はついていないが、表情を見られたくないし、あまねの顔も見られない。


あまねが一人で抱え込んで苦しんでいる事に、違和感があった。

この国の現在の雰囲気的には、あまねの年齢では堕胎するのが普通だろう。

あまねが乱暴されたのか同意だったのか不明だが、少なくとも「相手」に相談できない状態とバネッサは推測した。


「……特定の日の出来事を、全て忘れたいという指定もできます」


しばらく、会話が止まる。

焚火の薪が、パチパチと小さな音を立てている。


あまねが静かにバネッサの背中に声を掛ける。


「……少し、考えさせてもらって良いですか」


◇ ◇ ◇


あまねは、先に毛皮に横たわった。

山で過ごす疲れもあるのだろう、しばらくすると寝息が聞こえてきた。


しばらく、バネッサは焚火の炎の前で、先ほどあまねに見せた「忘却の三角」呼ばれる魔道具を眺める。


残酷な救済装置と呼ばれる魔道具。呪いのアイテムとも呼ばれる時もある。


・対象者は魔道具の使用者に対して忘却内容を伝えなくて良い(思い描くだけで良い)

・忘却内容は復活できない。基本的に記憶を「破壊」する

・忘却内容に関連する記憶に障害が残る場合がある


適当で、乱暴で、人の人生を無茶苦茶にしかねない、暴力装置みたいなものだ。

ただ、今手持ちのアイテムで、あまねを救う他の方法が思いつかないのも事実。


もう一つ、この魔道具には、製作した職人の()()()()()()()がある。


が、これはあまねには伝えない。伝えられない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ