序ー34話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
「そうだね、なんか獣の鳴き声が聞こえるね。ここには30分いればいいんだよね?」と無人の自然の中の静けさにヒデは少し恐怖を感じていた。
「そうね。これが本来の地球なのね・・・」とエリカはしみじみと意味ありげなことを言っている。
「そういえば、未来社会のことを聞くとなかなか教えてくれないんだけど、未来ってこんな自然は残ってないのかな?」
「うーん、その答えは難しいわね。どの未来かによるけど、私がいた未来は残っていないわね。」
「そうなんだ!?未来によるんだね・・・そう言えばあのアンドロイド達がいる世界には深い森があったもんね! 彼らはどうしているかな?」
「そうね、私もちょっと気掛かりなのよ。だって、キメラ達を救ったはいいけど、アンドロイド達はその後はどう出るんだろうって思っていたの。」
「君が気掛かりなんだったら、また、行ってもいいよ。」
「そうね。じゃ、この旅が終わってコスプレイベントも終わったら、また行ってみましょうか?」
「そうだね!」
そして、2人は、次のニューファンドランド島でも休憩し、その後にスペインのミハス・コスタというビーチリゾートに到着した。
「やったね!! ついに成功したね!僕らの初めての冒険の旅!!」
「チェンジバック!」とエリカが唱えるといつものジェットに戻った。
「大成功ね! 今はここでは夜10時ぐらいかしら」
ヒデはヨーロッパ時間にセッティングした時計を確認している。
「そうだね! 僕らは日本を22時に出たから、8時間時差があるということは・・・ここはその時午後2時で、飛行に7時間かかったから7時間を足すと・・・あっ 夜9時過ぎだね。」
「今日はこれからどうする??」
「お腹減ったわよね?」
「うん!でも、夜だからユーロに替える両替所は開いてないよ。」
「それは大丈夫!私 この世界で使えるカードを持ってるから!だからカードを使えるところだったらOKよ。」
「さっすが!不思議ではあるけど用意がいいね。じゃ、あっちの方が明るいからきっと街があるよ、行ってみようか?」
エリカはジェット抱え、ヒデは大きなリュックを背負って歩き出した。
まるで光に惹かれて集まる虫のような気分で灯りを目指してビーチを歩いているのだ。
「事前に地図で調べておいたんだけど、あれがここらで一番近い街のフェンヒローラだと思うよ。なんかビーチリゾートって書いてあったな。」とヒデは灯りの先を指さして言った。
「じゃ、行ってみましょう!」
ビーチからは月明かりに照らされたパームツリーが並ぶ綺麗な南スペインの街並みが見えてきた。
「なんか、綺麗だね! 異国ってかんじでワクワクしてきたよ、僕!」
「そうね、とてもロマンチックね!」
街に入ると、やはりイメージした通りのヨーロッパのリゾートらしくおしゃれな人達が露出がある派手なファッションでそぞろ歩きをしていた。
「やっぱり大人な街だね〜!!」とヒデが感激している。
「ねえ、まずはホテルの部屋が空いてたら取らない?」
「そうだね!このリストはガイドブックにあった安ホテルリストだよ。ここから近いみたいだから行って見ようよ!」
2人は住所リストに従ってあたってみることにした。
やはり夜になってしまったのと夏休みのバカンスとあってなかなか空きがなかったのだが、最後に中心街からは外れたホテルのセミスウィートが一つ空いていたのだった。
「セミスウィートだからちょっと高いけど・・・いきなり野宿よりはいいでしょ!?」
「そうね!海外初日だから奮発した!ってことにしておきましょうか!?」とエリカもOKしてくれたのだった。
そして2人は部屋に荷物を置き、ホテルの一階にあるカフェバーに入って夕食を取ることにした。
「へえー ここ街外れだけど、なんとなく雰囲気があっていいわね!」
「そうだね、間接照明ってムードあるよね!やっぱり外国はこういう空間の演出がすごいんだよね!」
エリカもメニューは見たものの、
「最初にいただくものはアンダルシアだからパエリアでしょ!! この際サングリアもチャレンジしてみましょうよ!」とすぐに決まった。
そして、まるで恋人同士のような雰囲気の中でスペイン料理を堪能したのであった。
オリーブとバケットみたいな少し塩っぽいパンも一緒に食べながら2人は満腹になってしまった。
と同時に移動疲れのせいか、ヒデはもちろんエリカまでが酔っ払った状態になってしまったであった。
ヒデは、フワフワしながらもテーブルで支払いチップも忘れずにエリカを介抱しながらやっとのことで部屋にたどり着いた。
『もう、限界だ!!』
2人はダブルベッドに倒れ込んでしまったのだった。
そして、なぜか抱き合ったままでいるのだ・・・




