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ドロイドサイリウム ー 漆黒の猫 序の章  作者: 三海怜


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序ー30話

両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。


そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。


この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。

「ねえ、エリカ、今の僕たちの生活って特殊だよね!」と部屋でコンビニ弁当を食べながらの2人の会話である。


「それはそうね。私としても極力平静を保ちたいとは思ってはいるんだけどね。なんか色々と巻き込まれちゃうわね。 でも、もし、ネクストワールドを放っておいたら人キメラ達が処刑されていたから・・・それを思うと居ても立っても居られない心境になっちゃったの・・・」


「エリカ、勘違いしないで!僕はそれが嫌だって言ってるわけじゃないんだ。

ただ、普通の高校生の普通の生活と、まるでヴァーチャルワールドで起こっているようなゲームの中のような信じられない世界が同居していて、少し受け止めきれないでいるんだ。でも、とっても刺激があって生きてるかんじがするのは事実だけどね。 ただ、このまま行くと僕らの将来はどうなるんだろうって不安にもなるんだ・・・」


「大丈夫よ! 私が付いているから。」

「でも君は、ずっと僕のそばにいてくれるわけ?」

「もちろんよ! それがガーディアンの役割ですから。」

ヒデは、このエリカの彼に対する好意は『守る』という義務感から来ているのだとは感じていた。

『まあ、そうは言ってくれるけど、僕を愛してくれているわけではないんだから勘違いしないようにしないと』と言い聞かせるのであった。


「じゃ、お風呂入れるわね!」

「あっ、ありがとう! すごく疲れたろうからエリカが先に入っていいよ。」と笑顔を見せた。

『しかし・・・こんなに近くに寄り添っているのに、そしてキスまでする仲なのにいわゆる彼女ではないと思える特殊な関係。一体僕はこれからどうやって気持ちの整理を付けていったらいいんだろう・・・』と考えながらもどかしいく複雑な気持ちでいっぱいになってしまったのだった。


『しかし、振り返ってみると、高校に上がって一人暮らしを初めて、そして念願のボッチ生活を楽しむはずだったのだが・・・いきなり未来から現れた美少女 それで生活が一変してしまった。人生ってそんなものなんだろうか?

でも、良かったこととしては、人付き合いが今までよりはマシになったってことかな。友達もできたし・・・剣技を習うことによってヒョロヒョロだった体が人並みにはなってきたとも思う。それと異世界生活をリアルで体験できるあり得ない現実・・・まるでリアル版異世界シミュレーションゲーム!! まあ、それもありなのかな!!』となんとなく自分の中で踏ん切りがついたようだ。


「ヒデ、出たわよ!」

「わかった!」


エリカは髪の毛を拭きながら、

「そういえば、夏休みにヨーロッパに行くでしょ!? どこにするか決めましょう!」

「うん、わかった! ワクワクするね! そういえば、ヨーロッパ旅行のガイドブック買っておいたから、

それを見てみてよ!」


風呂上がりの2人はあまりの疲労のため、旅行でどこに行くか?どころではなかった。

ヒデどころか、エリカまでガイドブックを手に持ちながら座ったままでのうたた寝状態であったのだ。

それに気づいたヒデは、エリカを起こしベッドに誘った。

ジェットも珍しく丸くなってまるで黒いクロワッサンにように眠っている。


そして、翌日はまるで変化がない普通の夏の暑い日がやってきた。

『そうだ、今日から夏休みだったか・・・』


すでにエリカは起きていた。

「おはよう!トーストとコーヒーできてるわよ!」

「あっ ありがとう!」

「あのメイドコスプレの話覚えてる?」

「うん、エリカが部長に押しつけられたやつでしょ?」

「そうそう、で、工藤斉藤さんの2人が見たててくれるっていう件。メッセージが入ってて、あまり時間がないから今日これからどうか?ってことなの。」


「いいよ!僕が一緒にいくとまずいでしょ!? 行ってきなよ!」

「僕は駅から歩いて10分ぐらいの場所に市立図書館分館があるみたいだから、そこに行ってヨーロッパ研究でもしているよ。だから心配ないよ!」

「わかったわ!じゃジェットを残すからくれぐれも一緒に行動してね!何かあったら彼があなたを守るから。」

「わかった、ありがとう!!」




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