序ー5話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
そして授業も本格的になってきた。
ヒデは高校生になってから受験教科の中でも世界史がとても好きになっていた。中学時代は歴史という一括りだったが、ヨーロッパにフォーカスされた西洋史が知れてイメージネーションの世界が広がるのである。
『やっぱりヨーロッパ中世の世界はいいな! あんな世界に行ってみたいもんだな。』と思っていた。
そして漫研に入るであろうクラスメイトとは部活以外でも仲良くなって来ていたのだ。
須藤と浅井とはよく途中まで一緒に帰っている。
とは言っても彼らはサイクリング自転車を押しているのだが、これはこれで初めての友達ともいえるのだろう。
「なあ、石塚、君の隣りの野崎エリカって、男子から超人気だよな!」と須藤が、
「そういえば休み時間たんびに男どもが彼女の周りに集まって来てるよな。」と浅井も言っている。
「そうなんだよ。隣でいつも盛り上がっていてうざいんだよな・・・」とヒデが迷惑そうに小声で答えた。
「でも、まあ、ハーフの子だから綺麗は綺麗だよな。俺の彼女とはやっぱり違うな。」
「そうそう、でもそういう須藤の彼女って可愛いんだぜ。中学時代からのな!」と浅井が揶揄っている。
「そうなんだよ。腐れ縁っていうのか・・・」
「浅井はいないのか?」とヒデが聞くと、
「こいつは意外と真面目だから昔からその気ゼロなんだよな!」と逆に須藤が逆襲した。
「そういえば、石塚の家はどこなの?」
「ああ、僕は両親がいないから駅近のマンションで1人ぐらいしてるんだ。」
「いないって、海外赴任とか?」
ヒデは、『プライベートに踏み込んでくるな』とは思ったが、まあ、友達になったようなものなので答えることにした。
「いや、両親は子供の頃に交通事故で亡くなったんだよ。」
「そうなんだ、悪い悪い・・・嫌なこと聞いちゃったな。」
すると浅井が、「一人暮らしっていいかい?」と興味があるらしく気にせず割り込んで聞いてきたのだった。
「なんで? 浅井も一人暮らししたいのか?」
「おお、大学では多分そうなると思うんだ。」
「こいつは理系志望なんだよ」
「じゃ医学部とか?」
「いや、俺の親父が企業の研究者なんで親父を見ていたらなんらかの学者になりたくなったんだよ。」
「へえー すごいな!浅井って!!もう進路が決まってるんだ??」
「まあな」
「じゃ、そろそろ、ここでお別れだな! そのうち石塚の部屋に遊びに行ってもいいかい?」
「わかった。でも、なにもないぞ!」
「じゃあ、また明日な!」と言いながら2人は自転車で走り去ってしまった。
ヒデは、授業が終わると、部室に行き仲間とアニメやそれ以外でだべり、下校時刻になると彼らと一緒に帰るというのが日課となっていったのだ。
彼にとっては初めて友達というものができたように感じられて、それなりに楽しく学園生活を過ごせているのである。
そして、田中部長はというといまだに部室には現れなかった。
しかしながら、あともう1人の部員獲得という最重要ミッションでは最近クラスで彼らと友達になった阿部くんが入ることになったのだった。
「やったぜ! 阿部、ありがとうな!! お前の入部で俺たちは夏休み合宿に行けるようになったんだから感謝しているよ!」
「だろ!! 俺も一応アニメは好きだし、今更まじに部活やるって柄じゃねえからな。それと知り合いが多い部活の方が何かと楽しいじゃん!やっぱ、学園生活は楽しまないとな!!」という感じの砕けたヤツであった。
するとノッポの斉藤が「ねえ、そういうエンジョイ派の阿部くん!君は合宿はどこがいい?やっぱり温泉でしょ??」
「えー 俺はやっぱ海でしょ!!ナンパできるしな!」
「はあー これってあくまでも部活の合宿なんですが!」と工藤と一緒に怒った表情になった。
「おー お姉さん達 コワ!! 俺はどこでもいいよ みんなが好きなところで」と誤魔化している。
すると、先輩の浜田が、「まあ、これで部員が10人になったわけだからこのまま行けば合宿にも行けるわけだが・・・覚えておいてくれよ! 今君たちは体験入部なんだからな。だから、夏まではまだ4ヶ月以上はある。つまり、1人でも辞めると合宿とはならないからな!」
「確かに・・・」 そして同時に、全員が阿部を見た。
「えっ、それって俺が辞めるってこと?? 大丈夫だって!! 俺、ここ気に入ったからよ!心配すんなよ!」
「じゃ、阿部を信頼して、5月になったらどこに行くか決めようぜ!」と須藤がまとめて、
「でいいですよね?浜田先輩?」と確認した。
「まあな! まあ、取り敢えず部員10人になったから活動記録簿も必要だし、これから色々と部の活動も考えていかないとな!!
そう言うことも含めて合宿だけじゃなくみんな宜しく頼むよー!!」
と今日の締めくくりになったのだった。
そして、いつものように帰り道で須藤と浅井と一緒に帰宅中のヒデが、『いったい漫研の活動ってどんなことなんだろう??』と考えていると、後ろから叫んでいる声が聞こえてきた。
「ねえー 待ってよー!!」
3人とも振り返ってみると野崎エリカであった。
「ねえー、君たちまってー!!」
「あっ エリカちゃんじゃん!」と須藤が言って3人とも立ち止まった。
「よかった!追いついたわ。一緒に帰りましょう!」
「はあ、それだけ??」
「そうよ!、いつも1人で帰っているから淋しいのよ、わたし。君たちとは同じ方向みたいだからさ。」
「そうなんだ? でも、俺と浅井は途中で別れるけどな。キミは家どこなんだ?」
「私? えーと駅前よ。」
「えー じゃ石塚と同じじゃん!」と浅井がバラしてしまった。
「石塚くんもなの??」
「ああ」とは言ったが、それ以上は言いたくなかったのだ。
「しかし、エリカちゃんって男子に人気だよな!? ハーフっていいよな!お父さんが外国人なの?」
「ええ、そうよ、でも、色々事情があって両親とも日本にはいないのよ。」
「えっ、そうなんだ? じゃ自由でいいな!もしかして一人暮らし?」
「まあね。でも、家事を全部自分でやらないとならないから意外と大変よ。もう慣れたけどね。」
『へえー 野崎エリカも一人暮らしなんだ!?』とヒデは驚き同じ境遇なんだと理解した。
「じゃ、俺たち、ここでお別れだから。エリカちゃん、また明日な!」と言って須藤と浅井は自転車で行ってしまった。
そこに残されたのはヒデと野崎エリカの2人だった。
さて、インキャのヒデとヨウキャのエリカ 2人だけとなってしまった・・・
いったいどうなるのでしょうか??




