序ー19話
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
そして、その他の授業は何事もなく終わり放課後となった。
阿部が、いつものように「おい、みんな!部活に行こうぜ!!」と誘いにきたため、
須藤、浅井、阿部、清水、そして野崎とヒデの6人は連れ立って部室に入って行った。
「しかし、放課後に部室に行くのって恒例になったよな。こんなに続くとは思わなかったよ。」と阿部がつい本音を言ってしまった。
「えっ、マジ? お前、そんなにすぐに辞めるつもりだったのか?」と清水が、
「いや、自慢じゃないけど、俺って我慢することが嫌だからよ、つまらなそうだったら続かないってだけなんだよ。」
「取り敢えず、阿部我慢してくれ!合宿まではな! アニメは嫌いじゃないだろ??」と須藤が諌めた。
「安心しろよ! 全然今のところ嫌じゃないからよ!中学の時はサッカー少年だったけど、俺ってこんなにもオタクだったんだなって驚いているところだぜ。」と笑っている。
そして、浅井が部室のドアを開けてみると、
すでに浜田先輩と、工藤・斉藤コンビは何やら熱心に会話中であった。
「ぱっやり、温泉よねー!!」と盛り上がっているようなのだ。
それを聞いた須藤が、
「おい、工藤に清水! 俺たちも今回は温泉でいいよ! だけど混浴な!!」とニヤけながら言うと、
「お前ら、アホか??学校で行くのに混浴はナシだろう!」と浜田先輩に真剣に叱責されてしまったのだった。
「すいませーん、先輩!冗談ですから。そんなに怒らなくても…」
「じゃ、取り敢えず全員一致で温泉でいいんだよな?? まだお試し入部期間だから決定ではないけど、おいおい場所も決めるとしよう!」
「りょうかーい!!」と珍しく全員が賛成したのである。
「では、みんな!今日は真面目に活動をしたいから、今年度の漫研の活動の計画を話し合うとしよう。」と浜田はいつになく真面目である。
「それはイベントに参加するとかですか?」と清水が聞いた。
「そうだな。まずはメインイベントを決めてから動いた方が無駄がないと思うからそう言うことになるな!」
「と言うことだったら実は私らが前から描いている漫画があるんですが・・・それを出展しちゃダメかしら?」と工藤・斉藤コンビは少し恥ずかしそうに言い出したのだった。
「君ら、漫画描けるの??」と浜田が言って驚いている。
「では、先輩! 見てもらえますか??」と言いながら、2人にしては恥ずかしそうに描いた原稿を出してきた。
「へえー 見せてくれよ! 」と浜田が目を輝かせながら言うと、真っ先にそれを奪ったのだった。
そして、無言のまま真剣に見始めてしまった。
他の部員は彼をじっと眺めていたが、浜田は食い入るように見ているだけで反応がない。
「浜田先輩、どんな感じですかー?」と阿部が痺れを切らせて聞いた。
「おっ、ごめんごめん!あんまり面白いからつい。いやー 顔に似合わず異世界ものなんだね!?俺も好きだよ! 実によくできてるな!!お二人とも素晴らしいよ!!」と笑顔で言ったのだった。
「やったー!! よかった!!先輩に認められて!!でも、顔に似合わずって失礼じゃないですか!?」と2人は手叩きしながら喜んでいる。
「終わったら君たちにも回すから読んでみてくれ! ヨシ!! 今年はこれをコミックマーケットに出展しよう!!」
「えっ、コミケですかー??」と2人はいくらなんでもレベルが違うだろ?という顔で驚いている。
「先輩、その手前の何かのイベントでもいいんじゃないですか??」
「まあ、コミケじゃなくてもいいけど… でも、どうせやるんだったら、我々の活動が目立つイベントに参加した方が漫研としての敷居が上がるんじゃないのか!?うちは今まで部長にだけ頼っていたからな。それにその部長も今年で卒業だ・・・」
「そんなに凄いんだったら、俺たちにも見せてくれよ!」
「そうよね!」
そして、浜田先輩が終わった後に、斉藤が原稿を清水に渡した。
清水の周りに他全員が集まり漫画を1ページづつめくっていくと・・・
「すげー!! カワイイじゃん! お前らうまいな!!ほんと人は見かけによらねえな〜」
「どう言うことよ!!」
そして、1エピソード見ると拍手喝采となった。
「これで、今年度のメインイベントは決まったな!! 他のメンバーは2人の作品のプロモーションを担当してくれ!」
「プロモーションですか? なるほど、宣伝ってことですよね!? 俺、SNSでフォロアー多いやつ知っているから頼んでみるよ。」と須藤が、
「俺も、友達にアニオタがいるから相談してみるよ!」と無口な清水も張り切っているようだ。
「そうそう、そんな感じでみんなで手分けしてよろしく頼むよ!! 今後の漫研の将来がかかっているからな!」
それを聞いていた工藤が、
「この私らのキャラクターって、異世界の中世ヨーロッパみたいで衣装に特徴あるでしょ!? メインは何人かいるんだけど、そもそもコスプレされるといいな!って思って考えたのよね。
それに、衣装や武器類も私らが作れるわ!だから、コスプレもやらない?? プロモーションかける時に絶対決まるわよ!!」
「なるほどー コスプレか! いいなー!!でも、いったい誰がやるんだ??」
「…」
と、まだストーリーを読み込んでいない他のメンバーにはこの場でイメージするのは難しいようだった。
その様子を理解した斉藤は、
「メインヒロインの双子姉妹も出てくるけど、特に、異世界の姫はキャラ的に見栄えがすると思うのよね〜 可愛くって強いヒロインだから! 絶対ウケるわよ!!」と更に押してみたのだが…
「まあ、それも含めて合宿で具体案をまとめてくれ!」と浜田が結んでしまったのだった。
工藤斉藤は原稿を大切そうにバッグにしまうと、何やら2人でコソコソと話している。
いったい何を話しているのだろうか?
浜田の号令によって今日の部活は終わり、またいつものように4人につられて阿部も途中まで一緒に下校となった。




