序ー23話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
「それまでに自分でお気に入りのメイドコスチュームを揃えておくように!!」
「では、ヨロシク!!」
盛り上がりのあと、部長のお着替えのために部員は全員退室させられてこの日は強制帰宅となった。
そしてイツメンの帰り道である。
「しっかし、田中部長って超カワイかったけど、変わった人だったな!」と須藤が言い出した。
「俺もかわいいと思ったよ! コスプレイベントに行けばあんなカワイイ人ばっかりなのか??」と浅井も珍しく興味津々である。
「でも、私、メイドのコスプレさせられちゃうわよ・・・どうしよう・・・」とエリカは珍しくパニクっている。
「えっ いいじゃない!! 野崎さんのメイドコスプレ見てみたいな!!絶対カワイイよ!!」と浅井が珍しくニヤけながら言っている。
「そうそう!俺も似合うと思うよ! じゃ、みんなで応援兼ねて行こうぜ!」
ヒデは、エリカの真意がわからずコメントを避けていた。
部長からの直々のオーダーということもあるが、その場の雰囲気的にエリカも断れない雰囲気になってしまったのだった。
アンドロイドの襲撃にあってから、この1学期終了までの話を端折ってしまったが、
ヒデは部活終わりにはあの廃屋に行き、エリカから木刀での剣技訓練を毎日欠かさず受けていたのだった。
一方、エリカの方も、独学で料理を学び一般的な料理であればそこそこの腕前になっていた。
「ねえ、エリカ? 今晩の夕食は何??」
「今日は、ペペロンチーノとサラダよ! 安上がりで美味しいでしょ??」
「うん!この米高の世の中スパゲッティは安上がりだからねー エリカのパスタ料理は最高だよ!! 楽しみ楽しみ!」
「さあ、できましたよ〜」
「しかし、あっという間に1学期が終わっちゃったね!」
「そうね。アンドロイドからの妨害がなければ、私たちほんと幸せね!!」とエリカは笑顔である。
「お陰様で、僕の剣技の方も自分なりに自信がついてきたし、エリカも料理が上手くなったしね!
でも・・・明日から夏休みだけど、僕たちどうする??」
「前から計画してきたヨーロッパ旅行に行くんでしょ!?」
「けど、温泉合宿の3日間のあとにはなるわね!」
「中学までの人生って辛い毎日だったんだけど、高校生になって、なぜかエリカと出会えてから、
僕の人生はモノクロームからカラーになったような気がするよ。僕は本当にキミに感謝してるんだ。無事1学期が終わって心からそう思うんだよ。ありがとう!」
「あらっ しんみりしちゃってどうしたの?? 私も元世界は決して楽しいところではないから、あなたのガーディアンになったからこの世界に来ることができて本当に良かったと思ってるわ。私達これからも楽しくやっていきましょうね!」と笑顔である。
「で、旅行の行き先は、スペイン?スイス??どこにする??」
「そうだね・・・どっちも行きたいよね! でも、まず来週の合宿だよ!」
部員全員の合議の結果、温泉合宿は奥日光に決まったのであった。
「そう! 日光といえば・・・子供の頃に、一緒に住んでいる叔母さんが勤めていた病院の保養所に泊まったことがあるんだけどいいところだったよ。昔から『日光結構』って言って東照宮が素晴らしいからそれをみないで結構と言うなってことらしいんだけど。今回は温泉合宿だから奥日光だけで残念ながら東照宮はいけないんだけどね。」
「その奥日光ってどんなとこなの?」
「そうだね。奥日光の顔といえば中禅寺湖っていう火山湖があって、そんなに大きいわけじゃないんだけど風情があって僕は好きだったな。湖の水は透き通っててたくさん稚魚が泳いでるんだ。駅からはいろは坂っていう急なクネクネの山道を登っていくんだよ。
で、湖からは華厳滝っていう100mぐらいの名瀑布があってさ、他にも竜頭の滝、湯滝なんかもあるんだ。
さらに奥に行くと、山の中の白樺林に囲まれた広大な戦場ヶ原って言う湿原があってさ、その近くに牧場もあるんだよ。」
「へえー」
「そして、標高が1300ー1400mぐらいだから、夏の猛暑は感じなくて涼しくてとってもいいところだったな!」
「今回は私達どこに泊まるの?」
「その奥の湯の湖湖畔にあるホテルらしいよ。でも露店風呂もあるんだってさ!」
「露天風呂って??」
「外に温泉があるんだよ。自然の中で入る温泉はこれまた気持ちがいいんだよね〜。」
「えっ 外で裸で入るの??」
「まあ、そうなんだけど、行ってみれば魅力がわかると思うよ。」
「・・・・」
「まあ、リラックスできていいところだよ!!」
「わかったわ。そうね、良さそうなところね。 楽しみにしておくわ。」
「とにかく、明日から夏休みだよ!! 楽しみだね!!」
「やったー!!」
2人の会話は疑いなく仲良しカップルのそれとなっていたのであった。




