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ドロイドサイリウム ー 漆黒の猫 序の章  作者: 三海怜


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序ー8話

両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。


そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。


この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。

「じゃ、正式に紹介するわね。彼が私のジェット、これから宜しくね!」

漆黒の猫は「ニャオーン」と猫らしく鳴いた。


ヒデは何が何だか分からず、「じゃ、僕が殺されそうになってたってこと??」と驚きながら言うと、

「そうよ、実は、あなたが未来社会で重要なことをするらしいの。だから私たちガーディアンはそういった人物を奴らから守っているのよ。」

「奴らって?」

「未来を変えようっていう勢力ね。実はジェットはあなたをずっと見守っていたのよ。」


「あ、そうか!だから、たまに見かけていたんだな。なんか気味悪いネコだなって思ってたんだけどね。」

「キミが悪いってかわいそう!でも、そのジェットから緊急コールがあったからあなたを救いにきたってわけ。」

「それって、もしかしたら、ジェットが他の黒猫と喧嘩していたってことなのかな?」

「そうよ!それ見たのね?」

「うん! なんか黒猫同士で喧嘩して不気味だと思ったから。」

「そのもう1匹の黒猫がその反対勢力側なのよ。」

「でも、なんで猫なの??」

「猫ならあまり気にされないでしょ?喧嘩してたとしても。」

「なるほど!そういう理由なのか・・・まあそうだね。」とイマイチ訳がわからない説明であったが、不思議と納得してしまったのであった。


「じゃ、君はいったい何者なの??」

「だから私はあなたのガーディアンよ。」

「えっ、ガーディアンって??」

「あなたを守る役割なの。ネイションが選抜した特定人物が15歳になると付けらるのよ。これから宜しくね!!」


「なんとなく状況がわかってきたけど、でも、いったいココはどんなとこなの??」

「うーん、緊急事態だったからリープする座標を設定できないで既存のメモリーの中でリープさせたの。まあ、あの場から逃げるのが先決だからどこでもいいかと思ってね。だから、あなたの世界よりは未来ってことしか私にもわからないのよ。」と苦笑いしている。


「まあ、私だったら、ある程度はどの世界にも対応できるからあんまり気にはしてないんだけどね。冒険ぽくて楽しそうじゃない!?」とこの後に及んで余裕なようである。

「じゃ 僕たちこれからどうするんだい?」

「そうね… まずこの街を探索してみましょうか?」と言うと、エレナはまたコントロールパッドをジェットのおヘソにさして、「シェイプシフター・トランスファー!」と呪文を唱えた。

すると、ジェットはまた大きく膨らみ、今度は2人乗りのタイヤがないバイクのような形になったのだ。


「この世界ではこのスピーダーが一般的のようだからこれで飛んでみましょう!」

目の前に広がる未来都市は摩天楼(スカイスクレイパー)が聳え人々はこのスピーダーと言われる乗り物で空中を移動しているのである。


エリカは「さあ、乗って!」というとバイクのように跨った。

「わかった。」ヒデもおっかなびっくり乗ると、

「私にしっかりつかまっていてね!!抱きついていいわよ!」と言うや否なスピーダーを発進し凄いスピードで空中を飛んでいた。

「うわ!! コワ!! これジェットコースターみたいじゃん!!」と言いながら、その手の乗り物が不得意なヒデはドキドキしながら彼女の腰を強く抱いていた。


空から俯瞰して眺めると、森の中のほんの一区画だけ高層ビルが林立した土地であり高い金属の壁で覆われているのがわかった。

スピーダーの駐機場はビルの屋上にあり、そこから内部に入る仕組みとなっているようだ。そして、この都市の外部は前時代の荒廃した建築物が深い森に飲み込まれているのだった。


エレナは高層ビルの間を飛び回りながら街の仕組みを観察しているように見えた。

低層に位置するペデストリアンエリアには人が沢山歩いている。そして、我々の時代とは全く異なるまるで宇宙服とでも思えるようなデザインの未来服を着用しているのだ。


ヒデは、その人々の光景になぜか不気味さを感じた。

そして、大声でエレナに聞こえるように「ねえ!この人たちって人間なの??」

「よくわかったわね!こいつらはアンドロイドよ。」

「アンドロイド??」


「だいたいこの街の仕組みがわかったから今度は森の方へ行ってみるわね。」というと都市の上空を離れて暗く深い森へと向かって飛んで行った。

「見渡す限り森なんだね!?」とヒデが驚いていると、

「今度は高度を下げて、森の中をゆっくり進んでみるわね。」と言いながら、木がまばらになっている林間に降り時速20km/hぐらいの速度で木々の中を進んでいった。


エレナは乱立する木々を避けながらまるでゲームをクリアするように上手に操縦して進んでいる。

「しかし、君って操縦上手いんだね!!」

「まあね。ゲーム好きって言ったわよね?! 似てるでしょ!?」 そして、

「この廃墟は前時代の遺物ね。」と言って木が絡まり室内まで枝に侵入され破壊されたビルを指さした。

それはまるで大木がビルを飲み込んでいるかのように見えた。かつては栄えた大きな都市であったのだろう。


すると、いきなり何かにぶつかったような衝撃を受けてスピーダーは地面に落下していったのだった。

なんとスピーダーがネットトラップの仕掛けに捕まってしまったのだ。

そしてネットが絡まったスピーダーは前方からの衝撃を受けた瞬間にそのまま水平を保ちながら地面に叩きつけられたのであった。








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