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ドロイドサイリウム ー 漆黒の猫 序の章  作者: 三海怜


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序ー32話

両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。


そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。


この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。

「ねえ、石塚君、」

「なに?」

「今はどこに住んでるの? 風の噂で実家から出て行ったって聞いたから。」

『何?そんな噂があるのか!?』と少し心外であったが、

「そうだよ、どうせ居候だったから、今自活して駅前に住んでるんだよ。」

「羨ましいわ。私も早く1人暮らししたいわ。」

『おっ これは悩みを聞いてもらいたい系か?』

「なんか困ったことでもあるの??」と驚いたことにスッと出た。


「うん、母親が離婚して出て行ったでしょ。その後父は後妻をもらってね。私にとっては継母なんだけど。

私、その継母と相性がよくないのよ。だから、休みの日はこうやってあまり家にいないようにしているのよ。」

「なるほどね!そういうことなんだね!? 僕は両親いないんだけど、いたらいたで大変なんだね!?いじめられたりはしていないの?」

「そこまでは行ってないんだけど、私の存在が迷惑っぽいんだと思うわ。石塚君は一人暮らししてどお?」

「うん、凄くいいよ、なんでも自由だしね。自分の小さい部屋が自分の王国みたいな感じだよ。」と言って笑った。

「変わったわね。」

「え?」

「石塚君は中学時代はあまり人と話さないインキャみたいだったけど、でも今はそんな雰囲気ないわね。」

「まあね、僕も多分親戚の家に引き取られていたんで今の君と同じような心境だったんだと思うよ。」

「なるほどね!今ならわかるわ。それに・・・それが原因で彼とも別れたの。」

「そうなんだね。僕ができるアドバイスとしては可能な限り早く自立したほうが精神的にもいいと思うよ!」

「私もそう思ってるの。でも、父が私の一人暮らしを許さないのよね〜」


自分のかつての境遇と被り、可哀想に思ってしまったのだろうか!?

「経験者の僕でよければ、いつでも話し相手になるよ。」と勇ましく言ってしまったのだった。

『こんなこと言ってる僕・・・それに、こんなに雄弁だったんだろうか・・・』と自分で自分に驚いていた。

「ありがとう!石塚君って優しいのね!」と加藤は安心したような笑顔に変わった。


「どお?ナポリタン?結構美味しいでしょ?」

「うん、美味しいよ!」

「ここのナポリタンって、私が子供の頃両親と一緒に行った地元のレストランの味に似ていて懐かしいの・・・」

『わかるなー そういう気持ち 加藤って見かけと違って僕みたいなやつとでも話が合う子なのかも!?』と思い始めていた。


「ねえ、今更だけど・・・加藤さんとは中学時代にはクラスが違うせいか、ほとんど話したことはないんだけど、好きなことって何?」

「そうよね、私、実はあなたとお話したいと思ったんだけど、彼氏もいたし女子と話してるところを見たことがなかったから、そういう男子なのかな?って思っていたの。 でも、こうして話しているとそれが違ってたことがわかったわ。 そうねー好きなことねー なんだろう?? 特に趣味はないんだけど強いていうならアニメかな??」

「えっ 驚いたな!! 加藤さんって見かけによらずアニメ見るんだ??」

加藤はバカにされるのかと思ったのか急に顔を赤らめた。


「実は僕も大好きなんだ。今、高校では漫研に入っているんだよ。仲間と一泊で奥日光の温泉合宿に

行ってきたばかりなんだ。楽しかったなー!」

「へえー 楽しそう!! 私の高校に漫研ないのよね〜 いいなー!!」

「他の高校の学生って入れるのかな?? 意外とうちの高校ゆるいから入れたりして! だってうちの部長って3年生なんだけど、バリバリのレイヤーなんだよ!!」

「石塚君の高校って県立だけど進学校だよね!?おかし〜」と言って笑っている。

「入れたら楽しそうね〜」

「一応聞いてみるよ! 僕は異世界ものが好きなんだけどアニメってヴァーチャルな空間で別の人生も楽しめて

面白いよね!」と言いながら実は『役立つ』と言いたかったのだった。

「今日は楽しかったわ! 私はほとんど週末図書館にいるから、また会いましょう!!」と言って別れた。


帰り際に、ヒデは、『いや、僕は今あの中学時代のマドンナと2人きりで向き合って話せたんだぞ!』と自分自身に驚いていた。

『やっぱり、これはエリカと一緒に日頃過ごしているから美女に対する抵抗力がついたんだなー!!』と悟ったのだった。


『なるほど! 人生って経験によって恐怖心が払拭されるから苦手だったことがそうでもなくこともあるんだな!』

と、いろいろ考えると、エリカとの出会いがヒデを良い方向へ変えているのだと実感したのであった。


そして、こっそり付いてきていたジェットと一緒に部屋に帰っていった。



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