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ドロイドサイリウム ー 漆黒の猫 序の章  作者: 三海怜


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序ー7話

両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。


そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。


この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。


ヒデは自分の部屋に戻ると、感激のあまり夕飯を買うのを忘れていたことを思い出した。

『しまった。ボーッと歩いていたからコンビニ寄るの忘れたわ! 今晩はどうするかな? また出だすのもあの猫たちがいるからめんどいなしな。今日はカップヌードルでもいいか!?』

ヒデは実家では不味い料理を避けるためにカップヌードルでやり過ごす日が多かった。そのため体には良くないとはわかっているものの言わばカップ麺マニアと化していたのだった。


そして彼はカップヌードルを啜りながらエリカとの会話を思い出しあの時の余韻に浸っていた。

『だけど、なんで僕なんかにそこまでしてくれるんだろう・・・』と考えてはみたのだが、女性に対して今までほぼ接点がなかった今のヒデでは答えが見つからなかった。


『まさか、あのクラスのいや高校の全ての男子学生の憧れ的なヒロインのエリカが僕に好意があるとは思えないし、まあ、彼女が言うようにご近所へのご挨拶っていう陽キャの軽いノリなのかな!? それに隣の席だし気を使ってくれたんだろうな・・・』という結論に達したのだが、

『でも、なんで剣の特訓までわざわざ僕にしてくれるんだろう・・・』という謎は残った。


すると「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!」とインターフォンが激しく鳴った。

『この時間に誰だろう??』と思い、インターフォンを取った。

「石塚君、私、エリカよ!すぐに開けて!!」と焦った声が聞こえた。

『いったい何なんだろう? というか、なんでこの部屋を知っているんだろう?』という疑問が先に立ったのだが、彼女の緊急事態の緊迫した声がそれに勝り、すぐにドアまで行き開けてしまった。

「あっ良かった!!」と言いながら、するりと勝手に部屋の中に入りまたドアを閉めたのだった。


「いったいどうしたの??」とヒデが驚いて聞くと、

「まずいの!! 奴らにあなたの居場所がわかってしまったの!! すぐに来るわ!!」と1人焦っている。

「えっ、奴らって??」全く意味がわからなかった。


「説明している時間がないから、あなたをとりあえず安全な場所に移すからこれから起こることに驚かないで私の指示に従ってね!」と今まで学校では見たこともないような真剣な表情に変わっていた。


「えっ、わかった!じゃ、荷物をとってくるね。」と言いながらいつも使っているリュックを取りに動くと、なんとエレナの足元にはあの黒猫がいたのであった。

「あっ、あの黒猫!」と叫ぶと、エリカが、「この子は大丈夫!私のだから。」

「えっ、この猫って君のなの??」とヒデはとても驚いる。


エリカは学校の時とは違った出立で、オールブラックのライダースーツのようなものを着ていてものすごくカッコよかった。そしていつものブロンドの髪の毛を高い位置でポニーテールに結んでいる。

彼女はウェストポーチから手のひらに収まるぐらいのなにかのデバイスを取り出した。そして黒猫をお腹が見えるように抱くと、そのデバイスの突起を猫のヘソの位置に差し込んだのだった。

『はあ? いったい何をするんだろう??』


そして、エリカはそのボタンを押しながら「シェイプシフター・トランスファー!」と叫んだのだ。

すると、抱かれていた黒猫は猫の輪郭がぼやけてきたかと思うと、さまざまな色に変わりながら形も変わりみるみるうちに膨張していったのだった。


『何だこれ?? 猫じゃないのか??』

その猫はもはや猫の原型を留めず、エリカを包み込んでバルーンのように膨張していったのであった。

そして、その後すぐにシルバーカラーの細長い物体に変わった。

いきなりの変形にヒデは驚き、部屋が壊されるんじゃないか?と思ったのだが、どうにかギリギリ収まったようである。


その流線型の物体の側面がドアのように開きエリカが乗っている姿が見えた。

そして彼女は「石塚君、後ろの席に乗って!」と叫んだ。

覗き込むとバイクの二人乗りのようなイメージの後部座席が見えた。


何がなんだかわからずも「わかった。」と言いながらヒデは身を屈めて窮屈な席に入りギリギリ収まった。

エリカは「追っ手が来るから、ひとまず違う世界に逃げるわね!!私につかまって!!」と訳がわからないことを言うとデバイスを操作しその物体は稼働し始めたのだ。前席では彼女がまるでバイクを操縦するかのように身構えている。

『マジで?? 本当にいいのか!?』と思いながらも、ヒデは言われた通りに緊張しながらエリカの腰に腕を回した。


内部はエネルギーが巡回しているような異様な様相になり数秒間そのままであったが、「シールドクリア!!」と掛け声をかけると前面のパネルが透明になり前が見えるようになった。

『これはなんだろう??』色がついた風が流れているような見たことがない紋様の風景が前面に広がっていた。

そして、その空間から脱したと思うと、いきなり目の前に星空が広がったのだった。


「これから着地するから、しっかり私に抱きついていてね!」とエリカが言うと、今まで無重力状態のようであった室内に強烈がGが掛かりまるでジェット機のように空を飛んでいるのが体感できた。

『やばい!!振り落とされる!!』命の危険を感じたヒデは今度は硬くエリカに抱きついた。

そして、その物体は戦闘機のように飛行しピタッと止まったかと思うと垂直に降下していったのだった。


ものすごいGがかかっている。

「よかった!! 着地成功よ!!」とエレナは安心したのかいつもの笑顔に戻っていた。

ヒデは、その衝撃に気絶寸前であったのだが、どうにか取り直してドアには見えないドアを開けると2人で外に出た。


「えっ、ここはどこ??」

彼らはどうやら高層ビルの屋上に着地したようである。

ヒデの視界には、まるで未来都市のような夜景が広がっていたのだった。


「ねえ、石塚くん、これからはヒデって呼んでいいかな?」

『そんなこと言ってる場合じゃないだろ!』と思ったのだが、「えっと うん、いいよ」と答えると、

「ここは未来の世界なの。あなたはさっき未来からの刺客に狙われていたのよ。

実は、これは私のバディーでシェイプシフターのジェットブラック。ニックネームはジェットよ。」と機体を指しながら言うと、今度は「チェンジバック!」と呪文を唱え、この乗り物らしき物体の形状が歪み始め元の漆黒の猫へと戻ったのだった。


なんと異世界に行ってしまったよいです。どんな冒険が始まるのでしょうか??

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